日米閣僚協議始まる 「期限ありきではない」自民・森山氏クギ2019年8月22日
日米貿易交渉が、8月21日から米国ワシントンで茂木敏光大臣とライトハイザー通商代表との閣僚協議で始まった。これに先立ち、20日、自民党はTPP・日EU・日米TAG等経済協定対策本部とTPP交渉における国益を守り抜く会の合同会議を開き、森山裕本部長は「われわれとしては合意の期限ありきではない。大事なことは日米共同声明に沿ったかたちで妥結させなければならないということだ」と強調した。
20日の自民党の会合。森山本部長は「期限ありきではない」と強調した
複数の報道によると、21日の会合は米国ワシントンのUSTRで5時間行われ、早期に成果を実現するため作業を加速させることで一致した。茂木大臣は国益をかけた交渉だから非常に難しいと述べる一方、大詰めを迎えつつあるとの認識も示した。
20日の自民党の会合で交渉を担当している内閣官房TPP等政府対策本部の澁谷和久政策調整統括官は、これまでの事務レベル協議で「議論はだいぶかみ合ってきた」と進展を認めつつも、「まったく予断を許さない。難しい案件はほぼ手つかずで残っている」との話した。
農業分野では、TPP協定でアメリカの参加を前提として合意した乳製品をはじめとする33品目の低関税輸入枠が焦点のひとつ。日米協議で米国枠を新設すれば、昨年9月の共同声明でTPP水準の譲歩が最大限とする合意に反することになる。同様に牛肉のセーフガードの発動水準も米国の参加を前提とした水準で決めている。こうした点について澁谷政策調整統括官は「TPPと同じ対応を日米協定で行うのは難しい」と述べて米国に理解を求めているとした。
また、米国は交渉では農業を先行させ、日本から自動車の関税引き下げを迫られるなど工業は後回しにしたいという思惑があるが、「バランスのとれた内容でなければ国会を通らないこと」を米国にも強調しており、農産品だけ一方的に譲歩することはあり得ないと強調した。
ワシントンでの閣僚協議は3日間予定されているといい、週末に開催されるフランスでのG7サミットでの日米首脳会談も念頭に協議されるとみられる。米国は9月下旬の国連総会での首脳会談で一定の合意を得たい考え。
20日の自民党の会合では「ウィンウィンとなる交渉は重要だが、農家は農業がバーターになる(犠牲になる)のではないかという不安がある。一歩も譲ることができないという意志で臨んでほしい」という声も出た。
(関連記事)
・TPP以上 断固認めず-日米貿易交渉で自民対策本部(19.08.19)
・【与野党の政策責任者に聞く:どう進める? 今後の農政】野村哲郎自民党農林部会長(19.08.08)
・立憲民主党・亀井亜紀子農林水産部会長(19.08.20)
・国民民主党・玉木雄一郎代表(19.08.19)
・日本共産党 紙智子農林・漁民局長(19.08.21)
・【クローズアップ】日米通商交渉 とめどなき譲歩への第一歩(19.04.18)
重要な記事
最新の記事
-
「令和の米騒動」と水田政策の未来 事後調整の必要とJAの機能 西川邦夫茨城大教授に聞く(2)2025年7月17日
-
【注意報】早期・普通期水稲に穂吸汁性カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 長崎県2025年7月17日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 愛知県2025年7月17日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 福島県2025年7月17日
-
全国の優績LA322人、27県の62チームを表彰 原点に立ち返り確かな一歩を JA共済連2025年7月17日
-
25年産米概算金、南国そだち2万2700円に 「相場見極め有利販売に注力」 JA高知県2025年7月17日
-
【地域を診る】能登半島地震から1年半 地域の農林漁業と医療・福祉を軸にした地域再生の必要性 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年7月17日
-
造花が増加【花づくりの現場から 宇田明】第64回2025年7月17日
-
ナガイモの産地間競争と国際化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第349回2025年7月17日
-
【'25新組合長に聞く】JAにしうわ(愛媛) 井田敏勝氏(6/26就任) 高品質のみかん、全国に届ける2025年7月17日
-
令和7年度「田んぼの生きもの調査」を実施 JA全農あきた2025年7月17日
-
令和7年度「第3回農業体験研修」を実施 草刈り作業などに取り組む JA全農あきた2025年7月17日
-
JA全農福島とテレビユー福島(TUF) 新コーナーで直売所「愛情館」から農畜産物PR2025年7月17日
-
令和7年度JA全農東北地区野球大会でJA全農福島が3位に2025年7月17日
-
「福島県産ももセリ台PR」を実施 県オリジナル品種「はつひめ」1箱10万円で取り引き JA全農福島2025年7月17日
-
最新・スマート農機の実演や展示も 福岡で「あぐりフェスタ2025」 JA全農ふくれん2025年7月17日
-
JA鹿本でジャンボスイカ品評会開催 最優秀は119キロの超特大果実2025年7月17日
-
鳴門市×おてつたび×JA里浦「半農半X」推進シェアハウス事業「なると金時編」開始2025年7月17日
-
農業ロボット開発のレグミンへ出資 AgVenture Lab2025年7月17日
-
北海道森林組合連合会のWEBメディア「森のしごと帖」スタート2025年7月17日