JAの活動:第4回営農・経済フォーラム
【第4回営農・経済フォーラム】東日本地区実践報告・JA新はこだて二本柳寛常務理事2018年9月19日
量販店に多品目セット
販売で安定した取引実現
北海道米のひとつ「ふっくりんこ」は函館育ちで、JAは2004年に広域生産部会を結成するが、品質を維持するために低タンパク米(6.8%以下)生産を基本とするなど出荷基準を策定し、栽培農家を厳選した。さらに7.6%以下の基準に満たないものはふっくりんこの名前で流通できないルールとした。ただ、タンパク質値によって精算価格に差をつけたほか、量販店での試食宣伝活動などでブランドとして浸透した。函館の人気飲食店やJALのファーストクラス機内食での提供もしている。生産者の意識も変わり、栽培農家は700戸まで増え面積も2400haと道内作付けの4割超を占める。ふっくりんこを原料にした純米酒、地ビールなど6次化も進めている。
青果物ではJA管内が宮城県ほどの広さもある多様性を強みにする戦略を打ち出した。広域生産組織を整備し青果物生産部会には約1000名の生産者が参加している。
合併前は13JAがそれぞれ産地化をめざしていたが、管内で生産する多品目のセット販売を量販店に提案した。多品目通年出荷産地として売り場をJA単独で長期間確保して安定的に供給できるようになり、JA新はこだてとして一体感のある青果物販売ができるようになった。セット販売では多品目混載出荷による輸送コスト低減も実現した。トマトではそれぞれの地域の栽培特性を活かし、3月の促成栽培から9月の抑制栽培まで複数地域のリレー出荷による長期販売も可能となった。
販売額は29年度で307億円。前年より16%増えた。農産物の生産量は現状維持だが、販売価格が安定して推移し総額は増加しており、3年連続で300億円を超した。高齢化による離農で正組合員は2000戸で戸数は半減し、まだ減少を続けているが、土地集積による規模拡大と振興作物への品目集約で一戸あたりの販売額は15年間で2倍以上の1400万円と実績を挙げている。7つの基幹センターの営農指導機能を強化、組合員からの相談に迅速に対応していく。多種多様な農業の強みを生かしていきたい。
(写真)二本柳寛・JA新はこだて常務理事
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