農産物輸出 品目別・国別に目標設定-政府2020年11月24日
農林水産省は11月20日の農林水産物・食品の輸出拡大のための関係閣僚会議に輸出拡大実行戦略の骨子を示した。日本の強みを最大限に活かす品目別の具体的目標を年末までに設定することなどが柱。
政府は農産物輸出の拡大に向け、海外で求められるスペック(量・価格・品質・規格)の産品を専門的、継続的に生産、販売する体制の整備を図るため、3つの基本的考え方で政策を立案、実行する。
1つは日本の強みを最大限に活かす品目別の具体的目標を設定する。米国では大豆やトウモロコシ、小麦、牛肉など広大な土地を利用した産品の輸出に力を入れこの4品目で29%を占める。また、フランスはワインと蒸留酒、チーズで28%を占める。これに対して日本は調製食料品や清涼飲料水など多様な加工品が多くを占め、米は0.9%と日本らしい産品の輸出比率は小さい。
そのため海外で評価される日本の強みを持つ品目を中心に政策資源を重点的に投入する方針だ。具体的には▽輸出重点品目と輸出目標の設定、▽重点品目の輸出ターゲット国や輸出目標、手段の明確化、▽重点品目ごとに関係事業者を包括する品目団体などコンソーシアムの組織化といった官民一体となった販売力強化。基本的考え方の2つめは、マーケットインの発想で輸出にチャレンジする農林水産業者の後押し。具体的には▽リスクを輸出に取り組む事業者へのリスクマネーの供給や技術指導などの支援、▽海外の規制やニーズに対応した産品を生産する輸出産地の特定、▽大ロット、高品質、継続的な輸出に対応可能な輸出物流の構築に取り組む。
3つめの基本的考え方は省庁の垣根を超え政府一体として輸出の障害を克服することだ。中国、香港、台湾など近隣諸国を中心に輸出規制が残っているほか、タイの農薬規制など、アジアで規制強化の方向が強まっていることなどへの対応や、苗木の海外流出といった問題もある。
そのため▽重点品目を中心に輸出先国規制の緩和と撤廃に向けた政府一体での協議、▽輸出先国の規制やニーズに対応した加工施設の整備、▽日本の強みを守るための知的財産対策強化に取り組む。
農水省は次回の関係閣僚会議に輸出重点品目とターゲット国、輸出目標額などを示す。
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