ドローンで農薬散布 小規模分散ほ場にも効果2016年6月3日
丸山製作所は6月2日、同社千葉工場で報道関係者に向け、業界に先駆けて販売する液体散布用マルチローター(ドローン)「スカイマスター」の発表会を開いた。小規模分散ほ場でも高い機能を発揮できることを示した。
スカイマスターはドローンに精通する(株)エンルートと共同開発を行った製品。丸山製作所は散布装置を担う。
開会の挨拶で尾頭正伸社長は、同製品が高齢のため防除機を背負うことが難しくなった人が多かったり、無人ヘリでの散布がやりにくかったりする中山間地などでの活躍に期待すると述べた。その他、生産法人や担い手など、平地でバラバラのほ場でも使い勝手が良い。スカイマスターの名前の由来は「空の達人」で、「自由に使いこなして、農家の皆様に防除の達人になってほしい」とした。
◆GPSで安定した飛行
スカイマスターは4月27日に認定を受け、5月31日から発売を開始した。作物から高さ1~2mの飛行高度で散布を行う。液垂防止の散布ノズルなど同社の技術を搭載した。
プレス発表では農薬の代わりに水を散布(そのため写真のオペレーターはマスクを着用していない)。気温24度、風速約5m(防除の際は風速3m程度を推奨)の天候の中行われた。
GPSで位置を記録するため水平に飛行でき、高度計で高度を測定するため高さも安定して飛ばすことができる。製品の幅は1m程度で、散布幅は4m。飛行時は操縦するオペレーターの他に補助員(ナビゲーター)が必要で、散布箇所の指示や電線などの情報を操縦者に伝達する。
製品は車に載せることが可能。薬剤タンクは5L(作業時は4Lを推奨)。一度の飛行にバッテリーが2本必要で、散布飛行時間は約10分、50aのほ場に散布できる(初回購入時の付属バッテリーは8本)。
メーカー希望小売価格は220万円(税別)で、教習費、機体登録費などは別途必要。なお2年目以降はメンテナンスなどで約20万円(税別)かかる。またオプションとして粉剤散布装置を6月10日以降に、18万円(税別)で発売を予定している。
◆操縦にはオペレーター認定が必要
オペレーター認定には(一社)農林水産航空協会指定の教習所で、ガイダンスに沿った10単位程度の学科と実技を履修する必要があり、研修期間は実技の面で受験者次第となるが、おおむね2~3日程度を予定している。その後、技能や人柄を含めて、同協会から認定される。
認定後、無人航空機で防除を行う前に、(1)飛行申請書を提出し国土交通大臣の許可・承認、(2)防除の計画書が必要となる。(1)に関しては同協会の代行申請や個人申請などが可能。(2)は農水省の「空中散布等における無人航空機利用技術指導指針」に則った計画書を前月までに各地区協議会を通じて提出する必要がある。
(一社)農林水産航空協会の担当者は同技術に関して「同じ高さでまっすぐ飛ばせる」ことが重要だ話した。
(写真)ほ場で安定した飛行を見せたスカイマスター、車両搭載イメージ(運搬時はプロペラを外す必要がある)、尾頭社長とスカイマスター
(マルチローター式無人航空機の関連記事)
・農薬散布マルチローター 3機種認定 (16.06.03)
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