【JCA週報】世界史の大きなうねりの中で #6(三輪昌男)(2002)2024年2月13日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長山野徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身である協同組合経営研究所が発行した「協同組合経営研究月報」2002年6号に、三輪昌男氏が執筆された「世界史の大きなうねりの中で」です。
ボリュームの関係から複数回に分けて掲載いたしました。そのため、途中で他の掲載を挟みました点をご容赦ください。
世界史の大きなうねりの中で #6/全6回(2002)
三輪昌男(國學院大學・名誉教授)
(連載 21世紀における協同組合の意義と課題 第1回)
2001.9.11以降(#1)
ICAソウル総会(#2)
第三世界の声(#3)
1999年末シアトル(#3)
ポルトアレグレ集会(#4)
別のダボス(#4)
新自由主義(#5、#6)
狂気の時代の正気の島(#6)
新自由主義(#5の続き)
これと限らず,現政権が唱える改革・方針の具体策には,新自由主義がさまざまに姿をみせている。与党の中から「弱者切捨ては政治ではない」という声があがっているほどに。
それにしても,不良債権の解消は不況打開の決め手でありうるのか。解消させても,その過程で資金需要が消耗しきっている。そうでなく,資金需要の活性化を図れば不良債権は解消に向かう。原因と結果の捉え方が逆立ちしている。
企業の資金需要活性化を導きうるのは個人消費の拡大である。そうだ,デフレスパイラルを絶つ決め手はそれだと,エコノミストなどから,預貯金から利子を取る,消費税をゼロにし2年後に15%に引き上げる,という提案がされている。個人消費の拡大を強制する,新自由主義の路線上の奇策である。
そうではなく,新自由主義をやめ,弱きを助け強きを挫くことに基調を大きく転換し,個人消費の拡大,中小企業の資金需要の活性化を図る具体策を展開することこそ、決め手なのである。
この路線上で,弱者を基盤とする協同組合が意義を発揮する余地は,極めて大きい。具体策を提案し,また自分でできることに取り組むことが,課題となる。
狂気の時代の正気の島
21世紀初頭の今,世界史は大きなうねりをみせている。新自由主義の横行,まだ弱いが,それに対抗する動き。
大は,9.11以降の米国政権と米国社会の動き,小は,デフレスパイラルを絶つものとして提案されている奇策に,私は狂気を感じる。
そして,ICA1980年大会のレイドロー報告が,「協同組合は狂気の時代の正気の島でなければならない」と述べていることを思い浮かべる。
1980年当時と比べて,狂気の程度ははるかに強まっている。だから協同組合が持っている正気の島としての意義は,当時よりはるかに大きい。
狂気のうねりが,協同組合に襲いかかり,押し潰されかねない厳しい情勢が続いている。それに耐えて,意義を発揮していかなければならない。
(了)
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