地域包括ケアへ対応を 文化厚生連が研究会2017年10月30日
厚生連病院のあり方探る
日本文化厚生連は10月26、27日、東京都内で「厚生連医療経営を考える研究会」を開き、医療制度の改革等が進むなかで、経営環境が厳しくなっている厚生連病院の運営について報告、意見交換を行った。特に、診療報酬の改定による病床機能の転換、地域包括ケアへの対応などが焦点になった。
高齢化や少子高齢化で急変する医療需要に対してどのように対応するかは、公的医療機関にとって大きな問題になっている。また、2年ごとに行われる診療報酬の改定で、平成18年から看護基準7対1病棟(一般病棟で、患者7人に看護師1人)の基準が創設され、看護師が多い分、報酬が多くなるため、急性期病院への医師や看護師の集中が進み、地方の病院は医師不足に直面している。また多数の7対1施設(病床数)が乱立して医療費が膨れ上がり保険財源の不足に拍車がかかっているのが現状。
研究会ではこの問題が取り上げられ、日本大学の大道久・日本大学名誉教授がこの問題に触れ、28年度で公的病院群の60~70%が赤字決算になっていることを指摘。一方、地域包括ケアは、高齢化が進むなかで、需要は植えるものの、7対1病棟に比べ、診療報酬が半減する。
さらに地域包括ケア病棟に転換した場合、ほどなく病床は在宅復帰困難患者が滞留することになる。こうした悩みを持つ地方の病院運営について、秋田県厚生連大曲医療センターと、大分県厚生連鶴見病院が報告した。
(写真)地方病院の運営で意見交換した研究会
大曲医療センターでは、地域包括ケア病棟を平成26年に開設。その結果、メリットとして三浦雅人病院長は、
(1)在院日数が60日まで可能なため余裕をもって退院調整できるようになった
(2)一般病棟での平均在院日数が短縮した
(3)看護師配置が13対1のため、全体で7対1を算定するより12人ほど少ない人数ですんだ
などを挙げた。
また鶴見病院は、医療機関過密地域の別府市にあって、地元医師会夜間子ども診療への参加、別府市消防本部の「救急ワークステーション」事業参加など、地元医師会、地域との連携を強め、医師の負担増を他の医療機関との連携で解消している。「職員の疲労を軽減し、救急度の高い患者へ医療資源を集中できる」と鈴木正義病院長は、地域救急医療の発展に寄与する、同病院の基本方針を強調した。このほか、東公敏・日本文化厚生連代表理事理事長が「農協改革と厚生連」で、同連の取り組みを報告。2日目は「医療介護の連携と地域医療の課題」で松田晋哉・産業医科大学教授が講演。それらの報告に基づいてパネルディスカッションした。
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