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JAの活動:【第29回JA全国大会特集】コロナ禍を乗り越えて築こう人にやさしい協同社会

【インタビュー】JA全農 野口栄理事長 食の礎 農の確立に力【第29回JA全国大会特集】2021年11月10日

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10月29日に開催した第29回JA全国大会は「持続可能な農業・地域共生の未来づくり」を決議した。今回は中長期を見通してどう取り組むかが課題となる。今の時代をどう捉え、どう地域農業と暮らしを支える事業を展開するか。野口栄JA全農理事長に聞いた(聞き手は谷口信和東京大学名誉教授)。

JA全農 野口栄理事長JA全農 野口栄理事長

谷口 日本は危機だ、とこの30年間言われてきましたが、何が問題なのか。まずは冷静に見つめ直さなければならないと思います。今をどのような時代の転換点と見ていますか。

野口 社会の人口構造が大きく変化していることを認識しなければなりません。
国内人口が減少し、とりわけ生産年齢人口が減少しています。14歳以下が300万人、基幹的生産労働人口である15~65歳が1400万人も減っていくということを考えると、食と農を担う全農としては、日本人の胃袋が小さくなっていく、つまり、日本人の食の需要がなくなっていくということです。これは大きなインパクトとして考えておかなくていけないと思っています。
しかも特に感じるのは、女性の就業者、共働き、少数世帯の増加です。これを食べ物を売るリテールの現場から見ると、完全に「個食」の時代に入っているという形で現れています。しかも4人世帯でも5人世帯でも「個食」です。お父さん、お母さんそれぞれの仕事に合わせた食事、塾や部活の時間に合わせた子どもたちの食事、という具合にです。
さらにコロナ禍をきっかけに簡便、即食、冷凍、衛生、小分けが進んでいます。それがeコマース、宅配、リメイド、総菜に向かっていく。
これは大きな転換点ではないかと考えています。
二つ目は、人口減少のなかで、とりわけ基幹的農業従事者が減っているということです。それによって耕作放棄地も拡大していくとなると、われわれは生産基盤を維持するために、担い手不足、特に労働力不足をどう改善していくのかを問題にしなければなりません。
この問題は地方の疲弊につながり、コロナ禍もあって地方の行事や伝統文化などの維持、継承が本当に難しくなっています。併せて、われわれの大きな役割である地方のインフラをどう守っていくかについても、施設は老朽化し地方からの人口流出もさらに加速する問題もあり、これも大きな転換点を迎えていると考えています。
こうした状況のなかで最近はグリーン、脱炭素、デジタルという課題も出されており、本当に大きな時代の転換点にあると見ています。
食の世界から言えば大きく変化し「個食」が現実でさらにコロナ禍によって加速されており、それに生産者団体として対応していかなければなりません。

谷口 ただ一方で、家族の食がばらばらのままの社会が100年も続くのか、それがウェルネスといった新しい言葉で言われる価値に合致するのかという問題もあると思います。

野口 確かにそうで、家族のぬくもりや、コミュニティーが崩れるということになると思います。食というのはやはりみんなで食べてこその癒やしの時間です。それが今、どんどん崩れている。地域のコミュニティーもそうです。みな簡素化、簡略化。コロナ禍もあって「密を避ける」です。これでは地域、地方の伝統文化の継承も非常に難しくなります。

谷口 そこで考えてみたいのはこども食堂のことです。全国こども食堂支援センター理事長の湯浅誠さんは、こども食堂はご飯を食べられない子どもたちの場所だという認識はまったく間違っていると強調しています。
みんなでわいわいがやがや集まる場所であり、食べるためだけに来ているわけではないというわけです。
いわば家族の枠組みのなかでできなくなったことを、しかも集落という決まった場所でもないところが、みんなが集まる場になっている。

野口 私も地域の新しいコミュニティーの形だと思っています。われわれ全農グループも各地のこども食堂に食材提供も含めて支援をしていますし、今後もやっていきたいと思います。
もう一つ、子どもたちの食を支えるという意味では、学校給食だと思います。学校給食の充実をもっと図るべきではないか。発想はこども食堂的になりますが、学校給食は今は昼食だけですが、夕方にも給食を提供するということもあると思います。
今回のコロナ禍の休校で給食も休みになりました。学校給食でも1割か2割の子どもはそこで一日の栄養を摂るという子どもがいるのが現実です。学校が休みでも本当は給食は出すべきだと思っていて、そのなかで食育も進めていくことが大事ではないかと思っています。

谷口 地域社会のなかで食を支えるとき、全農の役割がどうあるべきかを考えると未来が開けてくると思います。

谷口 これからの取り組みを敢えてひとつだけ挙げると何になりますか。 

野口 やはり農業生産基盤の維持・確立だと思っています。そのために販売をどうするのか、バリューチェーン、物流をどうするのか、また、そのための輸出戦略は、ということになるわけです。これらによって生産者組合員の所得が少しでも上がり、それが生産基盤の維持・確立につながるという思いで事業に取り組んでいます。

谷口 何が重点施策ですか。

野口 購買事業では自己改革の更なる深化により、生産者のコスト低減を実現します。販売事業では業務提携先や輸出先などの実需者から求められる品目を、より効率的、省力的に生産する技術という生産指導とパッケージで提案します。
また、物流インフラ対策も重要です。産地側と消費地側のそれぞれの物流施設と、その間をつなぐトラックや船便などの物流をしっかりやらなくてはいけません。産地側の広域集出荷施設を含めて整備は順次始めていますが、さらにスピードを上げていきます。
全農はJAと一緒になり、生産現場により近く、出向くようにしています。こうした取り組みで農業生産基盤を維持・確立していきます。

谷口 コロナ危機を乗り越えたときに全農が活躍する場がまさに広がると思います。ありがとうございました。

【インタビューを終えて】
全農谷口先生超多忙な要職に就きながら、農村の自宅に帰ると"むら仕事"に精を出すという▼野口理事長の精悍な話しぶりに、久しぶりにニッポンの"お父さん"を見た▼しかし、個食化に対応したリテールを考えながら、他方で食がもつ癒やしの役割にも眼差しが向かっている▼そこからこども食堂や学校給食のあり方へ情熱をこめて説き及ぶ姿は、寺内貫太郎に代表された昭和の家父長を超えるものだった▼理不尽な農協たたきの苦難を乗り越え、様々な経済団体との新たな連携を通じて、全農が一皮むけた事業展開に乗り出しているのが納得できる印象的なインタビューであった(谷口信和)。



特集:コロナ禍を乗り越えて 築こう人に優しい協同社会

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