「ときめく作物育てたい」新規就農でイチゴ農家に JAいるま野就農支援2025年2月18日
君島つぐみさんは公務員からいちご農家に転じ、埼玉県川越市で観光農園を開いた。ハウスを訪ね、就農の動機やJAへの思いを聞いた。
ハウス内に立つ君島さん
小江戸川越を象徴する蔵造りの街並みから車で8分。伊佐沼のほとりに、いちごを栽培するハウスが2棟建つ。その地で観光農園「いちごハウスきみしま」(埼玉県川越市)を運営するのが君島つぐみさんだ。
いちごハウスきみしまは小江戸川越観光に組み込まれることもある(写真は町衆が守ってきた蔵造りの街並み)
公務員を経て
君島さんは、大学卒業後、埼玉県内の自治体に就職し農政課で農と出会った。「一生かけて農業に関わりたい。始めるなら、失うものがない(若い)うちに」と思い立った君島さんは、3年勤めた公務員を退職。宮城県の農業生産法人と埼玉県毛呂山町の農家で、農業経営とイチゴ栽培を実地に学んだ。
ときめく作物を
イチゴを選んだのは「ときめく作物を育てたい」との思いから。「イチゴって、子どもからお年寄りまで好きですし、もちろん私も好きです」(君島さん)
土地探しの苦労と支え
非農家出身の君島さんの新規就農にとって、農地探しが大きな関門だった。自治体の窓口で「20代の女性なんで、どうせできないでしょと思われたのか」きちんと対応してもらえなかったこともあった。「JAと川越市農業委員会は親身で、土地も探してくれました」と君島さんは言う。
市農業委員会が見つけてくれた土地の地主に会いに行くと「キュウリを作るすごくいい方」で、ハウスごと土地を借りられた。2024年10月にイチゴの苗を植え、12月に県のオリジナル品種「べにたま」を初収獲、初出荷した。観光農園もオープンし、にぎわっている。
にぎわう観光農園
めずらしい品種「恋みのり」も栽培
「べにたま」「あまりん」な4品種をハウス2棟(16アール)で1万1000株栽培している。猛暑が苗の生育に影響し植え付けが少し遅れたがその後は順調で、赤くて甘いイチゴが育った。
インスタグラムで宣伝に努め旅行予約サイト・じゃらんでも集客した結果、旅行会社のツアーや保育園の行事も含め、多くの観光客が来てくれる。いちご農園は予約制で、オープンはゴールデンウィーク明けくらいまでという。
色よく育った摘みたてのイチゴ
「オープン前はイチゴ狩りメインに考えていましたが、パックもけっこう売れます」とのこと。イチゴのパックは農園内や目の前にある伊佐沼農産物直売所で売っている。「別の直売所に行って値段を見ると、『この値段では私は出せないな』と思うことがあります。(高設栽培の設備など)初期投資が大きいですからあまり安くはできません」
部会に入って交流
JAいるま野の直売所「あぐれっしゅ川越」でも部会の農家が出荷するイチゴは人気。
JAストロベリーファーマーズというJAいるま野の部会にも入った。君島さんは「農地探しもそうですが、JAは必要な情報が集まっているところで新参者にはありがたい。先輩農家の方々も『元気か』『売れてるか』と声をかけてくれ、みんなやさしいです」と笑顔を浮かべた。
JAいるま野の営農推進員は「君島さんはハウスも自分で見つけ売り先も開拓しアクティブに動く人なんで、サポートしやすいです」と話した。
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