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JAの活動:第43回農協人文化賞

【第43回農協人文化賞】営農事業部門 長野八ヶ岳農協前組合長 由井和行氏 持続的でもうかる農業目指して2023年2月1日

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長野八ヶ岳農協同前代表理事組合長 由井和行氏長野八ヶ岳農協同前代表理事組合長
由井和行氏

JA長野八ヶ岳は、平成13(2001)年にJA小海、JA長野川上、JA南牧、JA南相木村、JA野辺山開拓の5JAが合併し誕生しました。管轄する地域は、小海町・川上村・南牧村・南相木村・北相木村の1町4村で構成されていて、群馬・埼玉・山梨の3県に接する長野県東部にあります。管内は、標高850~1500mに至る高低差と内陸性気候などの自然条件を生かし、高原野菜を中心とした品目を生産しており、夏野菜の一大産地となっています。

この八ヶ岳高原一帯は、明治~昭和時代中期まで日本の他の農村と同じように稲作が中心で、働く馬の産地でもありました。しかし、夏でも気温が高くならない土地のため、お米の生産にはとても苦労があり、農家の人たちは、気候に負けない生産性の上がる作物はないかと研究を重ね、涼しい土地に適した、ハクサイ、ダイコン、コンニャク、カラマツの苗木などが作られるようになりました。

昭和10(1935)年、この地域に鉄道(小海線)が通り、作物や商品を遠方まで出荷できるようになりました。その後、昭和35(1960)年頃からレタス、キャベツなどの高原野菜が新たに導入され、今では高原野菜の一大産地として発展しました。

私は昭和48(1973)年に東京農業大学を卒業後、農業の道に進み、ハクサイ、レタスを中心に栽培し専業経営を行ってきましたが、平成16(2004)年から非常勤理事として、平成19(2007)年からは代表理事専務理事、そして平成22(2010)年から4期12年間、代表理事組合長として農協運動に携わってきました。

JA長野八ヶ岳では『持続的でもうかる農業』を基本目標の一つに掲げ、農家手取りの向上を目指してきました。全国的には、農業の後継者不足が深刻な問題となっていますが、この基本目標を達成することにより後継者不足は解決すると考え、様々な施策を行ってきました。

野菜販売においては、安定収入を得られる部分として、全農・市場と連携しながら契約取引を拡大するとともに、レタス・ハクサイ・リーフレタスの主力品目に生産が集中しないよう主力品目以外への誘導や新たな品目開発を行い誘導する等、適性生産への取り組みも行ってきました。

消費者からも「いろいろな種類の野菜が食べたい」との要望が以前から寄せられてきており、近年では10種類以上の野菜を出荷し消費者へ提供できるようになっていましたが、どの品目も出荷数量が少なく十分に消費者の要望に応えられてはいませんでした。そこで、一番要望の多かったブロッコリーの栽培を奨励し、出荷数量を増やすことを決定。鮮度維持のため発泡スチロール箱の改良を行いその中に氷を詰めて消費地まで届けるようにしました。

そのために製氷施設の設置や発泡スチロール箱の使用等でコスト増とはなりましたが、消費者の皆様にはその品質に高い評価をいただきました。現在では出荷数量も増え全国各地へ出荷され、主力の高原野菜であることを認知していただき、農家にとっても大きな収入源となっています。

また、農家は昔から家族経営であり、農作業では大変な苦労をしてきました。農業で苦労している親の姿を子どもが見れば自分は農業はやりたくないと感じるでしょうし、親も農作業が収入に見合わない苦労と感じれば、子どもにその苦労をさせたくないという思いは当然出てきます。そこで、この農作業をできる限り機械化することや、アルバイト・海外実習生等の雇用による労働力の確保で、農家家族の負担を大幅に軽減することができました。

さらには、営農指導体制の強化が重要と考え、組織的にも本所農業部に企画振興課を新設し、農家への栽培履歴の記帳指導、若手営農指導員育成、農業補助金事務、農家経営指導や青色申告の記帳指導などを行い農家支援の強化を行ってきました。

卸売市場でトップセールス卸売市場でトップセールス

私自身が専務を経て組合長に就任した頃は、安心・安全な野菜の生産に注目が集まっていましたが、以前から農家へ野菜の栽培履歴の記帳を求めていたもののなかなか浸透せずにいました。特に契約取引先からの栽培履歴の提出が強く求められるようになり、農家の収入安定とこの産地を守るため、営農指導員を中心とした職員に各支所や生産部会の会議の中で、栽培履歴の記帳の仕方や必要性を丁寧に説明し、時には実需者の代表者や市場関係者にも説明や講演をお願いし、記帳を徹底しました。

また、以前は野菜の防除指導が営農指導員のメインの業務となっていましたが、農家経営全体を指導できる体制も構築し、現在では栽培履歴の記帳だけでなく、農薬保管庫の管理、農機具・肥料資材等の安全管理チェック、ほ場作業の安全管理、集荷場の安全・衛生管理にまで記帳範囲が広がってきています。一部の農家には、JGAPやグローバルGAPの取得をしていただくまでになりました。産地の安心・安全な野菜を守るために、ここまでご協力いただいた農家の皆様と関係職員に感謝申し上げます。

これらの取り組みの結果、私の就任当初の年間野菜販売実績が1700~1800万ケース、150億~190億円の販売高だったものが、近年では2000万ケースまで増え販売高も平成25(2013)年から10年連続で200億円を超えており、それぞれの農家にしっかりと農業後継者が定着し耕作面積についても維持拡大がされてきていると言えるのではないかと考えています。ただ、この先の農業を考えると課題は山積しており、『持続的でもうかる農業』の追求には、弛みない努力が必要であり、私も一組合員として精いっぱいの尽力をしていきたい。

由井和行様【略歴】ゆい・やすゆき 昭和26(1951)年生まれ。昭和48(1973)年東京農業大学卒、同年4 月就農。平成16(2004)年5 月長野八ヶ岳農協理事就任。平成19(2007)年5 月代表理事専務理事。平成22(2010)年5 月代表理事組合長。(~令和4 年5 月)

【推薦の言葉】
高原野菜産地を確立
由井氏は昭和48年に就農し、平成16年にJA長野八ヶ岳の理事、19年に組合長に就任し、令和4年に組合長を退任するまでの20年近く役員を務め、野菜・畜産を基盤とする農業生産に立脚した農協経営に手腕を発揮し、農家所得の維持・拡大に傾注した。
特に主力の野菜生産では、生産・販売を拡大するため、労働力の確保、担い手の育成・確保に力を入れ、高原野菜の産地を確立。正組合員2700人ほどのJAで、ハクサイ、キャベツ、レタスを中心とする野菜の販売量は年間2000万㌜を超え、販売高は平成22年度204億円に達した。それ以来、200億円をキープしている。
毎年、野菜の出荷時期には自ら全国の市場やスーパーマーケットなどの店頭に立ってトップセールスや宣伝活動を行い、自ら八ヶ岳の農産物のPRや食べ方を提案している。また平成28年から長野県農協組合長会会長として、JA自己改革をリードした。

【谷口信和選考委員長の講評】
由井氏はハクサイ・レタスの専業農家から出発し、常勤の専務・組合長として15年勤務する中で「持続的でもうかる農業」を目標に掲げ、今日では正組合員1人当たり900万円超の販売高に達する高原野菜産地農協を実現しました。契約取引の拡大やブロッコリー導入、農作業の機械化、外国人実習生の雇用、栽培履歴の記帳、JGAP・グローバルGAP取得などもうかる農業実現のためにあらゆる努力を傾注して取り組んできたその功績は絶大です。

第43回農協人文化賞

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