スマート農業技術を応用「根域制限栽培」で相模原市・地権者と三者協定 Gitobi2021年10月14日
スマート農業技術を活用した「根域制限栽培」によるフルーツの栽培に取り組むGitobi合同会社(東京都世田谷区)は、2017年から行ってきた試験栽培を完了し、相模原市、同市地権者と三者協定を締結。2000平米の農地を借り受け、根域制限栽培システムによる14品種、200本の栽培を本格的に開始する。
根域制限栽培による「フルーツ工場 2021」
根域制限栽培は、フルーツの樹を地面に直接植える従来の栽培法とは異なり、ポット(植木鉢)や盛り土にフルーツの樹を植え、かん水(水やり)や施肥(肥料まき)などを、より効率的に管理制御できる栽培法。一番のメリットは、フルーツの栽培を効率化する点で、従来の栽培法と比べ、天候の影響を受けにくく、一定の品質を保ったフルーツを安定的に栽培できる。
根域制限栽培は、2020年11月に開かれた「農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議」で発表された「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」にも組み入れられており、フルーツの新たな産地育成の観点からも注目されている。
同社代表でエンジニアの小野寺類氏は、2011年に参加した千葉大学での農業・園芸技術者養成コースの職業訓練で、根域制限栽培を体験。2014年、農業分野への参入をめざしてGitobi社を創業した。2016年には根域制限栽培システムの研究開発を開始。現在までに「スマートかん水装置」、「スマート日射計」、「スマート土壌水分計」と3つのIoTデバイスと、クラウド上で操作管理ができる「栽培管理システム」を開発し、根域制限栽培に適用している。
自社開発した根域制限栽培システムは、2018年に栃木県農業試験場で試験導入されるなど、現在までに3社が導入。まだ試験段階ではあるが、実運用の検証をできたことから、2021年に自社農園で本格稼働となった。
これまで100平米の限られた土地で根域制限栽培の試験を行なってきたが、より本格的で大規模な栽培に移行するため、相模原市・同市地権者・Gitobi社の三者協定により、2000平米の農地を借り受け自社農園を開園。今年から、梨、桃、ブドウ、ポポー、アケビ、アンズ、ラズベリーの計14品種、200本の根域制限栽培を本格的に始める。
千葉大学大学院園芸学研究院の大川克哉氏は「果樹の根域制限栽培は、従来の地植え栽培では難しい根圏の肥料成分や水の制御が可能な栽培法。また、養水分施用の自動化やマニュアル化された栽培法にも発展可能で、果樹栽培の経験値が少ない方でも取り組みやすい栽培法でもある。この部分を小野寺さんには是非とも実証していただき、果樹経営にチャレンジする新しい人を増やして欲しい」と期待を寄せている。
根域制限栽培のメリット
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