輸入食品763件の法令違反が発覚 厚労省が監視指導結果を公表2020年9月2日
厚生労働省が輸入食品に対して行う監視指導結果によると、輸入届出件数254万4674件のうち0.03%に相当する763件(延べ800件)に法令違反が確認されたことが分かった。それら違反食品には荷の積み戻しや廃棄などの措置が講じられている。
食料自給率がおよそ4割の日本に輸入される食品などの安全性を確認するための監視指導で、厚労省が令和元年度の結果をこのほど公表したもの。届出件数254万件の総重量はおよそ3327万トンだった。
輸入届出があったうち、違反の確率が高い食品など21万7216件に対して検査を実施し、763件(延べ800件)の法令違反を確認。そのうえで、多種多様な輸入食品などの安全を確保する目的で実施するのがモニタリング検査で、食品群ごと輸入実績や違反率などを勘案し、検査数や検査項目を決めて実施する。令和元年度は5万5916件実施し、144件に法令違反を認めた。
平成20年に発生した「中国産冷凍ギョウザ」事件の際に新設した加工食品の残留農薬検査は今回、1万761件実施。ベトナム産パプリカ加工品でアセフェート違反を一件確認したため、原料パプリカやその加工品のモニタリング検査の検査率を引き上げて実施し、特定製造者には輸入の都度、自主検査を行わせるなど体制強化を図った。
法違反の可能性が低いと見込まれる輸入品などは、対象国や対象食品など検査項目を定めて実施しており、令和2年3月31日時点で全輸出国が対象の17品目および31カ国・2地域が対象の80品目が検査の対象。令和元年度は6万9185件実施し、201件で法違反を確認しそれら違反食品などの積み戻しや廃棄などの措置が講じられている。
違反の内訳は、微生物や残留農薬、残留動物用医薬品など「食品の成分規格」と「添加物の使用基準等」が450件、アフラトキシンなど「有害・有毒物質の付着等」222件、「指定外添加物の使用」53件、「器具または容器包装の規格」35件、「おもちゃの規格」が3件、「食肉の衛生証明書の不添付」1件など。
例えば微生物に関する規格違反を国別にみると、中国60件(31.7%)、ベトナム26件(13.8%)、台湾21件(11.1%)と続き、違反内容の多くは冷凍食品の汚染の指標である微生物(細菌数や大腸菌群など)関係134件(70.9%)だった。
残留農薬違反は中国25件(19.2%)、米国19件(14.6%)、ベトナム16件(12.3%)と続き、中国は、玉ねぎの「チアメトキサム」、米国では、とうもろこしの「デルタメトリンおよびトラロメトリン」、ベトナムは、きだちとうがらしの「トリシクラゾールおよびプロピコナゾール」がそれぞれ最も多かった。
腐敗や異臭・カビの発生違反は米国が36件(69.2%)と圧倒的に多く、カナダ5件(9.6%)やオーストラリアおよびタイ4件(7.7%)と続く。米国とオーストラリアは小麦、カナダは菜種で最も多く、タイはすべて米で同様の違反がみられた。
厚生労働大臣が危害を防止するため必要と認めた場合に検査をせずに発動する「包括的輸入禁止措置」が該当したケースはなかったが、海外からの情報などに基づき、フランスのナチュラルチーズや中国および韓国の貝類加工品などに対する製品の積み戻し措置などを実施した。
違反が認められた場合、輸出国政府との二国間協議などを通じて原因の究明や再発防止対策の実施を要請するが、令和元年度は、タイ産のおくらやグリーンアスパラガス、バナナおよびマンゴーの残留農薬、フィリピン産バナナの残留農薬、インド産養殖えびの合成抗菌剤について、要請後の現地における再発防止策が確認できたため、検査命令の一部免除を行った。
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