農作業の判断はカンからロジックへ 空からの目線で見える化2019年7月25日
・葉色解析サービス「いろは」
農業の現場における新技術の実装に向け、農林水産省が6月14日に行った「スマート農業スタートダッシュミーティング」は、農業関係者など約600人が足を運んだ。米、野菜、果樹、畜産など43の出展社から注目の企業を紹介する。
撮影地点の画像を地図上で管理。コメントをつけると特異点として赤いロゴでアラートを表示する
高齢化で一部の担い手に農地が集中し農業が大規模化すると、人手の問題から作業の効率化が求められる。こうした問題を解決するためにほ場の管理や分析をするためのさまざまなサービスが生まれている。
その一つ、葉色解析サービスの「IROHA(いろは)」は、ドローンが撮影した画像から生育状況を見える化し、情報を解析して提供するクラウドサービスだ。
IROHAは、「空からの無限の情報」を世に届けることをめざし、2016年に設立されたスカイマティクス(東京都中央区)が昨年春にリリース。クラウド上に保存したドローンが撮影した画像を解析し、農地の状態や作物の成育状況などを把握しすることができる。
同社セールスディレクターの伊達卓馬さんは、「これまで地面を歩いて畑や水田を観察していたものを、空からの画像を情報に変換することで、これまでは勘に頼っていたことを画像と計算に基づいた情報によりロジカルに判断できるようになります」と説明する。
IROHAのおもな機能は、農作物の生育診断。雑草、害虫、病気など、ほ場の異常を見つけたらコメントを付けてデータを記録し、関係者で情報を共有できる。また、可視光のセンシングにより、作物の色味を解析し、ほ場の内部まで生育ムラを数値化し誰にでもわかるように見える化する。ほ場を歩き回ることなく作物の状態を把握でき、データを蓄積していけば、技能の教育や後継者への技術継承にも役立つ。
例えば、作付を把握するなら画像にオルソ処理を施すと1枚の画像データで最新のほ場の状態を広範囲に確認可能。現地に足を運んで確認する作業時間を短縮する。
オルソ処理とは、画像内に生じる地形や立体物のゆがみを補正し、複数の画像をひとつにする画像処理の技術。キャベツなら生育状態などを個体別に視認できるため、個数の把握やサイズごとの分類解析によるデータから出荷予想を立てられる。
伊達さんは、「納期管理というか、工業製品では当たり前のことですが、農地においてもそれができるようになるため、より作業ので効率化を図ることができます」と話す。
同社の測量クラウドサービス「くみき」を応用し、歪みのないオルソ画像を生成する
同社は、ドローンや人工衛星などハードウェアと画像処理解析、AI、IoTなど先進的なソフトウェアを組み合わせることで、農業以外にもインフラ設備のデジタル診断やプラントの資材管理、鉱山建設の現場の測量など、上空からの目線を活かした幅広い技術を開発し提供している。
IROHAは、市販のほとんどのドローンに対応。同社は、ドローンを画像のセンサーを搭載する乗り物として位置付けており、「ドローンの普及が進むほどサービスを展開しやすくなる」という。
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