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農政:持続可能な世界を拓く SDGsと協同組合

鼎談:普天間・下小野田・大金 農業・農協はだれのものか(3)2020年1月17日

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「根拠なき楽観主義」は危険
普天間朝重・JAおきなわ代表理事理事長下小野田寛・JA鹿児島きもつき代表理事組合長、大金義昭文芸アナリスト

 いまJAは歴史的ともいえる「農業・組織・経営」の大きな転換期に直面しているといっても過言ではない。これまでの経験が通じない構造的な環境変化にどのように対処するのか。普天間理事長、下小野田組合長、大金氏の鼎談第3回です。

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◆「危機」でなく 「協同」の出番

 大金 ご存知の通り、ES(従業員満足度)という物差しがありますが、働いている職員の満足度が低いと、いい仕事ができませんよね。これは、どんな現場にも共通しています。ところで、現在のJAをめぐる厳しい経営環境をどのように見ていますか。普天間さんは「根拠のない楽観主義に身を委ねてはならない」と言われていますが。
 
 普天間 「ストックデールの逆説」という教えがあります。ベトナム戦争のピーク時に、北ベトナムのハノイの捕虜収容所で最高位の軍人で、厳しい拷問に耐え抜き、最後には本国に帰還しました。その時の経験から、どんな困難にぶつかっても最後は勝つという確信を失ってはならない。同時に自分が置かれている現実のなかで最も厳しい状況を直視すべきだと教えています。すぐに出られるだろうと楽観的に考える兵士は収容が長引くにつれ、失望で死んでしまうということです。

 この「逆説」は、「根拠のない楽観主義」は避けるべきだということを教えています。JAはいま、農業・組織・経営の危機に直面していますが、特に、今のマイナス金利は異常な状態なので、もうすぐ解消されるだろう、そうすれば利ザヤも回復し、農林中金の奨励金も元に戻るだろう、と考えてはいけませんね。マイナス金利の長期化と利ザヤの縮小、奨励金の減少という重い現実を受け止めつつ、あらゆる策を講じて、最後は必ず生き残るのだという強い意志で臨まなくてはなりません。

 私は3年前から、農業・組織・経営の危機を唱えてきました。農業の危機は農畜産物の貿易自由化であり、組織の危機はいわゆる「農協改革」、そして経営の危機はマイナス金利です。この3つ目のマイナス金利に関して楽観的に過ぎたのではないでしょうか。「ストックデールの逆説」に学び、3年前から何らかの手を打っていれば、今のように低金利が続き、農林中金の奨励金減少の状況でも、慌てふためかなくてよかったのではないかという強い思いがあります。

 大金 「根拠のない楽観主義」は、「どうにかなる」と責任を四囲に転嫁することと同じだということですかね。「どうなる」じゃなくて「どうする」かですね。人間は常に楽な道を選んでしまいがちですが、厳しい現実を直視し、「現状維持」ではなく「未来づくり」に賭けるということですか。農協運動の先達として知られる宮脇朝男さんは、「先憂後楽」という言葉を残しています。この言葉が普天間さんのマネジメントの基本と重なっているように、お話を聞かせていただきました。下小野田さんは「チームきもつき」と「イノベーション」をキーワードに経営改革に取り組まれてきましたが、地元での成果はいかがですか。

nous20011611_3.jpg 下小野田 「チームきもつき」と「イノベーション」については、ラグビーのワールドカップにおける日本代表の「ワン・チーム」が後押しをしてくれ、「チームきもつき」が実感として広がってきているのかなと感じています。役職員や組合員だけでなく、地域の皆さんや行政からもこの言葉が聞かれるようになりました。

 私は、いまは協同組合の「危機」ではなく、協同組合の「出番」であると思っています。危機と言えば、現在は農業や地域、そして日本の危機です。その危機に、体を張って対処するのが協同組合ではないか。JAには全国ネットワークがあり、まさにその役割を果たすことができるグループです。そのためには「チーム」が大事です。地域によって違いやJAの個性はありますが、JAはひとつの「チーム」なのです。
 
 大金 なるほど、ラグビーのワールドカップに力を得ましたか。「チームきもつき」は、その「ワン・チーム」に先行して実践を積み重ねてきたということですね。

◆事業展開◆

総合事業生かし生活丸ごと応援

 大金 JAグループはいま「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」を掲げ、「協同組合としての役割」を発揮すべく、懸命な「自己改革」に取り組んでいます。私はかねてから「JAは家族農業と地域社会を守る"守護神"である」と唱えてきました。家族農業や協同組合が世界的に高く評価されているこの時代に、JAはどのようなスタンスで総合事業を展開していけば良いのか。日ごろのお考えを聞かせてください。

普天間朝重・JAおきなわ代表理事理事長 普天間 JAの存在意義を根底に据える必要があります。参考になるのが、近江商人の「売り手よし・買い手よし・世間よし」の「三方よし」の精神です。最後の「世間よし」がミソですね。JAは事業を伸ばすため、ノルマを達成するためということで内向きになりがちでした。本当にそれが組合員のためになっているのか、あまり考えないでやってきた。近江商人は「人が欲するものを売るのではなく、人のためになるものを売ることが本当の商売だ」と言っています。

 組合員の求めに応じるだけでなく、「組合員のためになることは何か」を考えて事業を進めなければなりません。そこにJAの総合事業のメリットや「強み」があるはずだし、その機能をうまく生かしていくべきだと思います。

 昨年10月の機構改革では、そんな考え方を基本に従来の部門別の事業縦割りを排し、本部を農業振興と生活応援という2つに大別。生活応援は信用・共済・生活事業を一括りにして「暮らし丸ごと応援本部」としました。農業部門も「農業事業本部」ではなく「農業振興本部」にして、事業という表現を外しました。「事業」というJA側からの支店ではなく、「応援」や「振興」といった、組合員や生産者からの視点を表現したわけです。JAは組合員の組織だよというトップのメッセージでもあります。

 大金 具体的には、どんなことを考えているのですか。

 普天間 事業改革では、信用事業でいうと、他の金融機関との金利競争はするべきではないと指示しています。懸賞金や懸賞品付きキャンペーンなどによる貯金推進は見直すべきです。それは結局、形を変えた金利なのです。しかも抽選で当たるという商品設計なので、一部の組合員だけに恩典がいく仕組みです。そうではなくて、親の介護が深刻な問題になっている組合員に対しては「介護サービス付き住宅ローン」とか、独居生活を送って買い物に不便をきたしている組合員には「ファーマーズ宅配サービス付き定期貯金」とか、遠くに転勤している組合員で、墓の管理に困っている組合員には「墓の管理付き定期貯金」などのように、本当に困っている人を助けながら勧められる商品設計ができないか、検討しているところです。

 要するに「モノからコト」へということです。そうすれば「JAはここまでやってくれるのか」「とても助かる」「組合員でよかった」という評価を得ることができます。総合事業を活用したさまざまな支援策がセットになった商品ができれば銀行と金利競争をすることもないですし、なにより職員も自信をもって販売することが可能になります。

 下小野田 普天間さんのお話の通りです。まさに「組合員・地域のために」「組合員・地域とともに」です。事業を伸ばすには、組合員だけでは限界があり、地域の人びとの支援が必要です。地域にはまだ共済の必要な人が多く、事業が伸びる余地はあります。しかし、それが数値目標にとらわれて、共済について何の思いも持たず機械的に推進し、地道な対応の手間を省いているのではないか。

 「組合員のために・組合員とともに」をアピールするシンボリックな計画として、「ネクスト10」構想を提案し、総代会の議案にかけて承認してもらいました。10年後には、日本一の施設園芸地域を構築し、販売額を現在の300億円から400億円にするというものです。その結果、組合員の財産である貯金を1000億円から2000億円にする目標を立て、その間に取り組むべきことを年度ごとに分かりやすく示しました。これを見て「農協はそんなことを考えているのか。我々にはまだ未来があるのだ」と組合員が感じ、元気になってもらおうというものです。

 普天間 JAの考え方を明確に発信すれば、組合員はきちんと受け止めてくれます。近江商人の話には続きがあり、彼らは「世のため人のために奉仕すると、利益は後からついてくる」「商品を無理やり売ってはいけない。ためになるものを売る」とも言っています。信用・共済はもちろん、JAにとって重要な事業ですが、「やり方」を改める必要があるということを教えているのではないでしょうか。やらされている感でやる「お願い推進」ではなく、組合員の「ためになる推進」ということです。

 下小野田 組合員や地域に対して何の思いも持たずに、機械的に事業推進を続けるのは無理があります。

 普天間 常に協同組合の「原点回帰」が必要ということですね。「事業、事業」で突き進んだ結果が、バブル崩壊による経営危機でした。「組合員目線」を忘れずに事業を展開すると、大きな怪我をすることはありません。

nous20011611_1.jpg 大金 その通りですね。下小野田さんがご指摘の「組合員とともに」は、JA長野県厚生連・佐久総合病院の若月俊一さんがかつて一貫して唱え続けた言葉でもあり、近江商人の哲学にも通じるところがある。また、JA全中会長を務めた宮脇朝男さんが「あの豆腐が日本一いいんだという豆腐をつくれば、オカラなんて後から残ってついてくる。オカラを求めて、豆腐をつくる馬鹿はいない」といった名言を残しています。若月さんや宮脇さんは戦後の農協運動を牽引した先達ですが、その精神や姿勢がお二人の話から感じられます。


鼎談:普天間・下小野田・大金 農業・農協はだれのものか(4)に続く

【リンク】
鼎談:普天間・下小野田・大金 農業・農協はだれのものか(1)
鼎談:普天間・下小野田・大金 農業・農協はだれのものか(2)

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