JAの活動:【第29回JA全国大会特集】コロナ禍を乗り越えて築こう人にやさしい協同社会
【JA香川県とコープかがわ 包括連携協定】現地レポート:協同組合間連携で共生 組合員の簡便性見据え【第29回JA全国大会特集】2021年11月18日
2019年1月に『生活協同組合コープかがわと香川県農業協同組合との「豊かでくらしやすい地域社会づくり」に向けての包括連携協定』が締結され、思い切った共同事業が進められている。「包括連携協定」がめざしたのは何であったのか、連携事業は実際にどう進んでいるか、そして今後の展開はどうかを、JA香川県・木内秀一代表理事理事長とコープかがわ・木村誠理事長のインタビューを交えて探った。(聞き手=村田武・九州大学名誉教授、椿真一・愛媛大学農学部准教授)
コープ太田店内にある「JA産直市コープ太田店」
直売スペース共有生消交流の場にも
JA香川県とコープかがわの包括連携協定の締結から1年余りで実現したのが、JAの農産物直売所の駐車場にコープの小店舗・共同購入デポ(生協組合員の共同購入商品の受け取り場所)の開設である。すでに次の2カ所で実現している。
ココステーションみきはJAが高松市の東隣の三木町に開設している直売所「三木とれとれ市」の駐車場スペースに開設。コープの共同購入商品受け取り場所と物販を行う。2019年10月に開店。
ここね飯山はJAが丸亀市で開設している直売所「ファーマーズマーケット讃さん広場飯山(はんざん)店」に隣接してコープの「ここね飯山」(600平方メートル)を2020年5月にオープン(ここねはCOOP Community Neo、Neoは新または再生の意味)。JA直売所と競合する生鮮3品(野菜・肉・鮮魚)は扱わず、総菜と食品が主体の店舗。共同購入商品の受取場所「ココステーション」を併設している。
この事業で、農協・生協組合員はともに、生鮮食品だけでなく生協商品もワンストップで購入できるので、集客数を確実に増やしている。さらに、ココステーションみきでは「お買いもの送迎カー」(8人乗りのワンボックスカー)を週8便運行し、買い物難民地域の高齢者に大変喜ばれている。
「ココステーションみき」。共同購入商品の受け取りのほか、物販も行っている
コープ店舗にJA産直市
高松市内の太田地区にコープが開設している大型店舗「コープ太田」(営業時間9時30分~21時)の正面入り口の真正面に野菜・果実・花き売り場(67平方メートル)の「JA産直市コープ太田店」を2020年11月に開設。出荷者は高松地区を中心に99名で、開設1年未満で販売高は3000万円にのぼる。
JAは出荷者の募集、栽培履歴の確認、売り上げ代金の精算を担当し、店舗全体の運営を行うコープ職員は産直市営業終了後の商品の引き下げを担当している。産直市の六車誠所長(44)によると、産直出荷会員99人を午前会員(搬入時間6時30分~8時30分、追加搬入時間10時~13時)、午後会員(搬入時間13時~16時)、全日会員(午前商品搬入が6時30分~8時30分、午前商品追加搬入が10時~13時、午後搬入が13時~16時)と3グループに分け、店舗営業時間中の品切れを防いでいる。出荷生産者、生協組合員双方の顔が見えることの意味は小さくない。
コープの高橋純央店長(47)によれば、「JA産直市」の開設で「コープ太田店」の来客数(1日当たり)は800人から1000~1100人に増加したという。
JA産直市の六車誠所長(左)とコープ太田の高橋純央店長
【JA香川県概要】
JA香川県(香川県農業協同組合)は、2000(平成12)年に県内45農協のうち43農協が合併して、事実上県単一農協になった。残る2農協も合併して完全に県単一農協になったのは2013(平成25)年で、これは奈良県、沖縄県に次いで全国3番目であった。正組合員5万9780人、准組合員8万1146人、農産品取扱高378億円、直売所売上高が42億円、正職員2147人の大農協である。県内に28の直売所を展開している。直売所出荷会員は延べ約6400人。
【コープかがわ概要】
1966年設立の生活協同組合コープかがわ(コープかがわ)は、現在、組合員19万3000人、事業高203億円という大生協である。14の店舗と共同購入で全県をカバーしている。
【香川県概要】
香川県は人口95万人、41万世帯で、面積では日本1小さい県である。瀬戸内海に面して讃岐平野が広がり、南側は緩やかな讃岐山脈で徳島県に接する。オリーブの小豆島も香川県である。温暖な瀬戸内気候に恵まれ、1万を超えるため池が農地を潤し、野菜から米、小麦・裸麦まで豊富な農産物を誇る。
<包括連携協定(抜粋)>
第1条(目的) 本協定は、甲(コープかがわ)と乙(JA香川県)との協同組合組織としての特性を生かした連携・協力により、協同組織の力で豊かに暮らしやすい地域社会づくりに貢献することを目的とする。
第2条(連携協力事項)甲と乙とは、前条の目的を達成するため、次の事項について連携・協力して実施するものとする。
(1)地域コミュニティーの維持発展および健康で豊かなくらしづくりの拠り所となる店舗施設や小さな拠点づくりに関すること
(2)生産者と消費者を結びつけ、地域社会を支えるプラットホームの提供に関すること
(3)食の安全・安心、安定供給に関すること
(4)地域資源を活用した産業振興や観光振興など地域社会経済の活性化に関すること
(5)本協定の趣旨に賛同する他の協同組合組織等の参加促進に関すること
(6)その他、本協定の目的を達成するために必要と認めて合意した事項
(関連記事)
【JA香川県とコープかがわ 包括連携協定】対談:木内秀一理事長×木村誠理事長 地域への思い一致 集客力の拡大にも
重要な記事
最新の記事
-
【欧米の農政転換と農民運動】環境重視と自由化の矛盾 イギリス農民の怒りの正体と運動の行方(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内で多発のおそれ 熊本県2024年4月26日
-
【注意報】核果類にナシヒメシンクイ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年4月26日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年4月26日
-
「沖縄県産パインアップルフェア」銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年4月26日
-
「みのりカフェ博多店」24日から「開業3周年記念フェア」開催 JA全農2024年4月26日
-
「菊池水田ごぼう」が収穫最盛期を迎える JA菊池2024年4月26日
-
「JAタウンのうた」MV公開 公式応援大使・根本凪が歌とダンスで産地を応援2024年4月26日
-
中堅職員が新事業を提案 全中教育部「ミライ共創プロジェクト」成果発表2024年4月26日
-
子実用トウモロコシ 生産引き上げ困難 坂本農相2024年4月26日
-
(381)20代6割、30代5割、40/50代4割【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月26日
-
【JA人事】JA北つくば(茨城県)新組合長に川津修氏(4月20日)2024年4月26日
-
野菜ソムリエが選んだ最高金賞「焼き芋」使用 イタリアンジェラートを期間限定で販売2024年4月26日
-
DJI新型農業用ドローンとアップグレード版「SmartFarmアプリ」世界で発売2024年4月26日
-
「もしもFES名古屋2024」名古屋・栄で開催 こくみん共済coop2024年4月26日
-
農水省『全国版畜産クラウド』とデータ連携 ファームノート2024年4月26日
-
土日が多い曜日まわり、歓送迎会需要増で売上堅調 外食産業市場動向調査3月度2024年4月26日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 一時輸入停止措置を解除 農水省2024年4月26日
-
淡路島産新たまねぎ使用「たまねぎバーガー」関西・四国で限定販売 モスバーガー2024年4月26日