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農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識2021

土は農の基 土づくり特集(2)野菜畑の土壌病害虫の防除 デンカ技術顧問 吉田吉明技術士【現場で役立つ農薬の基礎知識2021】2021年12月2日

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12月5日は、2015年に国連が決めた「国際土壌デー」。また、10月第1土曜日は、農協が1973年に制定した「土の日」である。全農は12月2日に、「全国土づくり大会2021」を開催し、表彰6JAの事例発表などを行う。本紙もこの時期に合わせて「土づくり」の特集を企画しているが、「地力の増強と地球環境に配慮した土づくり」と題して、長年土づくりの重要性を語ってきた吉田吉明氏(現デンカ(株)技術顧問)に執筆してもらった。

石灰窒素で土壌病害抑制効果も

野菜畑では、同一のほ場で同じ仲間の作物を連作すると、土壌病害やセンチュウ害が発生しやすい。そのため、連作を避けることを基本とし、土づくりにより土壌の物理性・化学性・生物性が適正なほ場にすることが大切である。

筆者は、石灰窒素は粗大有機物の分解を促進する効果も高く地力増強に役立ち、連用することで土壌病原菌、センチュウや雑草の密度を下げる効果があると考えている。ただ、病虫害が多発したほ場では土壌消毒剤で対応し、併用することにより防除効果を高めることができる。

土壌消毒には、熱と土壌消毒剤を利用するものもあるが、いずれも消毒効果を高めるためには、処理方法をきちんと守ることが重要である。

以下、主な消毒法について紹介する。

(1)太陽熱・石灰窒素法

夏季の太陽熱と石灰窒素による腐熟促進効果および発酵熱を利用した防除法である。ハウス内で切りわら等を1~1・5tに対し石灰窒素100~150kgを散布後畝立て、マルチ、湛水などの作業を行い、ハウスを20~30日密閉する方法である。センチュウに高い防除効果を示し、フザリウム菌による難土壌病害にも効果がある。

(2) 土壌還元消毒法

ふすま、米ぬかや廃糖蜜など分解しやすい有機物を土壌に混入した後、土壌を水で満たし、太陽熱による加熱を行う。土壌中の微生物により有機物が分解される過程で土壌の酸素が消費し還元状態になり、病原菌を窒息させ死滅させる方法である。

(3) 蒸気・熱水消毒

文字通り土壌に蒸気や熱水を注入し、土壌中の温度を上昇させ消毒する方法である。病害虫が死滅する原理は太陽熱と同じで、いかに土壌内部温度を上昇させるかが肝である。

(1)(2)(3)は、持続農業法の「持続性の高い農業生産方式」の化学農薬低減技術として認定されている。

(4) 土壌消毒剤による消毒

主な消毒剤の特性や効果の範囲を別表に整理したので、使用法をよく把握した上で、効率良く安全に利用したい。

主な土壌消毒剤の特性を示す。

クロルピクリン【商品名=クロールピクリン、ドジョウピクリンなど】
揮発性の液体で、土壌に注入することで効果を発揮する。激しい刺激臭がするので、防護具等の使用が必須である。ガス抜き作業が不要なのが特徴である。

D―D【商品名=D―D、DC油剤、テロン】
くん蒸期間は7~14日であるが、クロルピクリンに比べガス抜けが悪いので、丁寧に耕起して、ガス抜き期間3~4日を確実において作付けする。ガス抜きが不十分だと薬害が起きるので注意する。

クロルピクリンD―D剤【商品名=ソイリーン、ダブルストッパー】
クロルピクリンとD―Dを効率的に配合し、両者の長所を生かした製品である。刺激臭もやや少なく扱いやすいが、D―Dのガス抜き期間をきちんと守る必要がある。

ダゾメット【商品名=ガスタード微粒剤、バスアミド微粒剤】
微粒剤を土壌に均一散布し、土壌の水分に反応して、有効成分であるMITC(メチルイソシアネート)を出して効果を発揮する。そのため、処理時には適度な水分が必要であり、ガス抜き期間も10~14日と比較的長く耕うんが2回以上必要であるが、主に土壌病害に効果を示す。難病害の青枯れ病対策に、潅水処理と組み合わせ、土壌深層まで消毒する防除技術が有効との報告がある。

ホスチアゼート【商品名=ガードホープ液剤】
栽培作物の生育中および栽培後半期にも効果を発揮するセンチュウ防除剤である。高い殺センチュウ力を有し、安定した効果を示す。土壌条件の変動による効果への影響はほとんどない。

おわりに

国の「みどり戦略」は、各業界と意見交換を行ったとはいえ、特にEUを意識しながら、想定される取り組み(技術)を網羅した感がある。すでに、EUは、「Farm to Fork戦略」で、2030年までに化学肥料の使用リスクを50%削減、有機農業の25%への拡大を打ち出し、この1年間に、第1回国際食糧システムサミット(国連)やCOP26などの一連の国際会議が開催されているが、SDGsと地球環境問題は国家間の主導権をかけた取り組みになっている。欧米と異なるアジアモンスーン農業地帯のリーダーである日本の役割は大きく、一段の加速が求められている。そのため、官民あげての取り組みが必要となり、JAグループの役割は大きいと思われる。

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