新春の集い 農業・農政から国のあり方まで活発な議論交わす 農協協会2025年2月5日
農協協会と農協研究会は2月4日、東京都内で新春の集いを行った。特別講演の後に開かれた祝賀パーティーにはJAグループや関連企業・団体から多数の関係者が参加して交流の輪が広がった。

農協協会の村上光雄会長
祝賀パーティーでは、最初に主催者を代表して農協協会の村上光雄会長があいさつ。トランプ米大統領の再登場に触れ「分断と対立、脅しの政治がまかり通っている」と指摘。日本は「小さくても存在感のある、キラリと光る国でなければならない」と強調し、農協協会も「小さな新聞社だが、正論を展開し、農協人としての良心と心意気を発揮したい」と話した。

農協研究会の谷口信和会長
農協研究会の谷口信和会長は講演会の呼びかけで触れた「混沌」について、政治状況や日本の農政にも及んでいることを解説。そのうえで石破首相が述べた「新しい形での農家への所得補償」などの実現に向けては「(与野党が)大きい部分で意見を合わせ、乗り越える時代にある」と闊達な議論を呼びかけた。

(写真左から)JA全中の馬場利彦専務理事、JA全農の荒井隆常務理事、家の光協会の栗原隆政会長
来賓のあいさつでは、JA全中の馬場利彦専務理事は基本法改正に「我々の意見が一定反映された」とし、基本計画の議論でも「意思を反映すべく働きかけを強める」とした。また、第30回JA全国大会の決議や、次期の食料・農業・農村基本計画について「今年は実践こそが重要なポイント」とした。
JA全農の荒井隆常務理事はこの間の自然災害に対して「営農継続、地域農業の復興を全力で支援する」と述べた。2030年に向けた事業ビジョン策定では「具体的に検討して実現に取り組むが、JA全農グルームだけではかなわない。みなさんとの連携を深め挑戦したい」と協力を呼びかけた。
家の光協会の栗原隆政会長は地方創成での鳥取県の取り組みを紹介し「農業などの生産現場に移住、定住で人を増やす」ことの重要性を強調した。また、『家の光』が創刊100周年を迎えることから「創刊の原点に帰った紙面づくりに取り組みたい」と語った。
鏡開きのあと、元JA全農副会長の萬代宣雄氏は、各党の所得補償など農業支援策について「目的は一緒。与野党が連携プレーで頑張って欲しい」と参加した国会議員らにエールを送った。また「金さえ払えば食料が手に入る時代は終わった。安定供給、安心して農家が生産に意欲を持ってもらえる環境が大事」と強調し、乾杯の音頭をとった。

パーティーではJAや農家の状況や農政、国のあり方を巡っても活発な議論が行われた。
国民民主党の玉木雄一郎衆議院議員は政府に対し「①過去の農政を検証する②現在の直接支払いの制度を整理し日本型の直接支払制度に統合・再編する③農業に見識を持った議員が力を合わせる」と「対決から解決へ」の立場を表明した。
自由民主党の藤木眞也参議院議員は自身の農協運動の取り組みを紹介し「一農家としても国政で発言し農家の所得向上につながる政策を求めていく」と述べた。
日本共産党の紙智子参議院議員は基本法が改正され「食料安全保障と言っても、令和の米騒動は生産基盤の深刻さ」にあることを指摘。「農業者が30万人に減ってもいいのか、国家を挙げて担い手を増やすべきだ」と語った。
日本協同組合連携機構の比嘉政浩代表理事専務はグテーレス国連事務総長の「協同組合の役割を評価する動画」が公開され、これを「JAの総代会などで活用してほしい」と呼びかけた。また、協同組合振興の国会決議への期待や生協と農協の「包括連携協定のような取り組みを各地で進めて欲しい」と述べた。
九州大学の村田武名誉教授は能登半島での経験から「南海トラフ大地震に備えて、JAに防災局や災害対策室を設置して欲しい」と訴えた。
茨城県のJAやさとの神生賢一組合長は「東京への人口の一極集中で地方では空き家や遊休農地、鳥獣害などの問題が発生」していることを挙げ「居住と生活のバランスがとれた国土開発」を求めた。また、東都生協との長年の連携を「農家民宿や直売所などで深め、移住者も迎えたい」と語った。
福島県のJA会津よつばの原喜代志組合長は農林水産祭で「昭和かすみ草」が最高賞の天皇杯を受け、天皇、皇后両陛下に報告した経験を紹介し「これからも100年続く産地として頑張りたい」と述べた。
元シンジェンタジャパン会長で農協協会特別顧問の村田興文氏は「生成AIを使わないと時代の流れで何が深化しているか分からない」とJAでの活用を促した。JAcomの改革も紹介し「これからの新しいウェブの時代をJAcomを通じて学んで欲しい」と呼びかけた。
東大大学院の安藤光義教授は「50年前も食料危機があり政府がテコ入れした。今回は国策に位置づけられていない」と指摘。今後も「つながりを維持して調査や研究も頑張りたい」とあいさつした。
立憲民主党からは4人の衆参議員が参加した。佐藤公治衆議院議員、野間健衆議院議員、三上えり参議院議員は一緒に登壇し、一言ずつあいさつした。川田龍平参議院議員は昨年提出した「ローカルフード法を超党派で成立させたい」と決意を示した。
JA全中前副会長の菅野孝志氏は自身の経験から「農家からの米の売り渡し金額は2万円、消費者への販売価格は5キロで2500~2800円ぐらいが妥当。国の統制もあってしかるべき」と強調した。また、三つの特別講演を振り返り「すべて人間の幸せをどう作るかにつながる。楽しくなければ仕事ではない。そんな地域づくりを頑張りたい」と中締めのあいさつを行った。
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