サトイモ疫病発生で防除徹底を 愛媛県2021年7月29日
愛媛県病害虫防除所は7月21日、県内で今年初となるサトイモ疫病の発生を確認したことから、病害虫防除技術情報第6号を発表した。
初発を確認した葉の症状(写真提供:愛媛県病害虫防除所)
7月20日に東伊地域でサトイモ疫病の初発生を確認した。この病は、平成27年に同県で発病が初めて確認され、同28年以降は発生地域が徐々に拡大している。 昨年の初発は7月9日に確認されている。
この疫病の病原菌は、サトイモ属にのみ感染し、葉では、比較的大きな褐色楕円形の輪紋病斑が発生する。葉柄では、まずシミ状の黒褐色斑が発生し病斑が拡大すると、この部分から折れて葉が垂れ下がる。
発病後に雨が続き多発すると、茎葉は短期間に腐敗消失する。イモの腐敗は少ないが、発病時期が早まると茎葉の消失によるイモの肥大不良で大きな減収となる。
25℃以上の高温で連続した降雨(梅雨後期、秋雨、台風の接近による強風雨など)で発病しやすい。このような好適条件下では、感染力が強く、短期間に発生地域が拡大するなど、他の品種の疫病の被害に比べ、感染スピードが速い傾向がみられる。
第一次伝染源は、土壌中の残渣や種芋の可能性が高く、第二次伝染は、葉や葉柄の病斑上に形成される病原菌(遊走子)の飛散やうね間の水を介しての伝染と推察される。
同防除所の担当者は、発病の拡大は、台風などによる強風雨や夏場の連続降雨といった気象条件が整うと予想以上に広範囲に拡大するおそれがあるため、未発生地域でも発病には十分注意するよう呼びかけている。
防除対策は次のとおり。
○ほ場をこまめに観察し、葉の病徴の有無を確認する。特に発病は、中位葉から下位葉で多くみられ、ほ場の周辺箇所からの発病が多いので注意する。
○発病葉などは早急に除去し、ほ場外に持ち出す。
○ジーファイン水和剤、ペンコゼブ水和剤による定期的な予防散布を行う。発病が認められたほ場では、直ちにダイナモ顆粒水和剤、アミスター20 フロアブルを散布する。なお、サトイモの茎葉は水をはじきやすく薬剤が付着しにくいため、展着剤を必ず加用する。 ○台風の通過後に茎葉が損傷した場合は、発病茎葉を袋に入れ、密閉にした状態でほ場外に持ち出す。ほ場内の菌密度を下げ、直ちに治療剤であるダイナモ顆粒水和剤、アミスター20 フロアブルを散布する。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(140)-改正食料・農業・農村基本法(26)-2025年5月3日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(57)【防除学習帖】第296回2025年5月3日
-
農薬の正しい使い方(30)【今さら聞けない営農情報】第296回2025年5月3日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「盗人に追い銭」「鴨葱」外交の生贄にしてはならぬ農産物2025年5月2日
-
【2025国際協同組合年】情報を共有 協同の力で国際協力 連続シンポスタート2025年5月2日
-
イネカメムシが越冬 埼玉、群馬、栃木で確認 被害多発の恐れ2025年5月2日
-
九州和牛をシンガポール人に人気のお土産に 福岡空港で検疫代行サービスを開始 福岡ソノリク2025年5月2日
-
就労継続支援B型事業所を開設し農福連携に挑戦 有機農家とも業務提携 ハピネス2025年5月2日
-
宮崎ガス「カーボン・オフセット都市ガス」 を県庁などに供給開始 農林中金が媒介2025年5月2日
-
5月29日から「丸の内 日本ワインWeeks2025」開催 "日本ワイン"を学び、楽しむ3週間 三菱地所2025年5月2日
-
協同心の泉 大切に 創立記念式典 家の光協会2025年5月2日
-
【スマート農業の風】(14)スマート農業のハードルを下げる2025年5月2日
-
(433)「エルダースピーク」実体験【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年5月2日
-
約1cm程度の害虫を強力捕獲「吊るしてGET虫ミニ強力タイプ」新発売 平城商事2025年5月2日
-
農中情報システム 自社の導入・活用のノウハウを活かし「Box」通じたDX支援開始2025年5月2日
-
洗車を楽しく「CRUZARD」洗車仕様ホースリールとノズルを発売 コメリ2025年5月2日
-
戦後80年の国際協同組合年 世代超え「戦争と平和」考える パルシステム神奈川2025年5月2日
-
生協の「地域見守り協定」締結数 全市区町村数の75%超の1308市区町村に到達2025年5月2日
-
ムコ多糖症ニホンザルの臨床徴候改善に成功 組換えカイコと糖鎖改変技術による新型酵素2025年5月2日
-
エフピコ×Aコープ「エコトレー」など積極使用で「ストアtoストア」協働を拡大2025年5月2日