【特殊報】トマトキバガ 都内で初めて確認 東京都2024年10月15日
東京都病害虫防除所は、トマトキバガの誘殺を、東京都多摩地域で初めて確認した。これを受けて、10月11日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表した。

フェロモントラップ誘殺個体図(提供:東京都病害虫防除所)
東京都病害虫防除所によると、9月30日に東京都病害虫防除所が都内多摩地域に設置したトマトキバガの侵入調査用フェロモントラップで、疑義成虫3頭の誘殺が確認(図)。農林水産省横浜植物防疫所に同定を依頼した結果、いずれも都内では未発生のトマトキバガと判明した。現在のところ、都内では本種による農作物の被害は確認されていない。
同種は南米原産で、海外ではヨーロッパ、アフリカ、中央アメリカ、中東、アジアに分布を拡大している。国内では2021年に熊本県で初めて確認され、これまでに43道府県で誘殺あるいは農作物への被害が確認されている。
成虫は翅を閉じた状態で体長5~7mm(前翅長約5mm、開張約10mm)。前翅は灰褐色の地色に黒
色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。終齢幼虫は体長約8mm、体色は淡緑色~淡赤色で、頭部は淡褐色で、前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。
1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高い。地域によって差はあるが、年に10~12世代発生する地域もある。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多い。

トマトでは茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害するため、食害部分は表面のみを残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。果実では、幼虫がせん孔侵入して食害するため、果実表面に数ミリ程度のせん孔痕が生じるとともに食害部分が腐敗する。
寄主植物はトマト、ナス、ピーマン、バレイショ等のナス科植物のほか、マメ科のインゲンマメも寄主植物として報告されている。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇トマトまたはミニトマトでは、トマトキバガに登録のある薬剤を使用する。なお、薬剤抵抗性
の発達を防ぐため、系統(作用機構分類コード)が異なる薬剤でローテーション散布を行う。
〇被害葉および被害果はほ場に放置せず、土中に深く埋めるか、ビニール袋等に入れて密封することで、寄生した成幼虫を死滅させたうえで、適切に処分する。
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