2月の食品値上げ1656品目 2025年の値上げは前年比9割増ペース 価格改定動向調査 帝国データバンク2025年2月3日
帝国データバンクは、2月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析を行った。2月の値上げは、飲食料品値上げは1656品目、前年同月から30品目・1.8%増加し、食品分野別では「加工食品」(589品目)が最多。飲食料品における値上げの勢いは、前年に比べて強まっている。
2月の飲食料品値上げは1656品目
同調査によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした2月の飲食料品値上げは1656品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%となった。単月の値上げ品目数としては1月以降2か月連続で前年同月を上回ったほか(+30品目・+1.8%)、2024年9~10月以来4か月ぶりに2か月連続で1か月あたり1千品目台となった。飲食料品における値上げの勢いは、前年に比べて強まっている。
2024年2月の値上げを食品分野別に集計すると、冷凍食品やチルド麺製品など「加工食品」(589品目)が全食品分野で最も多く、「調味料」(357品目)は、たれ製品など液体調味料を中心に値上げとなった。「菓子」(329品目)では、カップゼリーなど洋菓子のほか和菓子、シリアル製品などで値上げが目立った。「酒類・飲料」(266品目)では、レギュラーコーヒーや果汁飲料が値上げの対象となった。
2025年通年の値上げは累計で8867品目となり、年間の平均値上げ率は16%に達した。2024年1月31日時点で判明した年間値上げ予定品目数合計(4556品目)に比べ、9割超の増加ペースで推移。2025年は春先にかけて前年を上回る大規模な値上げラッシュが発生する見通し。
コメのほか、チョコレートの原料となるカカオ豆、コーヒー豆などの高騰も背景に関連する製品で値上げが続き、3月は2024年10月以来5か月ぶりに単月で2千品目を超えるほか、4月は2023年10月以来1年6か月ぶりに3千品目を突破。今後さらに増加するとみられる。
値上げ要因では、2024年のトレンドを引き継ぎ、原材料などモノ由来の値上げが多くを占める一方、人件費や物流費など「サービス」価格上昇の影響を受けた値上げが拡大し、値上げ品目数の押し上げ要因となっている。
2025年の値上げ要因のうち、最も大きいものは「原材料高」(97.6%)となり、3年連続で値上げ品目全体の9割を超えた。他方で、トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格に反映する「物流費」由来の値上げは79.4%を占め、集計開始以降で過去最高。最低賃金の引き上げや定期昇給など賃上げによる影響を含む「人件費」由来の値上げも50.9%と、初めて値上げ品目数のうち半数を超えた。「エネルギー」(56.6%)、「円安」(15.2%)由来の値上げ割合は前年を下回った。
4月に年累計1万品目突破の予想、年2万品目到達の可能性
足元では、1ドル150円台の円安水準が長期化するなか、輸入食材などで値上げ圧力が高まりつつある。加えて、世界的な天候不順を背景にコーヒー豆やカカオ豆など一部商品作物では不作・凶作による品薄感の解消に向けた収束のめどが立たず、関連する製品では年内に複数回の値上げが実施されるといったケースも発生。原材料のほか、プラ容器など包装資材を含めたモノ由来の値上げに加え、物流費や人件費などサービス由来のコストでも、恒常的な上昇が避けられない情勢となっている。
また、前年は目立たなかった原油や電気・ガス代など「エネルギー」を要因とした値上げの割合も上昇傾向にあり、値上げ要因は複雑化・多様化が進んでいる。
こうしたなか、2025年の値上げ動向では、原料米を中心とした米飯類製品をはじめ、大幅な価格改定が予定されるケースが目立つ。全体的に値上げの動きが低位に抑えられた前年に比べ、企業努力によるコスト吸収が限界に近付きつつある様相もみられる。
今後も、円安による輸入物価の上振れが見込まれるほか、賃上げによる人件費などのコスト上昇も背景に、値上げ圧力が弱まる局面は想定しづらい。実質賃金の伸び悩みなどを背景に、小売現場などでは消費者の値上げに対する拒絶反応から販売量減といった影響も顕在化しているが、少なくとも今夏までは大幅な価格の引き上げを伴う値上げが相次ぐ可能性がある。
2025年の値上げ品目数は、現状のペースが続いた場合、早ければ4月にも累計で年1万品目を突破すると予想される。年間では、前年(1万2520品目)を大幅に上回る1.5~2万品目前後に到達する可能性がある。
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