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農政:農業協同組合研究会 第13回研究大会

トータルコスト削減が鍵-全農・神出専務ら2017年4月27日

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農協研究会報告とディスカッション

 農業協同組合研究会(会長=梶井功・東京農工大元学長)は4月22日、東京都内で第13回の総会と研究大会を開いた。研究大会のテーマは「経済事業自己改革の実践と課題」。JA全農の事業改革の方向と、2つのJAの先進的な取り組み事例の報告をもとに、地域農業の振興策と農家組合員の農業所得増大策などで議論した。この中でJA全農の神出元一代表理事専務は、農業所得の増大について、「販売事業をきちっとできるかどうかが雌雄を決する」とし、米穀事業は「売ってもらう」から「自ら売る」に意識転換する必要があると強調した。JAからは岩手県のJAいわて中央の久慈宗悦代表理事組合長が「水稲作を中心とした農家手取最大化の取り組み」、愛媛県のJAおちいまばりの宇髙秀志常務理事が「農業振興計画レインボープランの実践」について報告した。意見交換では大型法人経営との関係の持ち方、准組合員の位置づけなどが焦点になった。

所得増大はトータル生産コスト低減と販売事業改革で!
これからの農業どうする? 国民議論も必要

全農・神出専務 政府の「活力創造プラン」に対する"全農の対応"は、とくに改革が求められた生産資材・農産物販売事業について具体策を策定した。見直しの観点は、一つは「会員・組合員から支持され、かけがえのない存在(代わりのきかない存在)であり続ける組織の戦略はどうあるべきか」、二つ目は「農業分野のメインプレーヤーとして、今後のわが国農業の持続的な発展に資するために社会に向かってどのような働きかけをすべきか」である。
 生産資材事業については、肥料を例にあげると、"全国あまねく良質の肥料を供給する"という事業モデルは現在では不十分と認識し、一般高度化成を皮切りに事前予約の積み上げ、入札の実施など新たな受注・共同購入方式へ転換する。銘柄集約も実施する。
 農業機械も型式を集約し徹底的に低価格化し事前予約のもとで仕入れる。「所有」から「利用」への転換も図る。段ボールでは園芸品目のパレット輸送を進め、それに合わせた段ボール規格に集約する。
 これらの取り組みと県域・地域での独自の取り組みなどの全体を通じて、トータル生産コストの低減を目指す。農薬についてはジェネリック農薬の共同開発を進める。

 ◇    ◇

 販売事業は「売ってもらう」から「自ら売る」への意識転換だ。
 米は徹底的に実需者への直接販売をする。並行して買取販売を増やす。31年度には直接販売は主食米取扱の90%、買取販売は同70%とかなり思い切った目標を掲げた。そのための実需者・卸業者との連携強化などを進めるが、何より大事なことは産地への販売情報のフィードバックと、売れる用途別の米をつくっていただくこと。これを播種前、複数年というかたちで契約を結び、どの産地でどの位の量が、どの需要者に結びついているのかを分かる事業にしていく。いわゆるバリューチェーンを自らが構築していく。
 今までのように、人に売ってもらい、売れなければ余るので価格が下がる、だから全農の概算金も下がるという世界から脱却しなければならない。時間がかかるが、マインドを変えなければならない。
 園芸事業はかなり実需者への直接販売をしているが、全農取扱金額約1兆円のうち過半の5500億円を目標とする。買取販売もそれに応じて順次拡大をめざす。ただ、買取販売だけではなく、自分の農産物が市場でどう評価されているかを知ることも生産者の経営判断に必要でそこに対応することも大事だ。また、加工・業務用など実需者ニーズに合わせた安定的な契約栽培も大切になる。
 輸出については海外拠点の整備、輸出先国の需要に合わせた国内での専用産地づくり、品質保持技術の実証と実用化と共同物流によるコスト低下などの輸送戦略構築、新たな需要の掘り起こしなどに取り組む。

 ◇   ◇

 今回策定した自己改革の取り組み以前に、全農は平成28度からの3か年計画を作成して実践してきている。この計画を描くにあたって、われわれを取り巻く情勢を頭にたたき込んだ。
 たとえばわが国の食料調達の実態をみると、日本人は1年間で約8600万tの食料を必要としており、この内訳は国内生産で4400万t、輸入で4200万tとなっている。現実には約半分が輸入になっている。では、今後、国内生産で何をどう作っていくのか、輸入に頼るものは何か、これに国はきちんとした方針を出していない。まずやるべきはこうした基本的な方針をつくり、それに対してJAグループはどういう役割を果たすか、関連産業はどういう役割を果たすか、そして国はどういう役割を果たすか、それを国民合意のもとに定めるべきではないか。
 また、国際的にも、自由貿易体制とはいえ食料安保の観点からそれぞれの国の食料をいかに守っていくかという主張することはまったく悪いことではないし、それが欠落している国はやがて滅びていくことになるのではないか。
 こういう点について、政府は何も言わないし国民レベルでの議論もされないなかで農業改革、農協改革が強調されるから、現場とベクトルの合わないことが多いのだと思う。 だが、われわれはこの先の農業を考えなければならない。そのときにふまえておかなければならないのは、米や園芸の販売事業に求められるようにたとえば、外食・中食のマーケットが増大しているということである。生産資材価格の引き下げは予約の積み上げなどJAグループが主体となりしっかり結集して、スケールメリットを活かした購買力で成果を出すつもりだが、それ以上に大きな課題は販売である。販売は実需者、消費者にきちんと売れるかどうか、これが農業者の所得向上の雌雄を決することになると思う。
 そこで米ではマインドを変え、全農による精米の直接販売ルートなどを軸に事業展開を図る。そのとき何より大事なことは売り込む営業力だが、強いのはわれわれは産地情報を持っているということである。
 実需者ニーズを踏まえ、この産地のこの生産者の米はこういう米である、ときちんと語り、あなたの求めている米に適しています、と言い切る営業マンをどれだけつくっていくか、そこが勝負である。
 緒に就いたばかりだがこの1、2年が勝負だと思っている。全役職員がひとつになって全力をあげてやろうと思っている。同時に国や業界も今回の農業競争力強化プログラムに大きな責任を担っているのだから、それぞれがきちんと動かなければ農業者は幸せにはならないということは言っておきたい。

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