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JAの活動:持続可能な社会を目指して 希望は農協運動にある

【特集:希望は農協運動にある】創刊90周年によせて さらなる挑戦に期待 内橋克人(経済評論家)2020年10月7日

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人間生存の基盤である「食料」、それを生み出す「農業」、さらに「担い手」たちのコミュニティを支え続けて90年。『JAcom 農業協同組合新聞』の使命はいっそう「重き」を増している。人びとをつなぐ協同組合という組織もまた新たな次元を迎えた。農業協同組合新聞(以下=農協新聞)は言論を介して、農業と協同組合という、現代社会の行方を決定づける2つの存在を支え、築くべき「理念」とゴールに至る「道筋」を示し続けてきた。自らもまた未来に向けて、業界紙でもなく機関紙でもない、第三の新たなメディアとしてさらなる前進へと挑まねばならない。90周年を機に、ミッションに向けて真正面から立ち向かう勇気と思想性に、いっそうの磨きをかけるべく試練の日々が待っている。さらなる挑戦への期待を込めて祝意と敬意の言葉をお届けしたい。

内橋克人

協同組合も「過ち」を冒す

協同組合もまた過ちを冒す。歴史を遡(さかのぼ)らねばならない。かの小泉構造改革が吹き荒れた時代の出来事である。

2005年4月、生活協同組合は威勢よく「グローバル化路線」へと舵を切り替えた。『日本の生協の2010年ビジョン』(「農業・食生活への提言検討委員会」答申)なる宣言である。当時の流行(はやり)への便乗である。

同ビジョンでは、グローバル化の進展をもって消費者の利益と位置づけた。明記されている。『農業者に財政支援をするのであれば、農産物輸入に課せられる高い関税を引き下げて内外価格差を縮小せよ』

すなわち「農産物、食糧をアジア並みの低価格で売ってこそ消費者の利益になる」というものだ。そこで大々的に始めたのがプライベートブランド(PB)戦略という大仰な新方針だった。低価格路線の商品開発で購買力を強化する。海外生産地で開発を進める。組織を大規模化する。そう謳った。

この新路線に沿って転換が進められた結果、プライベートブランド商品は実に5600品目を超え、そのうち食品は4700品目を占めた。調理済み冷凍食品だけで350品目にのぼった。生活協同組合が「グローバルスタンダード」礼賛一辺倒に染まっていった。

新路線に沿って、労賃の安い中国への進出、中国製品の調達が過激化した。何が起こったのか。いまだ私たちの記憶から消えない「中国製冷凍餃子・中毒事件」である。生協の組合員に少なからぬ犠牲者が出た。「COOP 手づくり餃子」は1個9円、日本製価格の三分の一。進められたのは生協のスーパー化、コンビニ化であり、冷凍餃子は一例を示すに過ぎない。


「使命共同体」の牽引役として

ここに敢えて「冷凍餃子事件」を振り返ったのは、他でもない。一つは、たとえ「協同組合」を名乗ろうと、常に正しい道を選び、歩むとは限らない、ということだ。さらにもう一つ。筆者が、同事件について初めて論評したのが「農協新聞」紙上であり、本紙は懐深く躊躇なく、何の求めもなく、受け入れ、報じてくれた。感謝の念は消えることなく、いまも続く。第二に、直後、当時の生協連(全国組織)代表らトップ2人が筆者に面会を求めてきたことだ。長時間にわたり論争を交わしたことは同組織の記録にも留められているはずだ(留めていなければならない)。

本来、「競争セクター」がもたらす貧困スパイラルに歯止めをかけるのが「共生セクター」たる協同組合の役割であったはずが、自らが競争セクターと化してスーパーと競争する。結局は貧困スパイラルを深化させる側に立つだけではなかったのか。筆者は生協代表らに向き合い、そう説得した。

当時、生協連は「運動」という言葉を「生協運動」以外には使わず、代えて「活動」を使うように、と全国の生活協同組合に指導していた。2010年ビジョンを策定した人々の責任はいまも消えることはない。いま、協同組合は日本社会の「社会転換」を担い得る充分な力を蓄えた。しかし、協同組合に対する社会的評価は必ずしも高いとはいえない。かつての餃子事件などがいまなおダメージとなっていることに気付く。また過去には零細事業者への抑圧的・不公正取引もみられた(12/9/25 公正取引委員会による是正勧告が行われた)。

以上、遠い出来事の「後日談」を蘇らせたのは、ほかでもない。ジャーナリズムとは何か。農協新聞は、こうした「内輪の過ち」の仲間庇(かばい)に陥ることなく、「過ち」は糺(ただ)していかなければならない。地縁共同体でもなく利益共同体でもない、第3の共同体と筆者が呼ぶ「使命共同体」の牽引役として「揺るぎなき旗」を掲げ続けていただきたい。そう切望するからである。

90年に及ぶ歴史と、積み重ねた英知がそれを可能にするだろう。農協新聞の「開かれた」理念と「蓄積された」英知が「食と職」によってのみ生存可能な私たちの望みである。大いなる「期待」が萎むことはない。

希望は農協運動にある

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