キーワードは「SDGs生産」2021年トレンドの花が決定 フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2021年11月17日
東京都中央卸売市場大田市場に入場する花き卸売会社の大田花きは、今年で第17回を迎える「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA」を実施。およそ20万点に及ぶ候補から4点が選ばれ、2021年のトレンドを反映する花を決定した。
最優秀賞のシャクヤク「かぐや姫」(左)、新商品奨励賞のスイートピー「アッシュブルー」
2021年は引き続き新型コロナウイルスの影響で、観賞用植物全般である花きの消費の法人需要は低迷したが、自宅需要が伸びた。住環境・在宅勤務環境を整えるニーズの高まりや、花きがもたらすストレス低減効果の認知普及もあり、花や緑への渇望も上昇。1本で空間を明るくするような存在感のある花に注目が集まった。さらに、季節指数の高い草花類として気候と地の利を生かした生産に取り組む花が受賞につながった。
季節に咲く花は過剰な肥料やエネルギーコストをかけることなく、環境負荷を低く抑えて多くの花を出荷できるのが特徴で、環境配慮型の生産を実現した生産者がSDGsの観点からも評価されたといえる。
総括して、コロナ禍を経て花の消費構造が大きく変わったことで、評価基準の潮目の到来を感じさせる結果となった。商品そのものの色や形がニーズとマッチしていることに加え、生産者の社会的な取り組みが評価され受賞につながったものが多かった。自宅需要は、特に若い世代で伸びているため、今後SDGsの観点をもとにした評価は加速していくと予想される。
今回選出された花きと生産者は次の通り。
【最優秀賞】 シャクヤク "かぐや姫"
生産者:津南町農業協同組合(新潟県中魚沼郡)
花きトレンドは小輪化へ向かう中、唯一大輪品目で受賞。化成肥料を一切使わず、有機肥料のみで露地栽培ながら驚くほど大輪の花を咲かせる。SDGsに通じる農業の体現で、品質のみならず社会的な取り組みが評価ポイント。
【優秀賞】 ヒメヒマワリ "旭(あさひ)"
生産者:中島博英(長野県南佐久郡)
標高1000メートルの露地で自然の力を生かして栽培。締まりのある堅い作りが夏場のホームユースとして重宝した。未来を照らす明るい黄色が家庭用に評価された。
【特別賞】 ユリアジアティック "タイニーダブルユー"
生産者:今井ゆり園 今井利昌(千葉県佐倉市)
スカシユリの交配種で元々は鉢物品種。業務用の大輪で華やかな品種開発が宴たけなわのユリ業界にありながら、真逆をいく家庭用小輪短茎タイプで新しいユリの価値を創造。直径10センチほどの花がツボミもあわせ1本に5~6輪付いている。
【新商品奨励賞】 スイートピー "アッシュブルー"
生産者:JA晴れの国岡山フルーツフラワーセンター(岡山県倉敷市)
アッシュブルーは染めの品種。染め品種の入賞は当賞史上初。形のバリエーションが限られたスイートピーで、自然には発現しえないような得も言われぬ神秘的な色をプロデュースし、マーケットに送り出した。SNS上でも多く共有され、スイートピー流通史と切花流通史でも金字塔を打ち立てた。
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