「生産調整の廃止を提言」産業競争力会議2013年10月25日
10月24日に開かれた産業競争力会議農業分科会で同分科会主査の新浪剛史ローソン社長は平成28年度から米の生産調整を廃止するなどの農政改革案を提言した。
経営所得安定対策の見直しで現行の補助金改革の課題などを示したもの。概要は以下のとおり。
【米の直接支払い交付金】
▽米は高い国境措置によって輸入品と競合しておらず販売価格と生産コストの格差を補てんする必要性はない。むしろ担い手の経営努力を引き出し、自らが経済合理性に基づき生産コスト削減や生産性向上を図っていくことを促す制度設計とする。▽このため10a1万5000円の現行直接支払交付金は、担い手の経営努力や経済合理性に基づく判断を大きく阻害することから、来年度から廃止。
【米価変動補てん交付金】
▽米価の下落分を100%国費で補てんする制度となっており、売れる米を作り収入を確保しようというやる気のある農家の経営努力まで阻害。交付金は廃止することととし激変緩和措置を講じるとしても26年産から廃止。 ▽農業経営者の経営安定の観点から、一定程度、過度な収入変動への備えが必要な場合は、相応の農家負担を求めることや、対象農業者を限るなどの制度設計を行う。
【主食用の生産数量目標】
▽そもそも生産数量目標自体が自由な経営判断や市場戦略を阻害。 ▽生産性向上、高付加価値化、製品差別化に向けた努力を促し競争力を強化する観点から生産調整を中期的に廃止していく方針を明確化。
▽農地中間管理機構の農地集約化の実績評価を3年後に実施することをふまえ28年度には生産数量目標の配分を廃止。生産調整を行わないこととする。
▽市場機能を通じて需給バランスを適正化する原則に基づき、過剰米が生じても政府が直接介入することがあってはならない。
【水田活用の直接支払交付金】
▽主食用米の生産数量目標の見直しにあわせ、より本格的な生産性向上を目的として交付方法や単価を見直す。 ▽その際、作物選択の自由原則のもと、経営の大規模化によるコスト削減、消費者やユーザー企業がより評価するような付加価値の高い農産物の生産を後押しする視点で見直す。
◎産業競争力会議
安倍政権は昨年12月、「日本経済再生本部」の設置を閣議決定した。経済財政諮問会議と連携し、政府一体となって経済対策を打ち成長戦略を実現することが目的。全閣僚がメンバーで本部長は安倍総理。その本部が今年1月設置を決めたのが「産業競争力会議」だ。法律に基づく機関ではない。 議長は安倍総理。議長代理の麻生副総理と副議長の甘利大臣、菅官房長官、茂木経産大臣以外の大臣と民間有識者は安倍総理が指名した。分科会は「農業」、「医療・介護等」は「雇用・人材」、成長戦略の「フォローアップ」がある。
農業分科会は、総理官邸に設置されている「農林水産業・地域の活力創造本部」が年末に取りまとめる農政改革方針への反映をめざしている。
【産業競争力会議の民間議員】(敬称略)
▽秋山咲恵・サキエコーポーレーション社長
▽岡素之・住友商事相談役(規制改革会議議長)
▽榊原定征・東レ会長
▽坂根正弘・コマツ相談役
▽竹中平蔵・慶大教授
▽新浪剛史・ローソン社長
▽橋本和仁・東大教授
▽長谷川閑史・武田薬品社長
▽増田寛也・東大客員教
▽三木谷浩史・楽天会長
(関連記事)
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