米のコスト指標 来年4月作成に向け関係者が会合2025年10月6日
農水省は10月3日、「米のコスト指標作成のための準備会合」を開いた。会合には生産者団体、集荷団体、卸売団体、小売団体が出席、コスト指標作成に向けて今後の議論の進め方などを議論した。

10月3日に開かれた米のコスト指標作成のための準備会合
6月に食料システム法が成立し、食品取引の適正化に向けて合理的な費用を価格に反映させるなどの努力義務が来年4月1日から食品関係者に課せられる。そのため関係者がコスト指標作成団体を組織することになっており、この日の会合はそのためのキックオフとした。
山口潤一郎農産政策部長は「令和7年産米の流通が本格化するなか小売価格が5kg4000円台という状況。米価は消費者が納得いく価格水準と、生産資材や人件費などのコスト上昇を踏まえても営農や事業の継続が可能な価格水準、この双方を満たすものでなければならないと考えている。そのような水準の実現に向け今後の合理的な価格形成の取り組みがその一助になることを切に願っているところ。農水省としても関係者の議論を積極的にサポートしていきたいと考えている」とあいさつした。
会合で生産者団体からは米のコスト指標作成について、平地と中山間地域でコストが異なることや、現場の実態を踏まえた労働費を算定する必要があるなどの意見が出された。また、適正な価格をあり方については「生産原価が賄えればいいということではなく、営農を継続できる水準が必要」として経営に必要なコストに加え、再生産のための投資なども必要になるとの指摘もあった。
小売団体からは、価格には相場があるためコストの積み上げだけで合理的な価格が形成できるかという指摘や、作成されたコスト指標と具体的な商品の価格とは異なることを消費者などに説明していく必要があることなどの意見があった。
食料システム法では農相がコスト指標を作成する品目を指定し、その品目の生産者団体、製造業者団体、流通業者団体、小売業者団体などでコスト指標作成団体を組織し農相が認定する。
品目の指定については農相が食料・農業・農村政策審議会への諮問と答申を受けたのち、パブリックコメントの募集も踏まえて省令で定める。
適正な価格形成の仕組みを議論してきた品目別のワーキング・グループは米、野菜、飲用牛乳、豆腐・納豆の4グループ。これらの品目が品目指定の対象となるとの前提のもと、今後は米以外の品目でもコスト指標の作成に向けた関係者の協議が行われる見込みだが、品目ごとにこれまでの検討状況や、協議の場のあり方などに違いがある。ただ、農水省はコスト指標作成団体を来年4月1日に認定できるよう準備を進める。
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