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2013.03.13 
【TPP】主張受け入れられない場合は「脱退」を一覧へ

 自民党のTPP対策委員会で農業分野の対応を検討する第4グループは3月12日に農林部会との合同会議を開き、とりまとめを行った。

◆段階的撤廃も認めず

 このとりまとめは、(1)日本農業の現状とあるべき姿、(2)TPPでの日本の主張、(3)漁業補助金、(4)食の安全安心の基準、(5)ミニマム・アクセス米の5項目について考え方をまとめた。
 (1)では農林水産業が持続的に発展できるよう「従来の枠にとらわれず」、▽構造改革の加速化と耕作放棄地の解消、▽食料自給率の向上、▽集落営農の推進など多様な担い手の育成、▽国際競争力の強化や輸出の飛躍的拡大などの実現を図るとした。
 そのうえで(2)のTPPへの対応として、これまでのEPA・FTA交渉で多くの重要品目について国境措置を堅持してきたことを強調し、守り抜くべき国益として▽米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源等の農林水産物の重要品目が引き続き再生産可能となるよう除外または再協議の対象となること、▽10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めない、とした。 また、▽国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠な合板、製材の関税に最大限配慮することも盛り込んだ。
 また、「仮にTPP交渉に参加した場合であっても、以上の農林水産分野におけるコアとなる主張が受け入れられない場合には、TPP交渉から脱退も辞さないものとすること」との主張も加えている。
 第4グループの主査でもある小里泰弘農林部会長は食の安全安心の基準などについて「TPP交渉は多国間交渉であると同時に2国間交渉でもある。食の安心・安全の基準にしてもその他の項目も、TPPの本題に取り上げられなくても、2国間交渉において、いわゆるサイドレターというかたちで譲歩を迫られる可能性がある」と同日午前の役員会で強調したことも報告した。
 また、医療保険についても、米韓FTAに盛り込まれたように薬価決定制度で米国企業の意思が反映されるよう譲歩させられる例も挙げ、「それによって薬価が高騰し国民皆保険制度も持たなくなるという『絡め手』があることにも留意しなければいけない」とTPPが狙う規制緩和の影響にも留意が必要なことを強調した。

◆   ◆

3月13日午前10時から主幹会議であいさつする西川公也TPP対策委員長。「今夜総会に諮り、了承が得られれば決議というかたちで安倍総理に届けるという段取りで仕事を進めたい。ここでとりまとめができたものを総会にかける。ご協力を」などと話した 自民党のTPP対策委員会は13日午後8時から全体会合を開き、党としての考えを「決議」のかたちで決定する方針。午前10時から主幹会議を開き、とりまとめ案の検討を行ったが、この会合では意見がまとまらず、午後から再協議に入っている模様だ。
 農業に関する取りまとめが最終的にどのように取り扱われるのかは不明だが、小里部会長は「われわれとしてはしっかり主張すべきことを(このとりまとめに)叩き込んだ。この趣旨が生かされるように努めたい」と述べた。

(写真)
3月13日午前10時から主幹会議であいさつする西川公也TPP対策委員長。「今夜総会に諮り、了承が得られれば決議というかたちで安倍総理に届けるという段取りで仕事を進めたい。ここでとりまとめができたものを総会にかける。ご協力を」などと話した。

 


【TPP対策委員会第4グループとりまとめ】

○日本農業の現状とあるべき姿
 長期的な世界の食料需給のひっ迫、国内においては、高齢化の進展、地域経済の疲弊等の厳しい状況の中で、農林水産業が、将来にわたって国の礎となり、今後も若者が参入し、持続的に発展できるよう、農林水産業者をはじめ関係者が一丸となって取り組んでいかなければならない。このため、従来の枠にとらわれず、構造改革の加速化と耕作放棄地の解消、食料自給率の向上、集落営農の推進など多様な担い手の育成、国際競争力の強化や輸出の飛躍的拡大、新規需要米の拡大をはじめ需要に応じた生産構造の実現を図り、豊作の喜びが実感でき、消費者・国民にも支持される力強く安定的な農林水産業と多面的機能が発揮できる農山漁村の実現を図る。

○TPPでの日本の主張
 地理的制約等から、構造改革や輸出の促進等を最大限行っても、生産性の向上や新規需要の開拓には限界があり、仮に我が国農林水産業が各国との競争にさらされれば、一次産業に壊滅的な打撃を与えることは必至である。そもそも国民の生存権に関わる食料安全保障・多面的機能維持の理念と市場経済の原則とは一線を画すべきである。
 我が国は、これまでのEPA/FTA交渉において、多くの重要品目について必要な国境措置等を堅持してきたところであり、TPP交渉参加の是非の判断に当たって、多様な農業の共存を実現するためにも、守り抜くべき国益について、以下のとおり確認する必要がある。

 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物等の農林水産物の重要品目が、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象となること。10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めない。
 また、国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠な合板、製材の関税に最大限配慮すること。

○漁業補助金
 漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。仮に漁業補助金につき規律が設けられるとしても、過剰漁獲を招くものに限定し、漁港整備や所得支援など、持続的漁業の発展や多面的機能の発揮、更には震災復興に必要なものが確保されるようにすること。

○食の安全安心の基準
 残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、遺伝子組換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、BSE基準等において、食の安全安心及び食料の安定生産が損なわれないこととし、政府及び農業者もこの実施に努めること。

○ミニマムアクセス米
 国内外の情勢の変化にかんがみ、ミニマムアクセス米の対応について検討していくこと。

 なお、仮にTPP交渉に参加した場合であっても、以上の農林水産分野におけるコアとなる主張が受け入れられない場合には、TPP交渉から脱退も辞さないものとすること。

 


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