「国産もち」キャンペーン協力の創業150年の老舗そば店の思い なぜ「もち」にもこだわるのか2023年1月31日
「もちも本物でなければそば店は生き残れません」――老舗そば店の店主の言葉だ。JA全農は、国産もちの消費拡大に向けて、都内で力うどん・力そばを提供する店と協力してキャンペーンを展開している。そば店にとって「もち」は“脇役”かと思いがちだが、国産のもちにこだわりを持つ店もある。創業153年の東京・神田のそば店を訪ねた。
東京・神田の老舗そば店「神田錦町 更科」
そばと汁ともちで「きれいな味覚の三角形」を
東京・神田にある明治2年創業の老舗そば店「神田錦町 更科」。歴史を感じさせる店構えの正面の入口わきに「力そばあります!」のJA全農のキャンペーンポスターが掲出されている。
メニューにはご飯ものがないため、そばで物足りないお客さんにはもちのトッピングを勧めるという同店。冬場はお客の10~15%位がもちの入ったメニューを注文するという。早速、注文すると、色白・細めでしっかりした食感が特徴のそばの上に、揚げたての2切れのもちが並んだ「力そば」が目の前に出された。
力そば
そばや汁ともちの調和が絶妙で、「きれいな味覚の三角形」を意識しているという店主の言葉が理解できる気がする。偶然、隣の席の2人の女性客が「力そば」を食べていたので感想を聞いてみた。
「ふだんはあまり頼まないんですけど、ポスターの写真を見ておいしそうだなと思って力そばにしました」「柔らかくてよく伸びるのにすっと切れてすっきりする味ですね。(キャンペーンについて)国産のものはきめ細かいですし、こうした取り組みで世の中が明るくなるといいですね」
差別化の意味でも「繊細に管理する」国産にこだわり
同店の店主、堀井市朗さん(60)は4代目。そばの原料にとどまらず、もちをはじめ国産食材には強い思い入れがあり、そば粉から豚、鶏、カモなども国産しか使わないという。
「お客さまは立ち食いソバなどと違うものを求めてわざわざ店に来てくれますし、差別化するうえでもすべての食材にこだわっています。やはり日本の農家は繊細で丁寧に管理していますし、そば粉などは海外産と雲泥の差があり、安全安心の意味でも高くても国産を選びます。老舗だからとあぐらをかいていたらお客さまは2度と来てくれなくなります」。
そばをはじめ材料と味の研究も欠かさない。そば粉とつなぎの割合も研究を重ね、江戸の職人が最終的に考えた「黄金比率」は8対2と行き着いたという。もちもメーカーからサンプルを取り寄せた中から一番いいものを選んで提供しているという。「もちも本物でなければそば店は生き残れません」と改めて強調する。
4代目店主の堀井市朗さん
メニューからもちはなくならない もっと盛り上げたい
JA全農は国産もちの消費拡大に向けて「ハレの日にはもちを!国産もちの力そば・うどんを食べて当てようキャンペーン」を実施しており、東京都麺類協同組合に加盟する101店舗が協力している。
このキャンペーンに参加している堀井さんは「私たちのメニューからもちがなくなることはないし、米の消費量が減る中でこうしたキャンペーンはうれしいです。私たちも売り方をもっと考えて盛り上げていきたいと思います」と語った。
同キャンペーンは、都内の力そば・うどんを提供する101店舗で、力そば・うどん、またはトッピングでもちを注文し、専用のはがきで応募すると、抽選で100人に「おこめギフト券」が当たる。2月23日まで実施している。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日