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特集:緊急企画:TPP11 12月30日発効-どうなる、どうする日本農業

2019.01.08 
【総括】連続インタビューから学ぶべきもの(小松泰信・岡山大学大学院教授)一覧へ

 TPP11が2018年12月30日に発効し、2019年1月からは日米二国間交渉も始まる。かつてない農産物の「総自由化」が迫られる時代の幕開けかとの懸念が強い。日本農業とこの国のかたちをどうするのかをメインテーマに、6人の与野党党首・政策責任者に連続インタビューを行った。
 そこから何を学び取るべきかについて総括する。

◆与党2氏の論点

小松泰信(岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授) 森山ひろし※氏(自由民主党)(※示篇に谷)は、わが国の農畜産物は国際的に評価されているので、過度に自由化を恐れることなく、地域政策と産業政策を両輪とした農業政策を行い、農業を守り抜くとした。
 石田祝稔氏(公明党)は、自由貿易の中で、わが国の農業が不利な条件下にあるので、予算措置の充実とともに、収入保険制度の導入、人・農地プランの再構築などにより、行き過ぎた新自由主義的農政に修正を加えるとした。

 
(写真)小松泰信・岡山大学大学院教授

 

◆野党4氏の論点

 枝野幸男氏(立憲民主党)は自由貿易のもとで農業の多面的機能を支えるには戸別所得補償制度の充実がもっとも効果的だと強調し、このような制度を確立し、農業を守っていくためには政権交代しかないとした。
 志位和夫氏(日本共産党)は、現農政を亡国の農政と位置づけ、食料自給率向上を突破口にして国民世論に訴えるとともに、国境措置を再構築し国内農業を振興することを通じて、農政の大転換を目指すとした。
 玉木雄一郎氏(国民民主党)は、飢餓、貧困の解消、人と国の不平等の解消など国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)と整合性のある貿易ルールづくりを日本が主導すべきだとした。
 吉川はじめ氏(社民党)は、農山漁村の多くを抱える地方議会を基盤に、野党共闘で安倍農政との対抗軸を鮮明にし、持続可能な農業に向けた国民の合意を形成し、保護政策の確立が必要とした。

 

◆農業・食の安全・食料自給率

 6氏とも農業の大切さを語った。多くの国会議員も「自動車よりも農畜産物が大事」と語るであろう。しかし現実には、農畜産物は自動車に象徴される工業製品よりも劣位に置かれ続けている。今押し寄せている総自由化の波は、農畜産物、そして農業そのものをより劣位に置くとともに、再起不能にする可能性すら想定される。
 農畜産物や農業が本当に大切だとすれば、工業製品や第二、三次産業を圧倒的優位とする価値観を逆転させることが課題となる。
 農への関心は薄いが、食の安全性や自給率への関心は決して低くない、という発言が多数あった。これらを切り口とした世論形成が必要である。

 

◆インフラとしてのJA

 JAに関しても異口同音、地域の重要なインフラとしてその存在意義が語られていた。もちろん、リップサービスを割り引いても、規制改革推進会議に煽られた農協改革を是とはしない姿勢は信じてよい。ただ判官贔屓に終わらせないためには、その期待や信頼に値する組織になるための不断の努力が求められている。

 

◆世論形成とメディア

 悲しいかな国民の多くは農業にもJAにも関心を寄せていない。しかし、前述した食料の安全性や自給率に加えて、環境問題についても関心を寄せている人たちが少なからず存在する。これらの視点を絡ませながら、農業、そして食料についてのありようを問い続けることが不可欠である。ただし大手メディアは第一次産業に関心を寄せてはいない。農業競争力強化支援法に関して、ほとんど取り上げてこなかった。最近では漁業法改悪、直近ではIWC脱退問題。取り上げたとしても決まった後。後の祭りの空騒ぎである。小紙をはじめとする農業やJAを専門とする業界紙と、農業の現場に近い地方紙との連携を強化し、世論形成に取り組むことも一考に値しよう。

 

◆学ぶべきものは何か

 世論形成の手法以上に重要なのは、日常的な立ち居振る舞いである。言行不一致の人も組織も信頼されないのは言うまでもない。しかし繰り返し言わねばならないところに、JAグループの問題がある。
 大切だ、大切だと自ら言い募るのではなく、広く国民から大切で守り残すべき産業であり組織である、といわれる存在とならなければならないことを、今回の連続インタビューも教えている。

 

(関連記事:小松先生のインタビュー記事)
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