飼料用米 1700ha減-令和2年産の作付状況2020年10月7日
農林水産省がまとめた令和2年産の水田の作付け状況によると飼料用米の作付けが前年より1700ha減って7万1000haとなった。来年6月末の主食用米の在庫が200万t超と大幅に増える見込みのなか、来年産から非主食用米への作付け転換をどう進めるが大きな課題となる。
令和2年産の全国の主食用米の作付け面積は、都道府県ごとに増減があるものの、前年の137万9000haから1.3万ha減少し136万6000haとなった。
飼料用米など戦略作物への転換を進めるため、農水省は米の用途変更の申請期限の6月末を2度延長し、9月18日までとした。その結果、7月から9月にかけて4000haが主食用以外に用途変更された。
令和2年産で主食用米の作付けを増やしたのは秋田と鳥取。前年と同じがが栃木、群馬、岐阜、京都、熊本となっており、それ以外の40道都府県が削減幅にばらつきはあるが減少させた。
一方、戦略作物では米粉用米、輸出用米(新市場開拓用米)、備蓄米の作付面積が増加する一方、加工用米、飼料用米が減少した。
加工用米は平成29年では5万2000ha作付けされたが令和2年は4万5000haに減少した。飼料用米は平成29年に9万2000ha作付されたが、令和2年は7万1000haに減少した。
コロナ禍で飲食店の営業時間制限や巣ごもりなどで加工用米の主要用途である日本酒の消費が大幅に減少している。また、主要輸出先の韓国への日本酒輸出も激減している。日本酒以外の用途の米菓や味噌などは外国産米が使用されている状況にあり、加工用米を作付けしても行き場をなくす可能性がある。
一方、飼料用米は基本計画で令和12年に70万tとする目標を立てている。また、飼料用米以外は需要をほぼ満たしていることから主食用米からの転換は飼料用米を中心に切り替えるを得ない状況にある。
令和2年産から複数年契約することで交付金が加算されることになり、「飼料用米は複数年契約で少し増加。主食用米の作付けは少し下がった」(東北のJA)との声もある。しかし、主食用米の手取りの差がある。
JAグループの試算によると、主食用米の10aあたり手取りは、60kgあたりの販売単価を1万5556円(令和元年産の全銘柄加重平均価格、税込み・運賃・包装込み)、単収9俵とすると約14万円となる。
一方、飼料用米は販売単価が60kg1500円でこれに10aあたり8万円(基準値)の水田フル活用の交付金が交付される。(飼料用米の交付金は収量に応じて10aあたり5.5万円~10.5万円となる)これに複数年加算10aあたり1.2万円と転作拡大加算同1.5万円を合計しても10aで約12万円にしかならず、10aあたりの手取りに2万円近くの差がある。
関東のあるJA担当者は「農家手取り、経営を考えると主食用米を作らないとやっていけない。飼料用米として出荷しても主食用米と同程度の手取りになるような施策がないと、主食用米は減らない」と話す。大幅に転換するには、この品目間格差の是正が課題となる。
一方、主食用についてJAグループは令和2年産20万tを米穀周年供給・需要拡大支援事業を活用して来年の秋以降に販売する取り組みを進める。同事業を調整補完する倉庫料などの助成に活用する。令和3年度の概算要求では50億円を措置。農水省によると35万t分を想定した額だという。
令和2年産米の作柄見込みから主食用米の過剰が見込まれる状況になっている。
JA全中の馬場利彦専務は10月1日の記者会見で「大きな需給ギャップがある。どういう水田農業であるべきか。地域での話し合い、関係者一体となった取り組みを進めていくことが大事だ」と強調した。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 石川県2025年7月4日
-
(442)エーカレッジ(作付面積)から見る変化【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月4日
-
【JA人事】JAながさき県央(長崎県)里山耕治組合長を再任(6月27日)2025年7月4日
-
人的資本を人事制度で具体化する 「令和7年度 人事制度改善セミナー」開催 JA全中2025年7月4日
-
「有機薄膜太陽電池」で発電した電力 ブドウの着色に活用 実証実験開始 山梨県2025年7月4日
-
株主優待制度を新設 農業総研2025年7月4日
-
夏の訪れ告げる初競りの早生桃 福島県産「はつひめ」販売 青木フルーツ2025年7月4日
-
ニッテン「スズラン印」ロゴマークをリニューアル 日本甜菜製糖2025年7月4日
-
「国際協同組合年」認知度調査「生協に参加したい」が7割 パルシステム2025年7月4日
-
洋菓子のコロンバン主催「全国いちご選手権」あまりんが4連覇達成2025年7月4日
-
野菜わなげや野菜つり 遊んで学ぶ「おいしいこども縁日」道の駅とよはしで開催2025年7月4日
-
北海道初進出「北海道伊達生産センター」完成 村上農園2025年7月4日
-
震災乗り越え健康な親鶏を飼育 宮城のたまご生産を利用者が監査 パルシステム東京2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「農政技術(森林)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「獣医師(家畜保健衛生分野)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
信州の味が集結 JA全農長野×ファミマ共同開発商品 長野県知事に紹介2025年7月4日
-
障害者のやりがい・働きがい・生きがい「ガチャタマ」で応援 パルシステム埼玉2025年7月4日
-
参議院選挙に行ってとんかつ割引「選挙割り」実施 平田牧場2025年7月4日
-
作物と微生物の多様な共生が拓く農業の未来 意見論文が米国植物科学誌に掲載 国際農研2025年7月4日
-
国産率100%肥料の商品を販売開始 グリーンコープ共同体2025年7月4日