ネギとトルコギキョウに「アイリス黄斑ウイルス」県内初の発生を確認 滋賀県2021年9月1日
滋賀県病害虫防除所は、県内のネギとトルコギキョウに「アイリス黄斑ウイルス」による病害として「ネギえそ条斑病」と「トルコギキョウえそ輪紋病」の発生を確認。これを受け、8月31日に病害虫発生予察特殊第1号を発令した。
ほ場におけるネギのえそ条斑症状(写真提供:滋賀県病害虫防除所)
7月に県内の露地栽培のネギの葉に紡錘形で白色~淡黄色の条斑を示す株が認められた。滋賀県病害虫防除所でRIPA法(イムノクロマト)とRT-PCR法による検定を行った結果、IYSVによるネギえそ条斑病であることが確認された。また、滋賀県内の施設栽培のトルコギキョウにおいて7月に、葉に褐色の輪紋症状を示す株が認められた。滋賀県病害虫防除所でRIPA法による検定を行った結果、IYSVによるトルコギキョウえそ輪紋病であることが確認された。
アイリス黄斑ウイルスによる病害は、1996年に千葉県のアルストロメリアで国内で初めて確認された後、トルコギキョウ、ネギ、タマネギ、ニラ、テッポウユリなど全国30以上の都府県で発生が確認。近隣では、三重県のトルコギキョウ、和歌山県のトルコギキョウ、京都府のネギ、トルコギキョウ、兵庫県のネギ、タマネギ、トルコギキョウ、テッポウユリでの発生が過去に報告されている。滋賀県での同ウイルスによる病害の発生確認は初めて。
トルコギキョウのえそ輪紋症状(写真提供:滋賀県病害虫防除所)
ネギえそ条斑病の病徴は、葉身に不明瞭な退緑斑が発生し、その後、紡錘形で白色~淡黄色のえそ条
斑を生じる。隣接した病斑は癒合し、葉が萎凋枯死することがある。また、トルコギキョウえそ輪紋病は、株の中位~上位葉にえそ斑点やえそ輪紋、茎のえそ条斑を生じ、発病程度が激しくなると、葉が変形、枯死する。
アイリス黄斑ウイルスはネギアザミウマによって媒介。ネギアザミウマは幼虫時に感染植物を吸汁して同ウイルスを獲得し、一度ウイルスを獲得したアザミウマは終生ウイルスを伝搬し、経卵伝染はしない。なお、その他のアザミウマによる媒介は確認されておらず、土壌伝染や種子伝染もしない。管理作業による汁液(接触)伝染の可能性も低いとされている。現在までにユリ科を中心に17科40種以上の植物で感染が報告されている。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇媒介虫であるネギアザミウマを防除する。なお、薬剤で防除する際は、薬剤感受性低下を防ぐため、同一グループ薬剤の連用を避ける。また、薬剤の散布にあたっては、ラベルをよく確認し、使用基準を遵守する。
〇施設栽培では、施設開口部を防虫ネットで被覆する。特に、ネギアザミウマが認識できない
赤色ネットの侵入抑制効果が高い。
〇発病株は伝染源となるため、見つけ次第抜き取り、適切に処分する。
〇ほ場内外の雑草や収穫残渣は、ウイルスの感染源やアザミウマの増殖源となるため、除草や残渣の持ち出しを徹底する。
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