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JAの活動:食料・農業・地域の未来を拓くJA新時代

【下小野田寛・JA鹿児島きもつき代表理事組合長】令和新時代 優しさで創る "つながり日本"2019年7月29日

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・わがJAの目指すもの

 本紙の今年度企画の主旨である「わがJAがめざすもの」に、今回はJA鹿児島きもつき代表理事組合長の下小野田寛氏に登場を願った。同JAは人財育成、思い遣りと気遣いによる温かい人間関係づくりをめざす「チームきもつき」宣言に基づいてJA役職員、組合員のイノベーションに取り組んでいる。その成果を広げ、「日本中にあらたなつながりを拡げたい」と望む。

地域・組合員とのつながり深めて 家畜市場で組合員と話す下小野田組合長地域・組合員とのつながり深めて
家畜市場で組合員と話す下小野田組合長

 

◆どこへ向かう日本

 第25回参議院議員選挙も終わった。暑い夏に行われる、令和に入り初めての国政選挙ということで、令和新時代を占う熱い選挙が期待されたが、大雨が続き、各地で水害・災害が心配される中での投票となった。梅雨も長引き、梅雨明けも例年より遅くなった。平成の時代は全国各地で自然災害が多く発生して多くの人々が苦しんだ。「令和の時代よ穏やかであってくれ」と祈るばかりである。
 令和新時代、私たちはどこへ向かい、この国はどこを目指していけばいいのか。国民の皆さんにいま一度お伝えしたい。日本の農業は保護されているのではない。国民の命を守るために国内の農業が大事だということであり、そのことは昔も今も、そしてこの令和新時代も変わらない。保護されなければならないのは国民の命であり、国民の生活である。
 自然環境、気象条件の影響を最も受けやすいのが農業であり、農家はその影響の度合いを軽減するためにあらゆる備えをする必要がある。経営の合理化・複合化、新たな技術への挑戦、発想の革新等農家自身も立ち止まることなく一歩一歩、前に進んできた。また国も農地整備・灌漑事業整備などの構造改善事業に取り組み、安定的な農業生産のためのインフラ整備を進めてきた。
 しかし現実は厳しい。食料自給率(カロリーベース)は下がり続け、現在38%である。TPP11、日EUEPAの経済連携協定が相次いで発効し、海外から農水産物がますます輸入されやすくなった。そのことは日本の食卓を世界一豊かなものにして、東京のレストランでは世界中の料理が食べられるようになった。観光立国を目指す日本として食の豊かさを海外にアピールできることは素晴らしい。
 だが忘れてはいけない。日本の食の豊かさを支えているのは、間違いなく日本の多種多様な農水産物であり、外国産の農水産物ではない。国民の皆さんにいま一度お伝えしたい。日本の食の豊かさを守るためにも、国民の命を守るためにも国内農業に、農家に、農村に熱く目を向けてほしい。

 

◆今こそ優しさが...

 私たちはどこへ向かい、この国はどこを目指していけばいいのだろうか。私たちが目指すのはやはり、「優しさ」である。近い将来、地球人口は100億人を超えるともいわれている。それだけたくさんの人で地球があふれるということであり、温暖化を含む地球環境の悪化、食料・資源の枯渇など人類の先行きは心配だらけだ。少子高齢化が進み、人口が減り始めた日本ではなかなか実感がわかないかもしれないが、地球は、人類は確実に新たな難しいステージに向かっている。
 その時に人類にとって大切になってくることが、「優しさ」である。人口が増えれば増えるほど、隣の人への気遣い、遠くの人たちへの思いやりが必要になってくる。限られた食料・資源だから、周りの人たちのことを考えて使っていくことが私たちに求められる。自国ファースト、自国一辺倒ではやがて世界は、地球は行き詰まる。予想される人類の難局に対して、人類を救う大いなる知恵がこれからますます求められてくる。その時私たちが考えないといけないことが「優しさ」である。
 この国・日本は自国民に優しいだろうか。日本を好きで来てくれる外国の皆さんに優しいだろうか。日本にずっと住みたいと思っている自国民に、外国の皆さんに優しいだろうか。いま一度私たちの優しさについて考えたい。令和の新時代、私たちの優しさを大いに発揮したい。
 先日、テレビで世界一の清掃員、新津春子さんの特集が放映された。彼女は中国から日本に来て、17歳から清掃の仕事を続けてきた。30年以上である。羽田空港が世界一きれいで清潔な空港と言われ、私たちがいつも気持ちよく利用できるのは、新津さんをはじめとする500人のスタッフのおかげである。彼女が心がけているのは、いつも心を込めて、もっと心を込めて掃除をすることである。立ち止まるのではなく、常に進化していく新津さんの覚悟と信念がわかる。清掃員を超えた職人を目指す彼女が言った、「清掃は優しさ」であると。

 

◆"やる気先進国"に

 昨年米ギャラップ社が企業の従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)を調査したところ、「熱意あふれる社員」の割合は、米国が32%なのに対し、日本はわずか6%にすぎなかった。調査した139か国中132位と最下位級だ。しかも日本は、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合が24%、「やる気のない社員」が70%に達した。
 バブル崩壊以降の経済低迷で、長く働いても賃金が上昇するとは限らなくなり、士気は上がりづらい。組織の生産性を高めるには、社員のモチベーションを高めることが急務だ。これは日本の企業に限ったことではない。日本のすべての組織、日本全体の雰囲気をあらわしている。日本の将来に対する悲観、自分たちの将来に対する不安、何をやっても変わらないというあきらめムード、それらのことを的確にあらわしている数字だと思う。
 世界から〝やる気後進国〟と言われてはいけない。日本は〝やる気先進国〟を目指し、令和新時代を進んでいかなければいけない。その時のキーワードもやはり、「優しさ」だ。いま、組織にとって優しく人に接し、優しくコトにあたることがとても大事であり、人はあったかいところに集まり、人は明るいところに集まり、人は優しいところに集まる。人が集う優しい組織、地域、この国・日本を創りたい。そして未来に対する一人ひとりのモチベーションを上げて、組織・地域・日本全体の生産性を上げていく、それが私たちの令和新時代である。

 

◆わくわくドキドキ

 いま、国を挙げてスマート農業を推進している。まさに若者が「わくわくドキドキ」できるような世界最新の、時代の最先端の取組みが期待されている。いろいろな企業が、研究機関が最新の取り組みに挑戦している。農業は人類の生命のインフラであり、私たちの命がつながるために必要不可欠なものである。
 私たちJAもスマート農業の推進に大いに貢献したい。私たちの農家組合員には、私たちの地域で農業を行う上で必要なあらゆる知識と経験を有した数多くの農家がいる。これらの農家の皆さんの知識と経験をスマート化して活用すれば、地域全体の生産性を上げることができる。
 そのために、今こそ農業・農村においてもオープンイノベーションを進める必要がある。農業・農村における人的資源、地域資源、知識資源をオープンにして、さまざまな組織・地域・人がオープンにつながり、新たな価値創造に挑戦していきたい。私たちJAも組織・地域・人それぞれの立場でいろいろなところとつながり、農業・農村のオープンイノベーションに貢献したい。
 日本の食を支える産業、行政(国・県・市町村)、大学・研究機関と産官学の協業と連携をどんどん進めたい。その時に大事なことが一人ひとりとしての人の参加である。産官学の協業・連携に、組織としての参加だけでなく、一人ひとりの農家・消費者・応援者の人が参画できる仕組みづくりが求められる。それができてこそ、真の意味で、個々に開かれたオープンイノベーションである。

 
 
◆優しさはつながる

 農村部は競争が足らないといわれるが、競争すれば農村部のすべての課題がばら色に解決するのだろうか。競争ではなく共生が必要であり、私たちが誠実にみんなと心と力を合わせて、みんなでチームを創ることが大事でないか。人は皆、安心できるところで自分の力を蓄え、そして安心して思いきって自分の力を発揮できることに幸せを感じる。私たちの生活・仕事はバトンリレーのようなものであり、いろいろな人とつながっていて、何一つとっても自分一人ではできないことばかりである。しかも、私たちは単に何も考えずにみんなとつながっているのでもない。
 私たちは機械にはできない創意工夫を付け加えて次につなげていく。それが人の強みであり、つながっていることを意識した、次の人への優しさである。そこに生産性向上の大きな鍵があり、イノベーションの種がある。そのつながりを私たちJAも大事にしたい。みんなのつながりをより強いものにするために、つながっているすべての皆さんと力を合わせていきたい。そして私たちは新たなつながりも創っていきたい。日本中に新たなつながりを拡げていきたい。その原動力となりたい。私たちが目指すのは、令和新時代、優しさで創るつながり日本だ。

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