ミラノ博で「和食は世界の未来食」発信-農水省2015年7月9日
イタリア・ミラノで開かれている「食」をテーマにしたミラノ万博で、日本は「和食は世界の未来食」の発信に力を入れる。里山や水田を基盤にした持続的な農業や、「うまみ」や発酵などに着目した和食には、世界が抱える食と農の問題を解決する知恵と技術がある。これを日本国内でも再認識し次世代に日本食文化を伝えることが大切になっているとして、農林水産省は各地でイベントを開催していく。その第1回が6月に東京都内で開かれた。
6月27日に開かれたシンポジウムのテーマは「世界に拓かれた和食」。基調講演をミラノ万博日本館の展示設計に参加した京都造形芸術大学教授の竹村真一氏が行った。 日本は人口減少社会となったが、世界全体では年に8000万人の増加、1日あたり22万人増えている。
竹村教授はこうした事実を改めて紹介し「食と農の問題は今われわれの足下にある。地球を養って人を元気にするため量と質の両方から食を再設計することが迫られている」として、日本の食と農には「未来の地球食のOS(オペレーションシステム)がたくさんつまっている」と強調した。
たとえば水田農業は米1粒を2000粒にして多くの人へ食料を供給するが、連作障害もなく持続可能で、さらに水田の保水機能は緩やかな水の流れをもたらして生物多様性を生み出すことに貢献してきた。
また、和食の特徴のひとつ「発酵」はビタミンやミネラルなどを何倍にも増やし食材の「質」を上げている技術だ。また出汁に含まれる「うま味」(グルタミン酸)は少量の食材でも人に満足感を与えることが海外の研究でも明らかにされている。鰹節づくりなど出汁をとるための加工には時間と手間はかかるものの、料理の際には短時間でおいしい"ブイヨン"が得られる。竹村教授はこれを「ファストなスローフード」と評する。
そのほか、「旬」の食材を大切にするのは「地球のリズムとシンクロする生き方」と考えるべきで、農協などの「協同組合」が小規模な家族農業の自立ネットワークとしてアジアに存在することも重要だという。
このように「人を良くする食、地球を良くする農」の知恵が日本の農業と和食にはあるとして竹村教授は「過去からの単なる継承ではなく未来をつくるための和食という視点が必要。地球価値創造のための平和の武器としての日本の農と食だと思う」と強調した。
パネルディスカッションにはJA全中の大西茂志常務も出席。「日本の食と農のベースには人と人が助け合うという文化、がある」などと話し、JAグループのミラノ万博への協賛内容などを紹介した。
JAグループは7月11日からのミラノ万博のジャパンデーのレセプションに国産食材や料理を提供するほか、パレードにJAグループ福島が参加、ほかに輸出拡大の商談会、や世界の協同組合との連携強化をテーマしたシンポジウムなども開催する。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(149)-改正食料・農業・農村基本法(35)-2025年7月5日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(66)【防除学習帖】第305回2025年7月5日
-
農薬の正しい使い方(39)【今さら聞けない営農情報】第305回2025年7月5日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 石川県2025年7月4日
-
(442)エーカレッジ(作付面積)から見る変化【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月4日
-
【JA人事】JAながさき県央(長崎県)里山耕治組合長を再任(6月27日)2025年7月4日
-
人的資本を人事制度で具体化する 「令和7年度 人事制度改善セミナー」開催 JA全中2025年7月4日
-
「有機薄膜太陽電池」で発電した電力 ブドウの着色に活用 実証実験開始 山梨県2025年7月4日
-
株主優待制度を新設 農業総研2025年7月4日
-
夏の訪れ告げる初競りの早生桃 福島県産「はつひめ」販売 青木フルーツ2025年7月4日
-
ニッテン「スズラン印」ロゴマークをリニューアル 日本甜菜製糖2025年7月4日
-
「国際協同組合年」認知度調査「生協に参加したい」が7割 パルシステム2025年7月4日
-
洋菓子のコロンバン主催「全国いちご選手権」あまりんが4連覇達成2025年7月4日
-
野菜わなげや野菜つり 遊んで学ぶ「おいしいこども縁日」道の駅とよはしで開催2025年7月4日
-
北海道初進出「北海道伊達生産センター」完成 村上農園2025年7月4日
-
震災乗り越え健康な親鶏を飼育 宮城のたまご生産を利用者が監査 パルシステム東京2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「農政技術(森林)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「獣医師(家畜保健衛生分野)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
信州の味が集結 JA全農長野×ファミマ共同開発商品 長野県知事に紹介2025年7月4日
-
障害者のやりがい・働きがい・生きがい「ガチャタマ」で応援 パルシステム埼玉2025年7月4日