課題乗り越え2年目の挑戦 子実トウモロコシ生産拡大へ大規模実証 JA古川・JA全農2023年4月20日
ウクライナ危機などを受けて国産飼料の生産拡大が急務とされる中、JA全農と宮城県のJA古川が昨年度から始めた子実トウモロコシの2年目の大規模実証が始まった。宮城県大崎市のほ場で4月19日、現地見学会が開かれ、生産者や関係者が見守る中、播種作業が公開された。風水害や害虫被害など様々な課題に直面した初年度の教訓を生かし、昨年以上の収量確保と品質向上を目指す。
見学者が見守る中、ほ場を進む真空播種機による播種
播種作業の見学会が開かれたのは、宮城県大崎市の富長生産組合のほ場。JA古川では、今年度、子実トウモロコシの作付け面積を昨年の91haから102haに拡大して2年目の実証に挑む。

JA古川 佐々木浩治組合長
見学会でははじめにJA古川の佐々木浩治組合長が「世界的な原材料不足で飼料高が顕著である中、子実トウモロコシの栽培でいくらかでも国産飼料を提供する使命を担っていると思っています。1年目の課題を1つ1つ解決しながら取り組み、成果を全国に発信したいと思います」とあいさつした。

JA全農 冨田健司常務理事
続いてJA全農の冨田健司常務理事は「昨年はいろいろな課題が明らかになったが、一方で子実トウモロコシは作業時間が短く、輪作をする品目に向いていることが実証された。昨年得られた知見を生かして対策をしっかり講じて収量確保と品質向上をめざします」と述べた。
このあとほ場では、高性能の真空播種機と、大豆栽培で使われている目皿式播種機による播種作業を実演しながら種子会社の担当者などが留意点を説明した。トウモロコシは分けつをしないため、種子1粒から1本のトウモロコシしか育たないことから、担当者は「収量を決める最も重要なのが播種です」と生産者に強調した。10a当たり7000本を確保するために播種機に応じて種子の数を多めに調整することや、走行前にタイヤを回転させて種子や肥料が確実に落下することの確認、さらに速度を抑えてしっかり播種をすることなど注意点を説明した。
風水害対策強化 新たな害虫対策も導入へ
ウクライナ危機などで飼料が高騰する中、国産飼料拡大への期待が高まる中で始まった子実トウモロコシの大規模実証。初年度は、数々の試練や課題に直面した。
91haのほ場で10a当たり700キロ、計640トンの収穫を目指したが、7月の風水害などで全面積の約76%を占める69haが水没や冠水の苗流出、倒伏などの被害を受けた。害虫などの被害もあり10a当たり収量は全体で330キロ、出荷数量は302トンにとどまった。しかし、被害のないほ場では10a当たり513キロ、最高収量は739キロに達し、ポテンシャルの高さは確認された。今年度は土中の「弾丸暗渠」を増やすなど排水対策を強化して風水害などの被害軽減に努める。
また、昨年度はアワノメイガなどによる害虫被害が最終的にすべてのほ場で確認され、収量減や品質低下などにつながった。現在、害虫対策に効果のある殺虫剤の適用拡大が申請されており、登録されれば6月下旬ごろから散布を始める計画だ。
「担い手対策のためにも畑作中心の経営を」

生産組織連絡協議会の鈴木正一会長
見学会が行われたほ場を管理する富長生産組合の組合長でJA古川の大豆・麦・子実用トウモロコシ生産組織連絡協議会の鈴木正一会長(75)は「今年は10a当たり収量700キロを目指す」と2年目の挑戦への意気込みを語った。
昨年度は大雨被害に害虫、さらにカラスの食害にも悩まされたが、地域では10a当たり収量で約640キロを確保できたという。今年度は播種の前に2度の講習会を開いたほか、排水対策も強化した。鈴木会長は「担い手も減る中で農業を保つには畑作を中心とした経営が必要です。米余りの状況の中で国の補助金なども活用しながら挑戦していきたい」と語った。
地元牛の飼料にも活用 来年度は150haも視野に
初年度に収穫した子実トウモロコシの一部は3月から4月末まで試験的に地元の和牛に飼料として与えられており、嗜好性は良好だという。JA全農とJA古川は、今年度の成果をみながら来年度は子実トウモロコシの作付け面積を150haに拡大することも視野に入れる。
昨年度に子実トウモロコシを作付けしたほ場では今年は大豆を作付けし、今年度はその収益性についても検証するとともに、引き続き、生産から流通、飼料化まで一連の現地実証を通じて子実トウモロコシの品質向上と生産拡大に努めることにしている。
【あわせて読みたい記事】
・子実トウモロコシ 時間当たり収支が大豆の2倍 JA古川・JA全農が実証(2023.3.28)
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