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JAの活動:農協改革を乗り越えて -農業協同組合に生きる 明日への挑戦―

【インタビュー高木剛・日本労働組合総連合(連合)顧問(元会長)】国民の負託に応え、食と農から日本のリードを(後半)2017年11月1日

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・・・だけでは済みません。今月のカリフォルニアの山火事も、温暖化による気象異変の影響が考えられます。原子力発電に関して「連合」は、一度には廃止できないので、時期がきたら廃止できるようにしておこう、と言うところが現在の合意点です。

 

◆米国資本の要求 連携して抵抗を

 ―日本の農協へ対して注文がありましたら、お願いします。

 

髙木剛・日本労働組合総連合(連合)顧問(元会長) 農協の役割は、日本の農業を守り、国民の負託にどう応え、何をするかということだと思います。それを具体化して、その方向に日本全体を仕向けるように頑張ってほしい。農協はそのためのグリップ役・推進役であり、それを弱くしないように力を発揮していただきたい。労働運動と協同組合運動は賀川豊彦という共通の先人を持ち、農協の協同組合の論理とわれわれの運動論には同根のものがあります。自民党の政策の言いなりにならず、時には抵抗してほしい。労働組合も最近はものわかりがよくなりましたが、それはあまり褒められたことではないと思っています。
 農協改革では准組合員の調査を行なうそうです。その結果は分かりませんが、政府、農協の両方に、日本の農業の将来に対する示唆を与えるものになってほしい。生協の単協レベルでは、総合農協と同じような多様な事業を行なっている組織もありますが、過疎地などでは、行政や他の業者がやらないから農協がやらざるを得ないのであって、ニーズがあれば当然のことで、それを潰すというのは問題です。

 

 ――意外なことに准組合員の比率が高いのは北海道の純農業地帯です。農政の優等生として規模拡大を順調に進めた結果、農業をやめた多数の元農家が在村のまま准組合員になったもので、純農業地帯ほど准組合員が多いというパラドックスが存在しています。

 

 准組合員問題を始め、農協改革はアメリカの在日米国商工会議所の意見書に沿ったものです。日本は脅せば何でも言うことを聞くと、アメリカは思っているではないでしょうか。幕末のペリー外交のように。
 若いころ、農協の労働組合づくりに関わったことがありますが、共済推進のときは組合活動がストップするほど職員の皆さんは頑張っていました。単協の信用・共済事業の代理店化は、アメリカの金融資本が以前から要求していたことであって、協同組合の論理が否定されています。新自由主義に負けないように頑張ってほしい。

インタビューのようす。写真右が髙木剛・日本労働組合総連合(連合)顧問(元会長)、左が谷口信和東京農大教授(写真)向かって右が高木剛・日本労働組合総連合(連合)顧問(元会長)、左が谷口信和東京農大教授

 

 ―そこで働く人々が自分の能力を発揮して、より多くの富を生み出すのが企業です。しかし最近の企業は資金があるので、人を雇用して自ら開発する努力をせず、手っ取り早く必要な技術を持つ企業買収、つまりM&Aに走っています。

 

 企業のストックが大きくなりすぎです。金融はアメリカを中心とする投資ファンドの世界になりました。国の企業再生支援機構の監査役を務めたことがありますが、そのときは雇用確保にこだわりました。宮城県の石巻市の造船所が津波で流され、経営ができなくなったとき、700~800人の雇用を確保し、地元銀行の支援を得て再建にこぎ着けたことがありますが、企業の一番の存在意義は雇用の確保です。
 一方、企業は付加価値を適切に配分しなくなりました。この20年、日本の労働者の実質賃金は下がっており、その額は年間で40兆円に達します。タイのGDPに近い金額です。生産性を上げて労働者の賃金も上げること、それが企業と労働組合の約束です。その意味で企業活動の成果の配分のあり方を見直すべきです。

 

 ―企業は株主にだけ目を向けています。企業を構成するのは株主だけではないはずです。

 

 株主の権利を言い出したのは経済産業省で、農協問題の火付け元でもあります。企業の労使間には生産性三原則があります。すなわち、雇用の維持・安定の原則、労使協議の原則、成果配分の原則です。生産性が向上して得られた利益は株主には配当で、労働者には労働条件で、地域には税金で公平に配分するということです。最近の企業はこれを忘れているのではないでしょうか。

 

◆労組と協同組合 運動論で共通も

 農協も自ら律するとともに、負けたらいかんという気持ちで頑張って欲しい。「連合」の会長のとき、なにかの反対運動で、農協と漁協に一緒にやろうと持ちかけたことがありますが、全中から断られ、農協がそうならと漁協も参加しませんでした。運動論は労働組合とそう違いはないと思います。「ワン・フォー・オール」で一緒に取り組める運動もあると思っています。

 

 ―農協に対する労働界からの貴重な意見、提言だと受け止めたいと思います。ありがとうございました。


【インタビューを終えて】
谷口信和東京農業大学教授 何分にも労働運動界の大御所なので緊張してインタビューに臨んだ。しかし、インタビューが始まったとたん、打ち解けた雰囲気に心がなごみ、豊富な話題での流れるような話に圧倒された。大変な勉強家である。▼資本主義が終わりにきているという見解に与するとお聞きした時には少し驚いた。高木氏が言うように資本主義は架空の市場を生み出して延命を図っているが、マイナス金利の市場では資本主義の論理に合わないのではないかという指摘は全くもっともだと痛感した▼吹き荒れる新自由主義の嵐に対して労働運動はもちろんのこと、農業協同組合運動もきちんと抵抗せよといっていることに共感を覚えたが、それが賀川豊彦という共通の先人をもっていることに根ざしていると説明されて、私の不明を恥じた▼農協グループが消費者のニーズに応じた生産・販売を課題にする上では、労働運動とも適切な連携を図っていくことが大切であり、農協改革の有力なテーマになりうるのではないかと気づかされた。
(谷口信和)

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