JA全青協と国会議員 日本農業の行く末を討論2013年10月30日
全国農協青年組織協議会(JA全青協)は10月29日、東京ビッグサイトで「かけがえのない日本農業と地域を次代へ引き継ぐために」をテーマに国会議員とのパネルディスカッションを開催した。全国の青年組織代表など200人が参加した。
パネルディスカッションに登壇したのは、山下秀俊・JA全青協会長、益子丈弘・同副会長のほか、黒田栄継・同理事、天笠淳家・同理事、細谷準さんの5人。国会議員は、小里泰弘・農林水産政務官、齋藤健・自民党農林部会長、鈴木憲和・同副部会長の3人と、コーディネーターとして長谷川岳・同副部会長が出席し、TPPや日本農業の展望などをテーマに、若手農業者が農政に対する疑問をぶつける形で討論を行った。
(写真)
JA全青協役員など200人が参加し、熱を帯びた議論が行われた。
◆増える税収「1次産業支援に」 TPP
TPPについては、山下会長が「重要5品目を守る、と言っていたのに、いつの間にか検討すると言うようになった。軸がブレているのではないか」と質問。
齋藤氏は、「聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対と公約したのだから、(これらが確保されない限り交渉からの脱退も辞さないとした)国会決議は守るべき。妥協するような姿勢が報じられているが、党として、この前提はブレていないことを確認しているし、総理を信じている」と、山下氏の指摘に答えた。
その一方で、「TPPで圧倒的に利益を得るのは2次産業、次いで3次産業。仮に重要5品目が守られたとしても、1次産業にはほとんど利益がない。この産業間の不公平感を是正するため、TPPによって増える税収は1次産業の支援に使うなどの措置が必要だ」とTPP締結後の展望も語った。
また、小里政務官は、「石破茂幹事長は、農業は関税で守る、と言っている。日本の国益、国柄を守るため、国会決議を踏まえた交渉をしていると信じている」と述べた。
◆締結後の再見直しはない
そのほか、若手農業者からは、「いま、関税を守っても、後々、ISD条項を盾に関税撤廃を迫られるのでは」、「担い手支援策はISD条項で訴えられるのではないか」、「TPP参加によって、農地集積バンクに外国企業が入札してくるのはないか」などの疑問も出された。
ISD条項について齋藤氏は、「一般論として」と前置きした上で、「一度決まったものは、例えISD条項があっても変えられるものではない。ただ、ISD条項があろうがなかろうが、米国はさまざまな要求を突き付けてくると思う。政府は毅然とした態度で対応すべきだ」と述べた。
このほか、小里政務官が党農林部会長時代に作成した「農業・農村所得倍増目標10カ年戦略」について、小里氏本人が紹介。小里氏は「この戦略はTPPを前提にしていない。これを軌道に乗せて現場に届ける、というのが党の戦略なのだから、これを覆すようなTPPへの参加はあり得ない」と断言した。
(関連記事)
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