米政策、5年で改革 農水省案を与党了承2013年11月7日
日本型直接支払制度の創設と経営所得安定対策の見直しを検討している農水省は11月6日、自民党の農林関係合同部会に中間取りまとめ案を示した。そのなかで米の生産調整については、飼料用米などを助成する水田活用直接支払交付金の充実などを図りながら、5年後に国の生産数量目標配分に頼らずに、行政・生産者団体・現場が一体となった需給調整に移行することを示した。自民党としてこれを了承した。
◆直接支払交付金、平成30年で廃止
米の生産調整に参加した生産者には10aあたり1万5000円が支払われているが、この直接支払交付金は「平成26年産から単価を削減したうえで、30年産から廃止する」方向を打ち出した。
それに替えて▽地域政策として導入する多面的機能支払の創設▽水田活用対策の充実▽農地集積の拡充、などに振り向ける。10a1万5000円の交付金は農地を維持していくためのコストを支援する農地維持支払(仮称)に替わる。
米の生産調整に関わるのは水田活用直接支払交付金の見直しだ。これは飼料用米生産へ誘導するために交付金単価を見直すとともに、生産数量に応じて支払う数量払いの導入を打ち出す。
◆産地資金を産地交付金に改称
また、全国一律で助成していたソバ・ナタネについては「産地交付金」(産地資金を改称)での助成とする。
この「産地交付金」は産地の創意工夫を活かして需要に応じた水田農業が展開できるように措置するもので、たとえば、飼料用米で多収性専用品種に取り組む場合には交付単価が追加できるなどの仕組みも導入する考えだ。
産地交付金は県や市町村段階で今後の作物振興の設計図となる「水田フル活用ビジョン」を策定することが交付要件となる。
◆「生産調整をやめるわけではない」小里政務官
一方で、主食用米の生産では農水省は中食・外食などのニーズに応じた生産と安定取引の一層の推進も図る。現在も行われている産地と流通業者との間での複数年、播種前などの事前契約による安定取引を拡大すべきだとする。
そのため国は全国ベースの米の生産と需給見通しの策定はするが、都道府県別の生産数量目標の配分は行わない方針で、それに代えて都道府県別のきめ細かい需給・価格情報や販売進捗・在庫情報などの提供にとどめる。
会合に出席した小里泰弘農林水産大臣政務官は「今回は生産調整をやめるわけではない。数量の配分の仕組みを変えていこうということ。国主導でとっていた需給バランスを地方でとっていく仕組みにしていこうということ。過渡的な措置も含め国がしっかりやっていこうということはやっていく」などと述べたほか、飼料用米に力を入れるのは「新規需要米をつくればつくるほど主食用米の生産が調整されて米価の安定につながっていく。その仕組みを今回は強化していこうということ。決して生産調整をやめるのではない」と強調した。
こうした取り組みの定着状況をみながら、5年後には行政・生産者団体・現場が一体となった生産調整が実現することをめざす。
(関連記事)
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