JA共済連が「隠レア野菜プロジェクト」に取り組む理由 食品ロス削減で地域貢献へ2024年12月6日
JA共済連は12月4日から、規格外野菜の魅力と生産農家の思いを伝える「隠レア野菜プロジェクト」を開始し、特設サイト開設や5日には東京・渋谷にギャラリー(開設は12月7日まで)もオープンした。共済連がなぜ、野菜、それも規格外野菜のキャンペーンに取り組むのかを取材した。
ギャラリーの全景
ギャラリーは渋谷駅から徒歩10分ほどの住宅地で、規模は小さく名前もない。入ると照明が落とされた空間の地下で、什器に置かれた野菜5点が置かれている。中央には古びたカバンが置かれ、開くと下から照明に照らされたハクサイが目に入る。演出は「隠レア野菜」のコンセプトムービーで「お笑い芸人ティモンディの高岸さんが野菜に出合うう様子を模した」(JA共済連の山﨑勝也農業・地域活動支援部地域貢献運営グループ兼地域貢献連携グループ調査役)という。カバンの周りは、ニンジン、サツマイモ、ナス、リンゴ、ハクサイの規格外の実物が囲む。それぞれ置かれた什器が下からの光により宝石のように飾られていた。
カバンを開くと規格外のハクサイと出合う演出
プロジェクトについて、山﨑調査役は「JA共済連による地域貢献活動の一環」と説明する。地域貢献には様々な側面があり「人なら健康、家は防災、車は事故、くらしでは文化活動など。営農もその一つで、農作業事故の防止に向けてたVRの制作などに取り組んだが、一般消費者にはあまり関係ない」。キャンペーンを通じて規格外野菜やフードロス問題を「少し角度を変えて、より身近に感じてもらう」ことが目的だ。
特設サイトなどで紹介する野菜は全部で8品目(ギャラリーでは5品目を展示)。「専門家の監修を踏まえ、身近でよく目にする野菜を選んだ」という。変わった模様や傷、見慣れない色であっても隠れたおいしさや栄養がある。
フードロスは世界的な問題で、FAO(国際連合食糧農業機関)の報告では食料生産量の3分の1にあたる年間13億トンも廃棄されている。流通などの事業系の廃棄が大きいが、農水省によれば、規格外野菜も生産量の約6%、年間200万トン(2020年度)が廃棄されているという。規格外野菜を活用した取り組みの広がり、あるいは規格自体の見直しも検討されている。
せっかく愛情を持って育てた農産物が見た目だけで廃棄されるのはもったいない。その魅力を伝える取り組みの広がりや発展に期待がかかる。
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