農業課題の解決へ「農業用搬送ローバー」の複数台同時自律走行を実証2020年11月9日
ドローン・ジャパンは、農業課題の解決に向けた「農業用搬送ローバー」に関する実証実験を行い、ドローンを農業分野で様々な用途に活用するためのソフトウェア「ArduPilot」に、準天頂衛星「みちびき」のテクノロジーを加えることで、複数台の自律走行農業用搬送ローバーの高精度な制御技術を確立した。
農地搬送ローバー
同社は、国が推進するスマート農業の実現に向け、ドローン活用に関する技術開発と対応する技術者の育成に取り組んでいる。その中で、ドローンを農業分野の様々な用途で活用するオープンソースソフトウェア「ArduPilot」に注目し、そのオープンソースの特性を活かし、高度なドローンの制御を低価格で提供することを目標に技術開発を進めてきた。その技術を地上走行するローバー等の車両制御に転用するための実証実験を、準天頂衛星システムサービス(株)の委託事業として実施した。
日本の就農者人口は、総就農者数の減少に加え高齢者に大きく偏り、農作業時の「重量作物の運搬」の負担が大きな農業課題として顕れている。また、「収穫・搬送用農業機械」は用途別の仕様である上、作物ごとに購入・調達することが農家の大きな負担となっており、収穫物等の重量物搬送の「自動化」「普及価格化」が急務となっている。
自律見回りローバーそこで、無人で自律走行する収穫物搬送機械を従来と比べ大幅なコスト低減を実現した普及価格帯での商品提供を目指し、オープンソース「ArduPilot」を活用したドローンの自律制御のためのソフトウェア開発技術「準天頂衛星システム(みちびき)」による高精度測位技術を活用することで自律陸上走行する収穫物搬送機の試作をつくり技術実証してきた。
今回の取り組みでは、農業現場での多様な用途を想定し、3種類の自律走行搬送ローバーを新たに開発。実際の利用状況を想定し、3台を自律的に同時走行させる実証実験を実施した。
その結果、「ArduPilot」と「みちびきSLAS/CLAS」の技術を農地走行車に活用することで、ほ場や農地を自律走行する搬送型農業機械の開発が可能であることを確認。また、オープンソースや国が整備した測位衛星等の汎用技術の活用による実現であるため、開発に要するコストを中小農家でも導入可能な価格レベルまで低減させる効果があることを確認でき。
クローズド専用技術による新規開発する自律農業機械に比べて安価なコストでの提供が可能となれば、自動化やIT農業化の取り組みが遅れている中小規模農家にとっても導入可能な農業機械が提供できると期待される。
これらの技術は、収穫・搬送分野だけではなく様々な農業機械への応用へつながり、「ArduPilot」と「みちびきSLAS/CLAS」の技術活用の余地は大きいものと想定される。
一方、安定的な自律化に向けて、空中とは異なる陸上走行での障害物対策、振動対策、市販ガソリンエンジン車の自律化のためのデジタル-アナログのアクチュエーターの高度化など、事業化へむけた課題も確認した。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































