海外からの乳用資源導入も-Jミルクが政策要望2016年6月22日
(一財)Jミルクは6月2日の総会で酪農生産基盤強化に向けた政策要望を決めた。海外からの乳用牛資源導入も含めた緊急的な対策まで必要との認識で生産基盤強化に向けた危機感を強調した。
Jミルクは酪農乳業をめぐる認識として、TPP合意などで乳製品自由化の動きがさらに加速する可能性がある一方、国際的な需給を考えると「中長期的にはひっ迫が予想され、わが国の乳資源調達を輸入に依存することは困難となる恐れがある」と強調している。
一方、政府は基本計画で平成37年度の生乳生産努力目標を750万tとして、国産生乳の安定供給をめざしているが、Jミルクは乳用資源不足が続けば目標実現は困難になると指摘している。
その理由は、肉用子牛価格が高騰するなか、酪農家による肉用子牛生産が増えホルスタインなど乳用牛資源が減少し、酪農経営の維持・拡大の阻害要因になっていることや、今後は、TPP合意による牛肉関税の段階的削減によってさらに酪農経営が肥育素牛の供給源となる構造が強まることをあげている。
また、輸入飼料の国際需給もひっ迫基調で不安定であり「流通飼料に強く依存した日本型酪農の脆弱性も顕在化する」と懸念している。
こうしたなか、生乳供給の安定を実現するために求められる対策は「海外乳用牛資源の導入も含めた緊急的な措置」が必要と危機感を表明した。 また、輸入飼料依存を改革するため、国産粗飼料や食品残さの活用などのエコフィードの利用に加え、飼料用穀物への作付転換を促進するなど、飼料全体の国産化を推進することが必要だとしている。
酪農経営の所得安定・再生産確保を図るため、加工原料乳生産者補給金制度は、国産生乳の需要確保と酪農の所得安定の視点を十分にふまえた運営と財源確保を図ることが重要だと提言し、同時に飲用乳の生産地帯である都府県酪農の所得安定対策について検討しておく必要性も強調した。
指定団体制度については、酪農乳業が培ってきた需給調整や品質確保のための一体的な取り組み、集約的・効率的な輸送システムなど安定的な生乳流通などの機能を酪農乳業者が共同して堅持していくことが必要だとして、指定団体制度の機能が維持・強化されるような支援が政策に求められると要望している。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(138)-改正食料・農業・農村基本法(24)-2025年4月19日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(55)【防除学習帖】第294回2025年4月19日
-
農薬の正しい使い方(28)【今さら聞けない営農情報】第294回2025年4月19日
-
若者たちのスタートアップ農園 "The Circle(ザ・サークル)"【イタリア通信】2025年4月19日
-
【特殊報】コムギ縞萎縮病 県内で数十年ぶりに確認 愛知県2025年4月18日
-
3月の米相対取引価格2万5876円 備蓄米放出で前月比609円下がる 小売価格への反映どこまで2025年4月18日
-
地方卸にも備蓄米届くよう 備蓄米販売ルール改定 農水省2025年4月18日
-
主食用МA米の拡大国産米に影響 閣議了解と整合せず 江藤農相2025年4月18日
-
米産業のイノベーション競う 石川の「ひゃくまん穀」、秋田の「サキホコレ」もPR お米未来展2025年4月18日
-
「5%の賃上げ」広がりどこまで 2025年春闘〝後半戦〟へ 農産物価格にも影響か2025年4月18日
-
(431)不安定化の波及効果【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月18日
-
JA全農えひめ 直販ショップで「えひめ100みかんいよかん混合」などの飲料や柑橘、「アスパラ」など販売2025年4月18日
-
商品の力で産地応援 「ニッポンエール」詰合せ JA全農2025年4月18日
-
JA共済アプリの新機能「かぞく共有」の提供を開始 もしもにそなえて家族に契約情報を共有できる JA共済連2025年4月18日
-
地元産小粒大豆を原料に 直営工場で風味豊かな「やさと納豆」生産 JAやさと2025年4月18日
-
冬に咲く可憐な「啓翁桜」 日本一の産地から JAやまがた2025年4月18日
-
農林中金が使⽤するメールシステムに不正アクセス 第三者によるサイバー攻撃2025年4月18日
-
農水省「地域の食品産業ビジネス創出プロジェクト事業」23日まで申請受付 船井総研2025年4月18日
-
日本初のバイオ炭カンファレンス「GLOBAL BIOCHAR EXCHANGE 2025」に協賛 兼松2025年4月18日
-
森林価値の最大化に貢献 ISFCに加盟 日本製紙2025年4月18日