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JAの活動:第43回農協人文化賞

【第43回農協人文化賞】経済事業部門 静岡県経済連経営管理委員会会長 松永大吾氏 新時代への挑戦胸に2023年2月8日

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静岡県経済連経営管理委員会会長 松永大吾氏静岡県経済連経営管理委員会会長
松永大吾氏

〈組合員も変わってきた、職員も変わってきた、社会環境も変わってきた。
ならば、農協も変わらねば...である。〉

「自然が好き、だから農業が好き、そして人間が好き」

このキャッチフレーズで私は40年間農業をやってきました。

我が家は、江戸時代より続く茶農家で昭和39(1964)年までは、自園自製(近くの農家の生葉買いもする)を営み、昭和40(65)年に任意共同ヤマヨ横向共同製茶組合へと変遷し、昭和58(83)年に農事組合法人横向茶業組合を設立し現在に至っています。

私は、東京農業大学弓道部で福島県いわき市出身の女性(妻)と出会い一男二女を授かりました。その後、息子は7年間東京で会社勤めをしたのち専業で農家を継ぎ私の代では3haであった農地を5haまで広げています。

農業人人生の中では、農協青年部活動をとおして多くの仲間と知り合い、県知事認定の静岡県農業経営士としての活動(65歳定年)もさせていただき人間力の向上につながりました。この間、JA掛川市青年部長、静岡県青壮年連盟(県連)委員としても活動させていただきました。県青壮年連盟発表大会での最優秀賞(県知事賞)受賞は、その後の活動の励みになりました。

40年間の農業人としての信条は
①土の文化の継承人
②仲間の実践に学ぶ
③教えることは二度学ぶこと
④楽しくやることが一番

この四つの信条とともに農業を「生業」としてやってきました。

農業人として教わったことは「実れば実るほど頭を垂れる稲穂かな」であり、この言葉はいつも私の頭の片隅にあります。

地域の農協においては、平成26(2014)年5月の総代会にて掛川市農協の代表理事組合長に就任いたしました。掛川市農協は、昭和37(1962)年3月に大同合併により設立され昨年60周年を迎えました。

「組合員とともに」のスローガンのもと「農協基盤の強化と出向く体制の構築」のため、平成28(2016)年総代会にて「店舗再編の方針」を決定し、平成29(17)年から令和3(21)年までに19店舗を5支所と3営農経済センターに再編いたしました。店舗の再編は、昔からあった店舗が地区に無くなることへの不安もあり、組合員にとっては大きな問題でした。不便さを少しでもなくすために移動金融店舗車(さすが号)を導入し、廃止店舗の巡回を始めました。

出向く体制への移行は、長きにわたり受け身であった「蜘蛛(くも)の巣戦略」から「蜜蜂戦略」への方策の転換を意味し、組合員・利用者との「Win―Winの関係」や「絆の構築」を図ることができました。

農協の経済事業でやること、やらなければいけないこと、それは①つくる力②つくらせる力③うる力であり、この三つの力を十分に生かすために農家支援と人材育成を進めてきました。令和元(2019)年10月にリニューアルオープンした「新鮮安心市場さすが市」は、本年度7億6000万円の売り上げに達する見込みで大きな伸びを示し農家所得の向上に大いに貢献しています。

また、わが農協管内においても、農業者の高齢化と荒廃農地の増加は大きな課題であります。持続可能な農家・農業支援のため、令和3(2021)年7月に「あぐりサポート掛川」を立ち上げ、農作業の受委託と荒廃農地の再生を行っており、組合員から非常に良い評判を得ております。

松永会長と茶園松永会長と茶園

県域においては、平成29(2017)年7月に静岡県経済連茶業委員会の委員長に就任しました。お茶の業界では、取引の際に粉引きと呼ばれる商慣習があります。これは、荒茶の中にお茶の粉が混ざっており、粉は通常安価で取引されるためそれを見込んで値引くというものです。茶価が低迷する中、この粉引きは大きな課題であると捉え撤廃に向けて、茶商の皆様にもご理解をいただき一体となって静岡茶を盛り上げていきたいことを熱意をもって伝えました。長年の商習慣であったためいくつもの課題がありましたが、令和3(2021)年度の新茶の取引から全国に先駆け静岡県JAグループとして粉引き無しでの取引を開始できました。

令和2(2020)年6月には静岡県経済農業協同組合連合会の経営管理委員会会長に就任し、その後全国の茶生産者の全国団体である全国茶生産団体連合会副会長として、自民党茶議連に対して茶業振興の要望をするなど、微力ながら日本茶業の振興に注力しています。

私は、農協の組合長・経済連の会長として、職員には『「農家と職員」「職員と上司」など、関係する人との関係性の再構築が必要であり、しっかりとコミュニケーションをとることが求められています』という話をしています。それには「目配り・気配り・思いやり」が重要であり、これらを通じて、農協・連合会にいなくてはならない職員、地域になくてはならない頼られる農協・連合会を創ります。それが笑顔の農家をつくり、農協の未来のため、職員の未来のためなのです。

―組合員とともに千代に八千代に―

松永大吾氏【略歴】
まつなが・だいご 昭和28(1953)年4 月生まれ。東京農業大学短期大学卒業後就農、平成8(96)年5 月掛川市農業協同組合理事、平成26(2014)年5 月同代表理事組合長、現在に至る、平成26(14)年6 月静岡県経済農業協同組合連合会経営管理委員、平成29(17)年6 月同代表監事、令和2(2020)年6 月同経営管理委員会会長、現在に至る。

【推薦の言葉】
茶業界のけん引役に
松永氏は常々、社会環境や組合員にあわせて自ら変化し、時代を超えて県連機能を発揮することが重要であるとの信念をもって経済連の運営に尽力してきた。特に令和2年度からの静岡県経済連3か年計画の実行で多くの成果をあげた。
とりわけ農業者の所得向上のため、販売面では実需者とのマッチング強化やパートナー市場との定期的なヒアリングによる予約相対取引の拡大を進めた。県の特産品である茶では、日本茶業中央会や静岡県茶業会議所などの要職を歴任。生産者である自らの経験を生かし、生産者の所得向上や茶業振興など、茶業界の牽引役として活躍した。
生産資材のコストの高騰に対しては、仕入れ機能の強化によって低価格な生産資材の供給に取り組むとともに、経済連の土壌肥料分析センターを活用した土づくり支援や最適施肥の提案など、トータルでのコスト低減に向け指導力を発揮した。

【谷口信和選考委員長の講評】
松永氏は江戸時代から続く茶農家としての実践を踏まえて、単協においては①新鮮安心さすが市のリニューアルにより販売高を7.6億円に引き上げ、②農作業受託組織「アグリサポート掛川」を立ち上げるとともに、③粉引きと呼ばれる茶の商慣習の廃止の成果をあげ、経済連では①実需者とのマッチング強化、②パートナー市場との予約相対取引の拡大を強め、農業者の所得向上に貢献するとともに、全国組織での要職を務めています。

第43回農協人文化賞

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