「食品産業もったいない大賞」で農林水産省食料産業局長賞 キユーピーグループ2020年2月14日
キユーピー(東京都渋谷区)とキユーピータマゴ(東京都調布市)は、長年取り組んでいる卵殻と卵殻膜の価値探求と食と健康への貢献について、第7回「食品産業もったいない大賞」(主催:公益財団法人 食品等流通合理化促進機構、協賛:農林水産省)の農林水産省食料産業局長賞を受賞した。
2月6日に行われた表彰式の様子。写真左は、キユーピータマゴの齋藤謙吾社長
今回の受賞テーマは、「未利用資源としての卵殻および卵殻膜の価値探求と食と健康への貢献」。キユーピーグループは、日本の年間卵生産量の約10%にあたる約25万トンの卵を年間使用している。発生する卵殻は1年間に約2.8万トンに達し、廃棄すると環境へ多大な負荷が掛かるため、1956年から卵殻を天日で干し、土壌改良材(肥料)として農家へ販売している。現在では社内外と協働することで100%有効活用しているという。
卵殻について同グループは近年、東京農業大学応用生物科学部の辻井良政教授、加藤拓准教授と共同で、卵殻の肥料としての価値を研究。水稲に卵殻を施肥することで、猛暑などの天候不順による水稲への影響を低減し収穫量を改善することや、米の品位が向上することが分かってきた。米の作付面積は日本の耕地面積の多くを占めるため、将来的には、キユーピーグループだけでなく日本全体の卵殻を有効活用できると期待されている。
水田に卵殻を施肥する様子(埼玉県の協力農家)
また、ベトナムのハノイ国立栄養研究所との共同研究では、卵殻カルシウム(食用微細化卵殻粉、炭酸カルシウムを主成分とする生体素材)がヒトの骨量を増加させることを確認。卵殻は、高齢化で世界的に課題となる骨粗しょう症の解決に貢献できる素材といえる。現在ベトナムでは、卵殻カルシウムを配合した栄養強化食品の販売と合わせ、学校や病院への認知啓発と提案を進め、子どもの体格向上と高齢者の骨粗しょう症への課題解決に取り組んでいる。
さらに、キユーピー独自の製法で卵殻と卵殻膜を分離することに成功。卵殻膜には、肌のハリの素となるⅢ型コラーゲンを増やす働きがあることが分かり、1991年から化粧品原料として活用している。
同表彰は、食品産業の持続可能な発展に向け、「省エネルギー・CO2削減」「廃棄物の削減・再生利用」「教育・普及」などの観点から、顕著な実績を挙げている食品関連事業者や食品産業による取り組みを促進・支援している企業、団体、個人を対象としている。
同グループの「食品産業もったいない大賞」での受賞は、「野菜の未利用部を活用した資源循環の推進」で受賞した昨年に続き2度目。
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