JAの活動:JA全国女性大会特集2017
【JA水戸 組合長・女性部部長 対談】青年部と二人三脚で運営参画2017年1月25日
地域とくらしを守るJA女性部の活動農村に新たな絆を小グループ数多く
JA水戸八木岡努組合長
JA水戸女性部鯉渕善子部長
JAの女性部と青年部は生産部会と並んでJAの事業・活動を支えている。女性部と青年部が二人三脚で活動している茨城県のJA水戸で、女性部の鯉渕善子部長と青年部委員長の経験もある八木岡努組合長に女性部の活動、役割について聞いた。
――最初に鯉淵さんから、女性部との関わり、そのころの活動について聞かせて下さい。
鯉渕 嫁いできたころ、私の地区で同じような立場の女性が40~50人いたでしょうか。知らないところに来て不安を感じていたとき、親に勧められて女性部の若妻会に入り、それから40年近く模索しながらやってきました。
活動は親睦会や農閑期を利用した旅行などでしたが、毎月集まり、年間のスケジュールを決めて活動するようになりました。集まる前にお姑さんにお伺いをたてましたが、「農協の行事なら」と、出してもらえる雰囲気がありました。当時はママさんバレーが盛んで、組合長杯をめざして練習しました。試合はともかく練習の後の茶飲み会が楽しみでした。
八木岡 平成5年に7農協が合併していまの農協になりましたが、その前から各農協の女性の活動は活発な方でした。毎年8月に水戸で開く「水戸黄門祭り」などには、そろって参加していました。
こうした背景があって、若い女性も比較的参加しやすかったと思います。
――合併以後、具体的にどのような活動をしてきましたか。
鯉渕 7地区の仲間と一緒に行動するなかで感じたのは、同じ水戸地区でもとれる農産物が違い、料理も違うということです。そこで自然に、料理を通じて交流を、という声が出ました。お正月料理や季節料理を研究しながら作り、家に持ち帰るなどで女性部の活動をPRしました。
八木岡 これには地域の産業祭と連携して模擬店などを設けたことが大きいですね。産業祭は市町ごとに開いていますが、女性部は支部ごとに全市町に出店し、いまはさまざまな地域のイベントであてにされ、なくてはならない存在になっています。
鯉渕 やはり料理に関してですが、農協の広報誌「協同のこころ」に毎号、料理のレシピを特集しています。地区ごとの担当を決め、スケジュールを組んで料理を紹介してしています。
もちろん地産地消が基本ですが、あまり堅苦しく考えず、伝統料理や創作料理など自由です。もう4、5年続いていますが、年に2回くらい回ってくるので、何を出すかを考えるのが大変です。同じ材料でも、「こんな食べ方があるのか」という反響があり、大人だけでなく子どもにも好評です。新鮮な気づきがありますね。100レシピになったら冊子にしたいと考えています。
――最近、子どもたちに対する食育活動の重要性が指摘されています。JAの地域活動としても重要ですが...。

鯉渕 食育活動は本部、各支部とも年間計画にも入れていますが、小学生のダイコン収穫体験は人気があります。田舎の子どもでもダイコンやハクサイの収穫をやったことがなく、実に楽しそうです。収穫のときはダイコンを主にした料理のレシピを作り、「家で作ってもらってね」と渡しています。
また、女性部や青年部が正月やひな祭りなどのとき、何らかの催し物を行うラウンジのようなものが、各支店にあればいいなと考えています。そこでお茶を出したり、3月には小さな子ども向けにお雛様を飾ったり、10月にはハロウィーンの飾りとかするとかで支店に来るお客さまをもてなすと農協のPRにもなり、他の事業にもプラスになるのではないでしょうか。女性部で、こうしたちょっとしたお手伝いができたらいいなと思っています。
八木岡 それはありがたいですね。ゆくゆくは支店ごとに設けたいです。今年はぜひサークルを立ち上げて、サークルごとに産業祭などに出店できるようにしたいですね。地域の集まり、全体の集まり、趣味のグループと、3つの集まりがあると全体の活動が盛り上がります。
鯉渕 そうした活動には講師が必要で、それを自前で用意したいのですが、資格をとるための支援を農協からしてほしいですね。すると何度でも講師をお願いでき、活動を広げることができます。
八木岡 地域にはプロ並みの人がいます。そうした人を支援するべきだと思っています。青年部の場合も、彼らを中心に青年部ならではの幅広いサークルをつくったらどうかと考えています。昔は職員も野球やソフトボールやバドミントンなど、活動していました。いま、それがほとんどなくなってしまいました。新たなものをつくってもいいのではないでしょうか。
規模の大きい女性部のリードで、まず核となる活動をつくっていただきたいですね。また女性部からは農協の事務局体制をしっかりさせてほしいという要望を聞いています。指導する人とされる人という関係ではなく、一緒に活動できる事務局にしたいと思います。
――これから、どのようなことをやってみたいと思いますか。
鯉渕 いまは、農村でも隣の人が何をしているのか分からないという社会です。こういう時代だからこそ人と人をつなぐ絆が必要です。人に会うと「元気?」といって、手の平を合わすハイタッチのような運動をやったらどうでしょうか。それも全国ハイタッチ運動として。
――活動は次の世代につなぐことが重要です。女性部の後継者づくりはどのようにしていますか。
鯉渕 若い人に、どのようにしてフレミズに参加してもらうかです。お姑さんは理解していますが、若いお母さんは子育てが大変で余裕がありません。農業のように夫婦が同じ仕事だといいのですが、仕事が違うと難しいようです。まずフレミズに多くの人が参加できる方法を考えなければいけません。そこで趣味の会のような活動が動機付けになればいいのですが。
八木岡 最初は活動の核をつくることです。それはJAの職員でもいい。私も現役の青年部員です。就任前には、農協が現在の青年部や女性部と距離があったような気がしていました。それを解消するため、まず現場の組織から役員を出そうということになり、女性部と青年部、それに生産部会から組織代表を出して今の体制が誕生したのです。そのときの動きが今の女性部、青年部連携の活動につながっているのです。それがまた進化して、商工会とのコラボという話も出ています。
――政府・規制改革推進会議は、JAにはくらしなど地域活動は必要ないといっていますが、どう考えますか。
八木岡 JAの活動はそれを利用している人が選ぶことです。仲間づくりと組織づくり、それに普段の地域活動は別でなく、同時並行で進むものです。机上で農協論ではなく、実際に動いてやっていくことがわれわれの運動です。自信をもって、これまで以上にやればいいのです。人生を振り返ってみて、働くだけの人生はなんだったのかと反省するのは寂しいことだと思います。一緒に活動したこと、それに意義を感じて取り組むことは大事です。。
鯉渕 女性部役員のOBと同窓会をやったとき、みんなは組織のためでもあるが、自分のためでもあったと話しています。義務でなく、一緒にやってきたことが自分の財産になったということです。
――組合長として、女性部へのエールを。
八木岡 女性部と青年部は常に一緒に活動してきました。組織代表としての枠を設けたという経緯もあり、二人三脚で、一生懸命やってきました。常に農協の運営に参画しているのだという意識を持って活動していただきたい。そしてわれわれ農協の基本である地域の文化や食を守る大きな軸になり、農協、農業、地域の農産物のファンを増やすため、先頭に立って活動してほしいです。
農協は、受益者である地域のみなさんに喜んでいただくことが大事で、外から左右され、やめたり、拡大したりする性格のものではありません。使命感を持ってやっているのでぶれないでいられるのです。農協のためというのでなく、子どもや地域のみなさん、そして地域の食や伝統文化を守るためです。自分の満足だけでなく、それにやりがいを感じることが大事です。そうした環境づくりが農協の役割だと思っています。
(写真)花巻寿司の作り方を若い世代へ伝授
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