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農政:バイデン農政と日本への影響

【バイデン農政と日本への影響】第7回 穀物・大豆価格は2012年以来の高値圏へ――米国穀倉地帯で強まる干ばつ懸念2021年5月11日

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バイデン大統領は4月28日、施政方針演説のなかでこう述べた。「気候変動の危機に直面するなかで私たちは、あまりに長い間、大切な言葉を使わないできた。雇用だ。それは(気候変動対策が生み出す)雇用、雇用だ。……農家の場合も同じだ。(例えば)被覆作物を植え、空気中の二酸化炭素を削減する農家は、それによって対価を受け取ることができるのだ」。

中国政府によるASFまん延阻止対策

しかし、バイデン農政の目玉とも言えるこの脱炭素農業に対し、農家の関心は高まっていない。4月28日に報じられた農業専門誌アグリ・パルスの農家調査結果(回答者976名)が、現場の実態を示している。

「(脱炭素農業を普及するためにバイデン政権が)新たな制度を設けることは支持しない」との回答が72%を占め、「(同農業で農家へ新たな)所得源を提供するのを支持する」は4%に過ぎなかった。それに加え、「(脱炭素農業のことは)知らない」との回答が9%にも及んだのだ。

この背景には、(1)脱炭素農業による排出ガス抑制効果のクレジット価格がいまだ決まらず、メディアが予測する1エーカー当たり20ドル程度では魅力的な水準にならない、(2)巨額の財政出動を打ち出すバイデン政権の「大きな政府」は農地の固定資産税などの引き上げにつながるとの警戒感が、大規模農家を中心に広まっている、(3)大統領選挙を境に農業をめぐる状況が好転し、農家や農業関係者の多くは中国への輸出急増や穀物価格の高騰、それに国内の干ばつ懸念に関心を強めてきた、という事情がある。

なかでも、4月から5月初めにかけ市場価格を引き上げた内外の動きに、農家の関心は引き寄せられている。その一つが、中国におけるASF(アフリカ豚熱)の再燃だ。

今年初めに再燃したASFの被害は、その後も拡大。これを阻止するために中国政府は4月21日、国内を5ブロックに分け、ブロック間の生体豚の移動を禁止すると発表した。

これに対し米国の市場では、豚肉需要の高いブロックで豚の増頭対策がさらに強まり、飼料穀物の輸入増は今後も続くとの思惑が、大豆と穀物の価格をさらに押し上げた。

実際、本年1~4月における中国の大豆輸入量は2800万トンを超え、昨年同期比で17%増。食肉・植物油の輸入も増えており、今後の価格高騰に備えた前倒し輸入は続くと予想されている。

なお、国連食糧農業機関(FAO)によると、4月29日に中国北部の内モンゴル自治区でASFの発生が新たに確認されており、鎮静化のめどはたっていない。

2桁台の食料インフレが拡がる危険も

米国での穀物・大豆の価格高騰へさらに拍車をかけたのが、中西部から西部につらなる14州での干ばつ懸念だ。少雨現象がさらに続けば、発芽率の低下と収量減につながる。これに加え、ブラジルなど南米農業国での減産予測も市場に広まってきた。

米国の穀物・大豆価格の推移そのため、5月初旬のシカゴ商品取引所では、大豆、トウモロコシおよび小麦の価格が軒並み2012年以来の高値圏へ突入した(表参照)。5月7日の取引結果(平均終値)をみると、トウモロコシはブッシェル当たり7.32ドル、昨年5月4日の3.19ドルの2.3倍。大豆価格の15.90ドルも同8.51ドルの1.9倍だ。

他方、新型コロナのワクチン接種が進み、経済活動の再開が急速に広まる欧米諸国では、外食産業を中心に食料需要が急増。米国では、特に鶏肉不足が深刻だ。4月に入り鶏肉供給は前月よりも毎週2~4%増えたが、需要の増加に追い付けず、5月初旬には鶏の手羽料理などをメニューから外すレストランも出てきたと伝えられる。

米国農務省によると、3月の食料品消費者物価指数は前月より0.2%アップ、昨年同月比で3.5%高だ。4月の世界食料価格指数(FAO、5月6日)は3月から1.7%アップし、11カ月連続で上昇。昨年同月比で30.8%も上がっている。

ロシアやブラジルなどの新興国に加え、中東諸国や東欧諸国では食料品価格が5%前後で値上がりし、トルコやウズベキスタンなどの西・中央アジア地域では食料品の値上がりでインフレが10%台に達した国も少なくない。2010年末に始まった「アラブの春」は、北アフリカのチュニジアでの食料暴動がきっかけとなった。当時と似たような現象が起きている。

ガソリン価格の高騰に連動し、米国ではトウモロコシ由来のエタノールの生産と輸出が急速に回復した。これもトウモロコシ価格高騰の一因だ。米国からのエタノール輸入を2018年から止めていた中国は、昨年11月から買い付けを急増している。中国をはじめ米国やヨーロッパの諸国では、ポスト・コロナ禍の需要増を当て込んだ動きがさまざまな商品市場で強まってきた。

日本では5月の連休、昼のテレビ情報番組が中国の「反食品浪費法」(4月29日)を取り上げ、その背景にある食料自給率の低下に識者は懸念を示した。だが、今の日本に中国のことを"心配"する余裕があるのだろうか。コロナ禍の次は食料、燃料、木材、鉱物など広範な資源インフレの到来となるかもしれない。

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