葉緑体成分フィトールのネコブセンチュウ抑制効果を確認 農研機構2021年1月26日
農研機構は1月21日、葉緑体成分フィトールの農作物への投与が難防除微小害虫のネコブセンチュウ防除に有効であると発表した。
フィトール利用したネコブセンチュウ防除法
ネコブセンチュウなど土壌中に生息する植物寄生性線虫は、植物の根に寄生し、こぶ状の塊をつくり腐敗させ、作物の収量や品質低下を招く。慣行農法では、即効性や効果が安定しているクロルピクリン等の土壌くん蒸剤による線虫防除が主体となっているが、殺線虫効果は作土層に限られるため、効果が及ばない深層の線虫による被害が発生していた。また、クロルピクリンは刺激性があり、被覆が必要であることから、線虫害に有効で環境に低負荷な防除技術の開発が求められてきた。
農研機構の生物機能利用研究部門では、植物寄生性線虫に寄生された植物の代謝物の中に、線虫の寄生を抑制する物質があると考え、ネコブセンチュウに寄生された植物根の代謝物の変動を室内実験で調べた。
実験ではシロイヌナズナの根にフィトールを与え、ネコブセンチュウを放飼すると、対照区と比較して根への侵入数の低下を確認した。トマトを用いた場合でも同様の侵入抑制効果がみられた。また、根に10μmのフィトールを与えた場合、根に侵入したネコブセンチュウの数は1/3に低下した。
今回の実験では、フィトールを与えた植物から植物ホルモンであるエチレンの放出が高まることが明らかになった。エチレンはネコブセンチュウに対する抵抗性を植物に誘導する働きがあることから、ネコブセンチュウに直接的な殺線虫活性を持たないフィトールが生成されたエチレンを介し、植物が持つ線虫への抵抗性を高めることが分かった。
今後はほ場での有効性を確認するとともに、ネコブセンチュウ以外の重要植物寄生性線虫であるシストセンチュウやネグサレセンチュウに対する効果も検証する。さらに、農薬メーカー等の民間企業と連携を図り、フィトールを用いた線虫防除剤の開発を目指すとしている。
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