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特集:第65回JA全国青年大会特集

2019.02.19 
【座談会】ポリシーブックを核に「農」の価値 広くアピール(2)一覧へ

【座談会出席者】
水野 喜徳・JA全青協会長/群馬県JAあがつま理事
村上 光雄・元JA全青協副委員長/前広島県JA三次組合長
大金 義昭・文芸アナリスト

◆地域のリーダー育てる組織

 村上 青年部という組織は「人を育てる」組織であり、地域のリーダーとして活動する組織だと思います。私の同世代の盟友の中に、人前で話すのが苦手だと言っていた人がいたんですが、3、4年すると堂々と会議の議長をしていていたり、久しぶりに会った後輩が見違えるように成長していたりするんです。青年部は代々そうやって人を育てていくよき伝統がある。

 

 大金 全国の盟友は、かつての50万人から6万人に減っていますが、饅頭は食べてみなければその美味が分からないように「青年組織」という饅頭も食べてもらうまでが大変ですよね。村上さんがおっしゃるような、青年部に入ると自分も成長できるんだという利点がなかなか伝わりにくい。未加入の人たちを組織に呼び込む際に、どんな苦労がありましたか。

 

「JAの青年組織は    代々人を育ててきた」 水野 今も苦労していますよ。ほとんどの人は「忙しいのに青年部に入って何があるのか。メリットは」と言うのです。私は、肥料が安く買えるといった「モノ」ではなく、半分精神論、イズムみたいなものを教えてもらえる。お金では買えないいろんな人との出会いがあるのだと言っています。
 先輩から営農のヒントを聞いたり、新技術のアドバイスをもらったりして、自分から貪欲に求めることができる機会があります。それが青年部のメリットではないでしょうか。

 

 村上 立派な農協人で、リーダーである前に立派な社会人でなければならないということですね。いくら農業経営がしっかりしていて儲かっていても、「あいつはだめだ」と地域で認めてもらえないようではどうしようもありません。
 考えが立派だとか、筋が通っているなと言われるような人間にならないと。そういう意味では青年部の活動は「メリット」という金銭的な考えが先に立つようではいけない。

 

 大金 人と交わってこそ人は育つ、人は一人では成長できませんものね。一人の力だけでこの荒波の時代を乗り越えていけるのか、ということもあります。

 

村上 光雄・元JA全青協副委員長/前広島県JA三次組合長
 村上 地域というものを大切にしなくてはいけないし、そこには、自分も含めていろいろな人の暮らしがあるんです。一人で完結することなんてないですよ。みんなで支え合っていかなければいけない、それが地域で暮らすということです。家族農業が地域を守るのです。農協も集落が原点で、集落が危機に瀕していれば手伝いをする。それを組織化するのが我々の務めだと思います。

(写真)村上 光雄・元JA全青協副委員長/前広島県JA三次組合長

 

 水野 集落営農について、組織も代替わりしてきますね。組織を立ちあげたのはいいが、立ち上がった瞬間から、高齢化や担い手の不在で組織的にも限界だったという話はよく聞きますよ。

 

 村上 たしかにオペレーターも高齢化し、運営が困難になっている集落法人もありますが、それぞれ知恵を出し合いながら集落なり、組織なりを守っていますよ。要は農協や行政が一体となって一緒に考え、バックアップしていくことが重要だと思います。集落営農も徐々に深化しています。

 

◆異業種交流を積極的に

 大金 青年部活動の柱の一つに、次世代対策の「食農教育」がありますよね。地域社会へのアプローチとしては「異業種交流」などにも積極的に取り組みたいですね。

 

 水野 食農教育に関しては20年近く続けていますが、きっかけは子どもたちに食の安全を教えるところから始まりました。日本で農業を続ける意味について、自国でつくる農畜産物は国の安全保障の一環なのだという、少し先のところまで考えています。将来、子どもたちが農業従事者になるかもしれないですし、農業を職業として見てもらえたらという思いもあります。異業種交流については、直売所で店頭に立てば消費者との交流にもなりますし、わざわざ何かを探さなくても可能ですね。

 

「生き方、世界観の   理論武装しっかり」 村上 子どもの時の体験は将来的に重要になってきます。特に食料の問題はそうですね。若いとき政治家とも話す機会がありましたが、やはり農業は大事だという話になるんです。戦後の食糧難の時代、疎開をした経験があったからですよ。
 ところが、今の政治家は農業のことも農家のことも分かっていません。消費者も生産現場を知らなければ、安ければいいと考えてしまう。青年部が続けている「バケツ稲づくり」の取り組みは今後もやって欲しいと思います。積み重ねがないと理解してもらえないですからね。

 

 大金 農業に対する子どもたちや国民の理解を深める青年部の拠り所になるのがJAでしょ。強権的なJAバッシングがまかり通る中で、水野さんはJAの次の時代をどのように思い描き、どのようにしていきたいと考えていますか。

 

 水野 協同組合だから相互扶助とか理念としては正しいと思っていますが、きれいごとを言っても間に合わないところまできていると思うのです。農協改革を突き付けられている中で今年9月には全中が一般社団法人になることもあり、全国で約634ある農協も、合併や統合が今後も繰り返されると思います。我々農業者に農協が必要なのは、総合事業がワンストップで利用できるので、それでここまで発展してきました。信用・共済だけに頼るだけでなく、生産の部分をもう一回設立当時のレベルまで持っていかなければいけないのではないかと思います。

 

 村上 50年にわたり農協運動と関わってきて、内部で旗振りもしてきたのでいろんなものが見えすぎて、逆に将来の夢が描きにくいということはありますが、でもやっぱり水野君が言ったような「始めに帰る」というところに持っていけるかどうか考えなくてはいけませんな。
 戦前は生産物の買い取りをしていて、昭和20年代後半に、農協は破たん状態になり、売るものは全て委託販売、買うものは予約購買を進めました。農協は在庫を持ってはいけないということです。そこでもう一度原点に帰って、共同購入・共同販売は今のままでいいのか、今の時代に適合したベストな取り組みはないのか検証・検討してみる必要があると思います。
 農協という組織は、なぜか昔のことを反省することができません。平成10年代のJA改革の断行、これも総括できていない。全国連の統合も上手くいったのは全共連だけ。そうしたことを総括して次に進むということをしないといけないのではないかと思います。

 

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