高温耐性品種の導入促す-農水省のレポート2017年9月21日
農林水産省は9月20日、「平成28年地球温暖化影響調査レポート」をとりまとめホームページに掲載した。28年は年間を通して全国的に高温傾向が続き西日本を中心に水稲で白未熟粒の発生報告があったことなどをレポートし高温耐性品種の導入を進める必要があると提起している。
各都道府県の協力で1月~12月を調査対象期間とした地球温暖化に伴う農業生産への影響を調査した。
28年の気候は北日本の秋を除き年間を通して全国的に高温傾向が続いた。
おもな農畜産物への影響は、水稲で西日本を中心に白未熟粒の発生報告があった。適応策として高温耐性品種を導入し、その作付面積は年々増加し28年は約9万1000haと前年比105%となり22年とくらべると約2.4倍の面積となっている。
ただ、同レポートでは全作付面積に占める割合は約6.6%にすぎないことから高温障害の発生が顕著な地域や今後増加が予想される地域では、導入を進める必要があると提起している。また、移植時期の繰り下げは作期分散による生産コストの削減を図る面からも検討する必要があり、肥培管理は生育後半に肥切れしないよう適切な施肥が必要だと指摘している。
果樹ではブドウ、リンゴで着色不良・着色遅延の報告が昨年を上回った。ウンシュウミカンの浮皮についても昨年を上回る報告があった。
ブドウでは着色向上のため、樹皮の環状剥皮処理などの取り組みが行われているが、園地条件によっては虫害による被害(クビアカスカシバ等)を受けやすくなると注意を促すとともに、果樹生産の対策としては、成園するまでに時間がかかることから品目・品種転換を計画的に進める必要があるとしている。
野菜ではトマトで着果不良や生育不良、イチゴで花芽分化の遅れについて昨年を上回る報告があったという。課題としてはトマトで着果向上を目的に細霧冷房の導入や、ヒートポンプなどの導入が行われているが、電気代などコストと品質向上による収益向上を考慮すべきだなどと指摘している。
乳用牛では夏季の高温で乳量・乳成分の低下、斃死などの報告があった。対策としてヒートストレスメーターによる指標をふまえた適切な暑熱対策などを指摘した。
レポート全文は以下のURLに掲載されている
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/report.html
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