気候変動緩和策 土地利用改変が大きい地域ほど生物多様性の保全効果は低い結果に2024年11月26日
森林総合研究所、立命館大学、京都大学、国立環境研究所の研究グループは、植林やBECCS(バイオマスエネルギーの利用と利用時に発生する二酸化炭素の回収・貯留を組み合わせた技術)の大規模導入による気候変動の抑制が地球規模の生物多様性に与える影響について、シミュレーションモデルによる評価を行った。
気候変動による気温上昇を産業革命前の1.5℃ないし2℃以内に抑えるため、植林やBECCSなどの土地利用ベースの気候変動緩和策が注目されているが、これらの緩和策は、大規模な土地利用改変によって生物多様性に影響を与える可能性がある。
そこで同研究グループは、2℃目標を達成するために植林やBECCSを導入した場合に生物多様性が受ける影響を、シミュレーションモデルにより評価。その結果、土地利用改変の影響を考慮しても、気候変動の抑制は生物多様性の減少傾向を軽減する可能性が示されたが、土地利用改変の割合や炭素隔離量が大きい地域ほど、生物多様性の減少傾向が強まる傾向があった。
この結果は、緩和策としての土地利用改変が生物多様性に及ぼす影響は、実施規模が大きい地域ほど大きくなるため、実施にあたっては影響が特定の地域に偏らないような配慮が必要であることを示している。
同研究成果は5月16日、『Communications Earth and Environment』誌で公開された。
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