JAの活動:第4回営農・経済フォーラム
【第4回営農・経済フォーラム】中日本地区実践報告・JA越後ながおか佐藤勝平常務理事2018年9月20日
改革実践は生産者と若手指導員が主導
長岡市は1868年の北越戊辰戦争と1945年の長岡空襲と2度の大火を経験した。とくに戊辰戦争では、三根山藩から贈られた米100俵を、子弟の教育に投じた。この精神が2004年の大水害、新潟県中越大地震からの復興の原動力になっている。目先のことだけを考えるのではなく、将来のための人材を育てるという『米百俵』の精神だ。
この精神に沿って、JAの農業振興は、「生産者の難儀と努力に報いるために」、生産資材を安くする、生産した農産物は高く販売する、営農指導を充実させるの3つを基本に進めている。具体的には「エコ・5―5栽培」の取り組みで、農薬と化学肥料を従来の半分に抑えた栽培で、これは継続した稲作生産地として将来生き残るための模索だと考えている。
この取り組みは、生産者から出た、品質の高い米を大きな単位で扱うには統一した栽培が必要、という声に応えたもの。販売の失敗もあったが、品質向上プロジェクト会議を設置するなどの努力で、平成30年度のエコ栽培面積は約3000haに達した。
米地帯では、農家手取り確保には園芸の振興が欠かせない。しかし、従来の市場出荷では、販売単価が市場まかせのため、手取りアップにつながらず、生産意欲にも影響する。このため、園芸部会の要望で平成18年に直売所「とれたて旬鮮市」を設置した。
現在の直売所の販売額は約2億8000万円。まだ金額は少ないが、生産者の減少で失われていた品目を復活させ、園芸の新しい産地をつくることができた。組合員のやる気を促すため、元気な農業応援積立金の活用、米コンテスト日本一研究会の設置などを行っている。
こうした取り組みには役員、特に営農経済担当役員のリーダーシップが必要だ。少子高齢化の時代を常に頭に入れ、選択と集中とスピード感をもって物事進める。10年先を見据えた人事と行動しやすい環境づくり、時勢の変化に順応する生々流転の心構えで行動を起こすことが必要だと考えている。
(写真)佐藤勝平・JA越後ながおか常務理事
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