日本ジビエ振興協議会 一般社団法人に2017年3月22日
これまでNPO法人として活動してきた日本ジビエ振興協議会が3月1日、これまでの活動を引き継いで一般社団法人として新設された。設立説明会を3月21日東京都内で開き、自治体や外食産業など約150人が出席した。
一般社団法人として設立後は、主に、(1)移動式解体処理車の各地での本格導入に向けた調整、(2)国産ジビエ流通規格の試験運用を行い、再来年度の実施を目指す、(3)日本ジビエサミットの開催(第4回は鹿児島県で来年1月25日から27日を予定)、(4)研修事業を中心に活動する。
(一社)日本ジビエ振興協議会の代表理事に就任した藤木徳彦氏はこれまでの活動経緯を話し、「いろんな言われ方をするが、獣害の被害で悩んでいる人が『よかった』『助かった』と言ってもらえることがゴールだと思う」と述べた。
◆移動式解体処理車 現地実証の声を反映
長野トヨタ自動車(株)と共同開発した移動式解体処理車は現地実証の声を取り入れ、5月頃に刷新を予定。同社法人営業部・西澤久友部長は、今後を見据えドローンの発着および収納部分や、汚れが飛び散らないようカーテンの設置などが行われることを説明した。また大型の鹿が出没する地域では車種を変えて高さを確保するなど、オーダーメイド部分も予想していると話した。
大型ジビエ1頭優先の車や崖下まで移動できるような超小型回収車、一週間ほど山に籠ることができる定住型移動解体処理車も検討されている。
藤木理事は「全国統一的に普及できるかというとそうではない。こういう車が必要だということをまずは相談してほしい」と呼びかけた。
◆ジビエの大口取引を視野に
国産ジビエ流通規格については、大口取引を念頭に置き、現在は統一されていないカットチャートや作業手順書を作成した。
また「衛星管理ガイドライン」の統一と遵守を徹底。ガイドラインを遵守している施設を「国産ジビエ処理加工施設」として認証するスキームを策定したり、加工事業者等の衛生処理を自己点検表などの作成で可視化したり、施設向けの「人材育成プログラム」を行い、知識・手順の確認と習得度チェックを行う。
さらに▽商品名(獣名)、▽加熱用の表示、▽産地、▽加工者、▽金属検出器検査、▽加工日、▽内容量、▽賞味期限、▽保存温度、▽保存方法を記載した共通の表示ルールを作成。卸売業者や消費者が求める情報をラベルに載せるなどの改善点を公表した。
◆ ◇
このほか、環境省、農水省、厚生労働省の担当者が鳥獣被害の現状やそれぞれの取り組みを話した。
設立に伴う理事の紹介ではJA全農の尾本英樹氏らが挨拶。尾本氏は藤木理事にJA全農の子会社「ピュアディッシュ」立ち上げでも協力を得たことを話し、「有害を利益に変えていくという同協議会の活動に、全農としてもできるかぎり協力していく」との姿勢を示した。
◆ ◇
設立に伴う人事は次の通り(敬称略)。
▽代表理事 藤木徳彦
▽副代表理事 牧尾正恒((一社)いかくら阿久根)
▽同 森田幸雄(東京家政大学 獣医師)
▽常務理事兼事務局長 鮎澤廉
▽常務理事 松岡輝征
▽同 藤澤政隆
▽同 五味振太郎
▽理事 大西茂志(JA全中)
▽同 尾本英樹(JA全農)
▽同 福田久雄((一社)日本フードサービス協会)
▽同 押田敏雄(麻布大学名誉教授 東京農業大学客員教授)
▽同 久保田穣((公社)日本観光振興協会)
▽同 米村晴己(いなばのジビエ推進協議会)
▽同 西澤久友(長野トヨタ自動車(株))
▽同 山田研(学校法人 辻料理学館 辻調理師専門学校 辻製菓専門学校)
▽同 山浦順嗣((一社)和歌山鳥獣保護管理捕獲協会(わかやまジビエ振興協議会))
▽同 橘木岳大
▽監事 野村秀也
(写真)獣害による農業被害を長野県の農家から聞くという藤木理事、カットチャート
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