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2014.06.03 
【農協改革】攻撃はねのけ自ら改革 JA全中一覧へ

緊急組合長会議で決議

 JA全中は6月2日、東京都内で全JA組合長会長緊急会議を開き、JAの信用・共済事業の分離や中央会制度の廃止などを打ち出した規制改革会議の「意見」について情勢認識を共有し、「われわれ自らの意思による改革を無視したもので断じて受け入れることはできない」とする決議を採択した。

◆断じて受け入れられず

会見に臨む冨士専務 緊急会議には全国のJA組合長・会長ほか、中央会・連合会など関係機関からも出席し、出席者は1000人を超えた。JAではほぼ9割の組合長が参加したという。
 会議後の会見で冨士重夫JA全中専務は「情勢認識を共有し危機感を持って対処していくことを確認した」と話し、会議では組合長から「改革は自らの意思で行うもの。規制改革会議の意見は現場や地域のためにならない」などの意見が相次ぎ、一致結束して対応することを確認し、自らの意思に基づく改革を実践するとした決議を採択した(本文末に掲載)。
 JAグループは、農業構造や農政が変わるなか、今までの組織・事業・制度のあり方について、見直すべき部分は見直して農業者の所得増大や地域の活性化に向けた改革を続ける方針で、具体策として4月に「JAグループ営農・経済革新プラン」を決めた。6月5日のJA全中理事会では実践の工程表も決める。
 その改革は「自主・自立」という協同組合の根本に即し「組合員・会員の意思による自己改革」で行われなければならない。これに対して規制改革会議の意見は組合員の意思や農業現場を無視した一方的な組織形態や事業の変更・解体を迫るもので、JAグループは「規制改革会議で出された提言の『現場を強くする改革』は組織廃止や事業分離では実現できない」と強調している。
 そのうえで規制改革会議の意見に対比させるかたちで、改めてJAグループ営農・経済革新プランの考え方を整理して緊急会議に提示した。

(写真)
会見に臨む冨士専務

◆中央会制度は有効

 冨士専務によると緊急会議では、このうちとくに中央会制度の有効性について認識を改めて共有したという。
 中央会については▽JAの特性・創意工夫をふまえたJAのチャレンジを後押しする指導に転換、▽JAの事業改革を支える総合調整機能の発揮、▽法に基づく指導・監査権限による主体的なJA経営の健全性の確保をめざす。
 「革新プラン」ではJAの担い手支援を強化するための「全国基金」を27年度に創設することを決めているが、これも全中の総合調整機能を必要とする取り組みだ。そのほか再三評価されてきた東日本大震災へのグループをあげた取り組みや、教育、電算システムなど全国のJA共通の課題に対応する機能も発揮している。
 破綻を未然に防ぐ、中央会監査制度も「公認会計士監査よりも有効」と冨士専務は強調した。
 農協法に基づく中央監査は単なる会計監査ではなく、業務監査・経営指導と一体となっており、「経営者ではなく、組合員のためになっているかどうかをチェックするものになっている」(冨士専務)。
 こうした認識を共有し緊急会議では全中の一般社団法人化について「いいことではないと改めて確認した」という。

◆改革会議は結論ありき

 冨士専務は会見でJAグループに限らず「さまざまな組織の改革は自ら決めることが岩盤、基本だ」と指摘し、規制改革会議の意見についてJAや農業の現場について「十分理解されているとは思わない。農家の所得向上になるのか。組織を改編すると言っているだけ。農業者の利益になるとはとても思えない」と批判した。
 また、全農の株式会社化についても、農業WGでのヒアリングの場では突っ込んだ議論があったわけではなく「もともと結論ありき。議論するつもりもなく意見として出してきたと感じざるを得ない」と述べた。
 規制改革会議の農協改革案については国際協同組合同盟(ICA)が6月1日、協同組合の価値や原則を無視すると非難する声明を発表した(6月3日付関連記事「ICAが規制改革会議を非難」【URLは今日アップして張り付ける】)。
 これより以前にポーリン・グリーンICA会長は全中に書簡を寄せているが、記者会見で谷口肇常務は「会長は強く心配している、協力するとの趣旨を寄せている」と話し「世界は日本の動きを見ている」と強調した。


【決議全文】

JAグループの組織に対する攻撃をはねのけ自らの意思に基づく改革の実践に関する決議

 我々、農業協同組合組織は、これまで一貫して、地域の農業者、地域住民とともに歩みをすすめ、常に自らの改革を実践することで環境の変化に対応し、今日の姿を築き上げてきた。
 農業と地域に根差した協同組合であるJAグループは、次代においても引き続き環境変化に対応し、自ら組織・事業の改革・革新に取り組まなければならない。
 こうしたなか、規制改革会議は、事実上の信共分離であるJAの代理業方式、准組合員の利用制限、全農の株式会社化、中央会制度の廃止などを打ち出した。
 規制改革会議の意見は、すべての項目が組織全体の結集力を弱め分断をはかり、JAグループ全体の解体につながる内容となっており、我々自らの意思による改革を無視したもので断じて受け入れることはできない。
 改革は、自らの意思に基づいて行うものであり、民間の自治組織である協同組合としての大原則である。
 我々は、農家組合員の所得増大やJAの事業を不可欠とする地域住民の思いに応え、これからもそれぞれの地域で総合事業を基本に、組合員の負託に応え責任をもって事業を展開していく覚悟である。
 そのためにも、組合員への最大奉仕という目的を貫徹し、JA・連合会・中央会が一体となって、我々自らの組織・事業の改革・革新に果敢に取り組んでいく所存である。以上、決議する。

平成26年6月2日 全JA組合長・会長緊急会議


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