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シリーズ:新世紀JA研究会 課題別セミナー

2019.04.09 
准組合員の新たな位置づけ提案―畑と食卓をつなぐ運動へ【JA東京中央経営企画部経営企画課長・荒川博孝】一覧へ

 新世紀JA研究会は准組合員問題についての小委員会を設け、昨年後半から何回か検討を重ねた。取りまとめに当たったJA東京中央経営企画部経営企画課長の荒川博孝氏にその報告をしてもらった。内容は、准組合員を「食とJA活動を通じて地域農業振興に貢献する者」と位置付け、「農業振興クラブ」づくりを提案している。

【現状と経過】

 1976年JA全中総合審議会では准組合員の加入について「農協が農民を基礎においた組織であることをふまえ、協同組合運動に共鳴し、安定的な事業利用が可能な者」と位置付けている。1986年JA全中総合審議会では、正組合員の一戸複数正組合員化が提唱され、准組合員対応については1976年の総合審議会の内容を踏襲している。
 2015年の第27回JA全国大会では准組合員を「地域農業や地域経済の発展を農業者と共に支えるパートナー」「地域農業振興の応援団」と位置付けている。以前から准組合員の対応策や位置付けはあったが踏みこみが弱かった。このままでは准組合員の事業利用規制に対して有効な策にはならない。
 全国のJAでは准組合員に対し、食や農の観点から各種取り組みが行われている。一見したところいずれも准組合員の位置付けがあいまいな印象を受ける。しかしながら、既存の取り組みについては、JAの将来像をふまえた准組合員の位置付けが明確になれば准組合員対策として有効である。

 

【問題の所在】

◆問われる組織の性格

 (1)正准組合員数逆転の下でのJA組織のあり方(約10年前に准組合員数が正組合員数を上回った事実)、(2)新しい農業振興のあり方の提示(生産者だけで農業振興ができるのか。消費者あっての農業振興ではないか)、(3)組合員に関する基本的対策がなければ常に危機にさらされる(准組合員の位置付けが明確でなければ危機は乗り越えられない)、(4)政治力には限界があり、JA自らの対策を提示することが得策(JA自らの意思がなければ誰も助けてくれない)、(5)ピンチをチャンスに変える(今ならできる。今しかできない)。

 

【基本方向】

◆千万人のJA運動へ

 (1)農業振興は「生産の主人公たる正組合員」と「食の主人公たる准組合員」でという新路線の確立。
 (2)食料・農業・農村基本法に定める基本理念の追及(1000万人のJA運動)。
 2014年の「食料の供給に関する特別世論調査(内閣府)」によると83%が食料供給に不安を抱いている。

国民の食を守るには1000万人のJA運動が必要

 

【准組合員の位置付け】

◆畑と食卓の両面から

 農政の憲法と言われる食料・農業・農村基本法に鑑み、農協法第一条の達成を目指す。
 JAでは准組合員を消費者の代表と捉えることができる。重要なのは、生産者に対する消費者という対義ではなく、消費とは「食」を表し、いわば畑と食卓の両面から地域農業振興に貢献する者をJA組合員と定義することである。准組合員定義解釈の変更

 

【基本的な活動の提案】

  基本的には、准組合員も正組合員と分け隔てなく対応し、JA活動に参加することとするが、准組合員独自の活動として、以下の取り組みを進める。
 1)食を通じた地域農業振興への貢献
 (1)管内農畜産物の買い支え、(2)食に関する意見具申、(3)料理教室への参加、(4)体験農園への参加、(5)援農に関する取り組み、(6)食農・学童教育への参加と意見具申、(7)ニターとしての参加。
 2)JA活動を通じた地域農業振興への貢献
 (1)准組合員による部会組織として「農業振興クラブ」(仮称)を設置、(2)事業利用における農業振興対策、(3)経営面における対策として理事への登用など、(4)運営面における対策として制限付議決権(意思反映のための議決権)の付与。
 3)准組合員の加入促進
 農業振興貢献の意思を文書等で確認する。
 4))准組合員による「農業振興クラブ」の結成と推進
 5)JA活動の補完としてJA版eコマース(全国連の既存サイト活用)

 

【農業振興クラブ】

◆共通の願い農業振興

 准組合員の自発的かつ持続可能な活動とするためには、組織化が必要である。そのための規約例を示す。(規約例は省略)
 特徴としては、(1)准組合員のうち規約に示す目的に賛同する者が加入すること(准組合員の自主管理)、(2)会費負担(1200円/年)を求めることである。具体的な取り組み事項や会費負担について、全て会員の自主判断のもとに行う。会費の徴収は会員の自覚を促す大きな力として活用する。
 准組合員の位置付けを「食とJA活動を通じて農業振興に貢献する者」と明確にすることで、「農業振興」が組合員の共通の願いとなる。食べてくれるから生産できる。生産してくれるから食べられる。そのような畑と食卓をつなぐ活動ができるのはJAである。
(JA東京中央経営企画部経営企画課長・荒川博孝)

 

※このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。

新世紀JA研究会のこれまでの活動をテーマごとにまとめていますぜひご覧下さい。

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